丹沢 塔の岳

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2002年 2月20−21日

普段は一人で登る。
それが好きだからということもあるが、一緒にいく人がいないという理由も大きい。 だが今回は研究室の先輩を連れていくことにした。彼の山登りの経験が少ないこともあり、塔の岳、山小屋泊りの周遊コースを計画する。
僕にとっても丹沢は始めてだ。これまで何故だか丹沢は曇りやすいイメージを持っており、なんとなく敬遠していたが、新幹線の車窓から見て興味を持った。 調べてみるとアクセスのよさ、山小屋の数が抜きんでている。人を集めるだけはある。

新宿で11時に待ちあわせて小田急へ乗る。窓からの景色はもう春だ。 電車もバスも本数が多く、JRに比べて安い。いつもの中央線とは勝手が違って、目的地が近づいても乗客は減らないし、駅前もまだ都会だ。

バスに15分ほど揺られて大倉の登山口。ここからの直登約1200mが今日のコースだ。 青竹を拾い、バカ尾根の異名を持つ大倉尾根を登り始める。2月とは思えない陽気で、樹林帯の道は気持ちがよい。

大倉高原山の家前で昼食の休憩をとる。このあたりまで登ると湘南の街と、その向こうの海岸が見渡せる。この日は絶好の展望日和で、大島の右には年間数日しか見えないという利島、式根島まで見渡せた。(もう昼すぎだというのに!)

大倉尾根は単調な急登だ。 よくいわれている不評は

  • 長くて単調
  • 霜が溶けてぐちゃぐちゃになる
  • 階段が歩きにくい
などのようだが、大体はそのとおりだ。 登山者が多い上に土質が古いらしく、あちこちで登山道が崩壊している。 だが驚くべきことに、コース全般にわたってとてもよく整備されている。自然とのふれあいというよりも、自然を守る人の姿勢のほうが印象的だ。 土嚢やら階段やら、誰がどんな労力をかけて作っているのだろう。まったく頭が下がる。

この道にも魅力はある。休憩所の数がこれほど多い山道はないだろう。 この日は営業している茶店は一つも無かったが、その中のいくつかで休憩をとった。同行者がいるので、いつもよりのんびりとする。

疲れてきたら、周りの景色を見渡すとよい。一歩一歩、確実に高くなっていくのが実感できる。

花立山荘を過ぎたらもうすぐだ。ここからは雰囲気が変わって深山らしくなる。 日陰には雪が残っている気持ちのよい道だ。

4時半ごろ頂上到着。バンザイ。
富士山がでかい。広い山頂は雪が敷きつめられ、向こうがわに今日泊まる尊仏山荘が見える。

見晴らしがよいとは聞いていたが、期待以上だ。少しガスが出てきたのか、遠くの島は見えなくなったが、東京、湾岸、三浦半島、湘南海岸、伊豆方面、富士と周辺の山と、関東地方の大部分を一望にすることができる。 地図を見ているかのよう、あるいは神様にでもなった気分だ。 同じ360度の展望でも、深山幽谷のものとは違い、街、海、道などに目が向かう。

この日の宿泊者は10人強。珍しく我々以外の若者もいるようだ。 宿泊の手続きをとる。予約をしておいたため、個室をあてがわれた。
この時期は富士山の方向に日が沈む。ダイヤモンド富士というやつだ。 客の大半もそれが目当てのようで、何台かの三脚が並ぶ。
日の入りはあっという間。訳もわからずシャッターをきったが、ファインダーからのぞいた、赤をバックにした山頂の舞いあがる雪煙が印象的だった。

その後は刻々と変わるグラデーションに街あかりの点々が浮かびあがってくる。 すごい、すごいといって見ていると夕食の時間。
メニューはカレー。おかわり可。腹一杯に食べて幸せな気持ちになった。

展望が雄大なことで知られる塔の岳だが、特筆すべきは夜景の素晴らしさだ。 先程もいったように関東地方がすべて見渡せる。左手には東京の光の海、右手には日本一の霊峰が月光に照らされ、目の前には湘南の海が街あかりで縁取られている。
東京湾クルーズ、新宿副都心からの夜景はおろか、函館、神戸の夜景もこれにはかなわないだろう。少なくても、関東随一のものであることは保証できる。

好天の日に山に泊まった者は、日ノ出を見逃してはいけない。特に日ノ出までの30分間、薄明の間は神の時間だ。日に2度の頻度でこのようなことが行われているのは信じがたいことだ。 光の作る大都市の背景には鮮やかなグラデーションが広がる。 時間の移り変わりとともに明るさを増していき、光の点々は朝に沈んでいく。 東京湾は朝焼けの空を写し出す。 そして一日が始まる。

朝食後、のんびりと出発。鍋割山をまわって降りるだけだ。 鍋割山までは雪が残っていて、好ましい雰囲気。鹿をあちらこちらに認めることができる。
山荘の建つ鍋割山頂上で休憩。誰もいない。塔の岳からは随分と降りてきたかんじだ。 途中、歩荷で有名な鍋割山荘のご主人にすれちがう。あまりの荷物の大きさで、何か違う動物を見ているかのようだ。週末のみの営業と聞いたが、平日でも毎日登るのだろうか。

その後林道歩きに閉口しつつも、順調に大倉のバス地に到着。 遠望、ダイヤモンド富士、夜景、夜明けの光景フルコースに同行者も満足したようだ。 最も気軽にいけて最も夜景の素晴らしい山、塔の岳。好天の一日に一度登ってみることをお薦めする。



星の写真集出しました。
塔ノ岳の写真もたくさんあります。

リンク

付近の山▲蛭ヶ岳ダイヤモンド富士! ▲鍋割山ダイヤモンド富士? ▲鍋割山 ▲三の塔 夜のパノラマ写真 ▲蛭ヶ岳 冬

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コースタイム

1/30 13:00 大倉バス停 13:30-14:00 大倉高原山の家 16:00 花立山荘 16:30 塔の岳頂上
1/31 8:20 塔の岳 9:15-9:30鍋割山 12:00 大倉バス停

アクセス

丹沢表尾根木ノ又便り  アクセス・コース案内のほか、最新情報など

鍋割山荘 


その他の情報

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