雲取山

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2004年 11月6日−11月7日

奥多摩にくるのは久しぶりだ。

イタリアでの事故で登山道具一式を失ったが、今回登山靴と衣類、小物を買い直し、まずは小屋泊りが可能となった。 ちゃりんこも新しく買った。前回と同じ車種の新モデルである。これでまたどこまででも行けるようになった。

やっぱり物を新しく買い直すのは簡単だった。 飲み会一回分のお金で、ガスコンロが買える。結婚式のご祝儀2回分で自転車が買える。お金を払うだけで以前と同じ状態に戻ることができ、行動半径が広がっていく。まぁ社会人になったから簡単に買い直せるというのもあるかもしれないが、市販品を買い直すのはとても簡単だ。 テントでも自転車でも、購入するよりも体の一部となるまで使い込むほうが大変だろう。道具だけあってもしかたがない。 そういう意味で、前回のヨーロッパ旅行での経験は有意義だった。負け惜しみではないと思う。

奥多摩行きの快速車内で同行者と落ち会う。紅葉シーズンということもあり、バスが増発している。予定より早い時間に登山口へ到着することができた。
登山道に入ると、人の気配はなくなる。バスは満席に近かったが、ほかの人はどこへ行ったのだろう。バス停付近に石屋(つげ義春の漫画に出てくるような)があったが、みんな奇岩を買い求めにきているのだろうか。

谷ぞいの道を1時間ほど登り、稲村岩にてしばし休憩。ようやく人影を見る。紅葉はこのあたりがピークだろうか。

そこからまた急登を歩いていく。
勾配にはそれほど関係なく、100m登るのには約15分かかるのだとか、100mあがると0.6度下がるから樹相が変わるのはその為だとか、いや稜線上に吹く強風のためだとか、同行者にあやふやな雲畜をのたまう。 実際15分程度で100m置きについている標高プレートを見つけられるし、それにつれて紅葉は終わり、木々の種類(ブナ?)も変わっていくことは確かである。

鷹の巣山頂上。昼食休憩を取る。
前回ここに登ったのは二十歳のころ、もう6〜7年も前になった。今でこそ結構気軽に登ってしまうが、当時の僕にとっての最高峰であり、結構チャレンジングなものだった。季節も丁度同じころ、ここでテントをはった。かなり冷え込んだ日で、夜中何かケモノの足音で目を覚ましたのを思い出した。(イノシシか?姿は見えなかった)
今日の鷹の巣山は、風もなく10人程度のハイカーが弁当を広げている。

鷹の巣山からは、七つ石山方面を目指して石尾根を行く。 やはり気持ちの良い尾根だ。あいにく空は曇っており展望は利かないが、霧の中に紅葉を終えつつあるカラマツが見える。水蒸気の向こうに、色づいた支陵が麓へ走っているのを見下ろせる。人気はまったくせず、二人でだらだらおしゃべりをしながら歩く。 森林限界の稜線とも、山の麓のほうとも雰囲気が違う。やっぱり別世界だよなぁ。

今日の宿泊場所、七つ石小屋に到着。霧も増え、展望も利かない。七つ石山は明日でいいや。
雲取山周辺にはいくつか小屋がある。食事が出るのは温泉のある三条の湯と、収容人数の大きな雲取山荘の二つである。どちらも小屋からの展望はそれほどでもないと思う。また今日は紅葉の休日、きっとおばちゃん登山者であふれかえっているだろう。というわけで今日は七つ石小屋に泊まる計画を立てた。富士の見える小屋というキャッチフレーズと、以前とおったときに感じた、何だか玄人っぽい雰囲気に興味を持っていたところである。

こんにちは、と声をかけると、うちは食事でないけど平気なの?、という意を告げられる。このような全然営業的でない態度に、拒絶感を感じている人もいるかもしれない。だがこのような一見恐そうだけど実はやさしいおじさんというのは、例えば船宿なんかにもたくさんいるし、会社にもたくさんいる。
食材は持ってきました、よろしくお願いしますと答えると、向こうは安心したようだ。常連客がお茶を持ってきてくれる。

空腹である。さっそく食事の準備。食器、鍋のたぐいは借りることができる。 いろりの火を借りてお湯を沸かす程度のことはできる。火力はあまり強くないよというので、ご飯は持参のコンロで炊く。
水は豊富だ。蛇口から流しっぱなしになっている。一瞬もったいないなと感じてしまうが、よく考えるとこの水道はポンプで汲みあげたり、ためてあるものを出しているわけではなさそうだ。上から水流を引いてきて、下へ流しているだけだ。小川の途中に蛇口と流しがあると考えたほうが正確だろう。流しっぱなしにしておかないとおかしなことになるのかもしれない。
布団も借りられる。特に寒さを感じることもなかった。 というわけで、食事の出る小屋に泊まる場合の荷物に食材を足せば良いということになる。

メニューは鳥の肉団子を主体とした鍋。なかなかのできだ。 常連さん、小屋番のおじさんなどと膝をつきあわせながら酒を飲む。


これはフィルムカメラ

午前3時ごろ、小屋を抜け、七つ石山頂へ星を見に行く。
今日はEOS-10DとEOS-kiss3を借りてきた。(イタリアでなくし、密かに弁償したものなので、借りたというのも微妙な表現だが)
デジタルとアナログ。レンズは17‐35mm。デジタルの手軽さも便利であり確実である。しかし17mm超広角を生かせるのはやはりフルサイズのアナログのほうだ。1枚の写真になんでも入って面白い。 何だか久しぶりにフィルムを使った気がするが、現像し終えたポジフィルムをライトボックスで見る瞬間というのは良いものだ。星の写真の場合、フィルムを選べばデジタルよりもカラフルに写る。デジカメには人間の目の感度に近づけるために赤外カットフィルターというのが入っているため、赤いオリオン座大星雲なども白くなる。人間の目でみる印象に近いのは確かだが。


こっちはデジタル

30分ほどたつと、友人も上がってきた。風がほとんどないため、それほど辛い寒さではない。とはいえ、彼が入れてれた暖かい紅茶は、長時間露出を待つ身にとって大変ありがたい。 僕が持ってきたのはごっつい一眼レフだが、彼はコンパクトタイプのデジカメを持っている。これが結構侮れず、スローシンクロでオリオン座をバックに記念撮影なんていうのが意外と簡単に写る。ISO感度400以上、露出10秒以上くらいできるのならば、多分あなたのデジカメでも写るはずだ。
なんてことをしているうちに、 一日の中で最も美しい時間が始まる。山登りにきても、この美しさを見ない人って結構いるのではなかろうか。今日の同行者は控えめな男だから、控えめに感動しているようである。 日ノ出は樹林ごし。まだかまだかと待っていると、やたらと赤い陽が昇ってきた。


七ツ石小屋に戻って朝食をとり、出発。雲取山を目指す。
草原の尾根の、うねるような起伏。山と平野の違いはあれど、百年前の武蔵野はこれに似た景観が関東平野一杯に広がっていたのではなかろうか。
雲取山は東京都の山とはいえ、さすが最高峰。その頂きに立つのは結構大変だ。公共の交通機関を使って日帰りするのは よほど早起きをするとか、よほどの健脚者でないと大変だ。標高が同じ程度の大菩薩嶺と比べると、結構時間がかかる。 七つ石山からはほんの隣の山のつもりだったが、2,3個の小ピークの登りなどで2時間程度。とはいえ、今日は何しろ絶好の登山日和。展望の稜線で、空は青く、紅葉の週末。登山者も多い。

山頂。
まぁ確かに直前の小ピークや奥多摩小屋周辺でも大展望が得られたらので、頂上について感動、ということはない。 広い山頂で、部分的に木々や避難小屋で司会が遮られる。あちこち動きまわれば合計として360度の展望が選られる、といった感じだ。ここにきて初めて南アルプスなどの西方の山が望める。雪を被っているのは3000mより上の、ほんに頭の部分だけだ。以前は遠くの山の小さなデコボコなど別に興味は引かれなかったが、自分が登ったことがある山を遠くから確認できるのはうれしい。
やはり中高年が目立つ。50年振りにきたよ、などとの声を聞く。僕が前回ここにきたのは2000年だか21世紀だかのお正月なので4,5年振りとなる。だいぶ負けている。 気温はあがっていく。頂上でぼーっとしていると、ついに富士山は霞の向こうに隠されていった。

再び小屋に戻り、荷づくり。しばしの休憩の後、下山開始。 標高を下げていくたびに、季節は冬から秋へ逆戻り。今日は快晴である。紅葉もさらに色鮮やかだ。 山道を曲がると、赤や黄色や黄緑が太陽光線を透かしている。どうしったって目を奪われる。この時期の山の美しさってちょっと信じがたい程のものだ。これがある一角では針葉樹林の植林帯となり、鮮やかさがなくなる。割合としては3割程度か。このような植林帯を作るのは、林業とか保水力の問題とか薪の確保とかまぁ詳しい事情があるのだろうが、とりあえず登山者としては面白くない。 15時、下山。写真を撮りまくりながら歩いていたら、バスを見逃す。バス停まで10分のところから増発便と2台行ってしまうのを見送る。

1時間後のバス。さすが紅葉の日曜日、えらいこと混んでいる。2台のバスは朝の通勤電車状態。途中からは客が乗れなくなり、さらに増発させたほかのバスに任せている。この地域には、おそらく普段はそれほど人はこないだろう。しかしバス会社としては今日のような客の多いときに対応しなくてはならない。普段は結構ひましている人がいるのではなかろうか。

さらに予定していた日帰り入浴施設は45分待ち。あきらめて途中にあった旅館のお風呂に入る。こちらは定員5人程度のそれほど大きなものではないが、空いていた。温泉って書いてあるが、このあたりでもお湯が出るのだろうか。何にせよ、とりあえず暖かいお風呂に入れれば満足だ。
入浴後は駅前の食堂へ。もつ煮、ビール、かつ丼で今回の山行を締めた。


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