2004年 11月20日−11月21日
2週前の雲取山に続き、今回はツェルトを買い直してテント山行を復活させる。
目的地は愛鷹山塊の最高峰、越前岳。富士山の真南にあるため、北極星と富士山を入れた写真を狙うことができる。
が、天気はどうだろうか。前日までの予報から変わり、朝晩は曇るとのこと。基本的には高気圧だが、弱い気圧の谷が通過するらしい。
まぁそれでもかまわない。暗い一人部屋でごろごろしているよりも、山頂のテントでごろごろしているほうが建設的な気がする。
今回は自分の車で登山口までいくことにした。
山登りをするときは、縦走コースが取れる・睡眠不足状態での帰りの運転が面倒・環境負荷が小さいなどの理由から、なるべく公共の交通機関を使うようにしている。が、特にこれからの季節、公共の交通機関ではいけない場所というのも多い。行動範囲を広げるためにも、車で登山口へいくという選択肢があっても良い。
第一、今回の愛鷹山は電車でのアクセスは悪く、東名からのアクセスが良い。西伊豆へ釣りにいくよりも気軽にいける。
2時間程度で登れるらしい。お昼ごろまでに出発すれば日が沈むまでに山頂につけるだろう。というわけで、飲み会の翌日の土曜日でも、当日に準備を始めてどうにかなる。
登山口までは東名の御殿場もしくは裾野から、1,2回曲がればついてしまう。それでも一度道を間違えてしまったが。
途中、自衛隊の演習林に広がるススキの野が、秋の陽に照らされてきれいだった。
本日は浦和レッズの優勝をかけた試合がある。
試合は登山口につく直前に開始し、携帯ラジオで前半を聴きながら登り始める。
ラジオで聴くサッカーというのもなかなか趣きがある。変幻自在のサッカーの試合の場面場面を音声だけで伝えようとしているのだ。限られた情報から、まぁ色々な場面を想像しなければならない。そのシュートがスーパープレーなのかただのミスなのか。観客、解説者の興奮度などから推測してみる。テレビと違って、かなり主体的に聴かないと状況が分からない。
試合は何だかすごいことになっているようだ。初優勝を目前に控え、サポーターの大声援を受けたレッズの選手たちの気合がカラ回りし、荒れた試合になっている。
耳はラジオに集中し、頭の中は赤いスタジアムを想像しているが、実際に身を置いているのは誰もいない山の中だ。妙な雰囲気である。
結局試合はレッズの気合を巧みにいなしたグランパスが勝った。が、2位のガンバが敗れたため、レッズの優勝が決まる。まぁレッズらしいといえばレッズらしい。
優勝インタビューが始まったころ、頂上についた。
天気は良くない。登り始めは薄曇りだったが、頂上付近は霧で真っ白だ。まぁしかたがない。とにかくテントをはる。
今回新調したのは、1〜2人用のツェルトだ。今まで使ってたものと同じだが、マイナーチェンジされていた。テントの底のチャックが紐に変更され、さらに小さく、涼しくなっている。ている。まぁ何でも進歩するものだ。
飯を作ったり、先々週いった雲取山の登山記を書いたりして過ごす。別の女のことを考えながらベッドをともにする、というのに似ているだろうか。いや、あんまり似ていないだろうか。やったことないので分からないが。
カレーを食べる
日没のころ、もう一人登山者が現れる。縦走中で、どこかにビバークしようとしているらしい。彼はテントを持っていないようで、風を避けられるところを探します、といって下っていった。
せっかく山へ来たのだからどうせなら一人で眠りたいから下りていったのではないかと勘繰っていいるが、まぁ彼のいうように頂上付近は風が強いのも確かだ。
テントの周りは濃い霧である。ヘッドランプの光も遠くへ届かず、時折薄い雲の一部を通して、月光らしきほのかなな明かりが見える。もしかしたらこの周りは晴れていて、麓から見たら山頂付近にだけ雲がかかっているような状況なのかもしれない。
雲の中にいるわけだが、子供のころに想像したものとはちがい、雲の中なんて面白くも何ともない。ただ霧が出ているだけ、白いだけだ。
星が見えないだけならまだしも、雹まじりの雨まで降ってきた。僕のテントはタープはなく、雨には弱い。が、幸いにしてそれほどの雨量ではなく、惨めなことにはならなかった。
そろそろ本格的に寝ようかと思ったころ、テントから顔を出すと星が出ている。振りかえると富士山も確認できる。
気温の低下とともに、雲が標高を下げている現象、と理解すれば良いのだろうか。日没のころは曇っていても、深夜になると晴れわたるという経験はこれまでにも何度かある。とにかく、これでしばらく眠れなくなった。
愛鷹山からの展望は、西側が良いことは夜でも変わらない。身延線沿線の町と、駿河湾の御前崎へむかう海岸線がなんとなく分かる。海岸と町並みが見渡せるという点では丹沢からの夜景に似ている。
日の出もきれいだった。夕焼け・星空・朝日のうち、2勝1敗。まぁまぁだ。
今日は別に縦走するつもりもない。さっさと帰って洗濯をしよう。まっすぐ駐車場を目指すことにする。
2時間弱かけて下り、8時半ごろ車へ戻る。この間に霞は増え、駐車場についたときには富士山は完全に雲の向こうに隠された。こんなに側にいるのに、本当に短時間しか姿を見せない。霊山だと崇められるわけだ。
帰りは高速は使わずに246号で帰る。能登半島へ自転車旅行に行った帰りに通った場所だ。よくこんな道を真夜中に突破したものだ。
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