3/1 南半球の星

あまりできの良くないパスタで腹を満たし、終盤を残しておいた小説を読み終える。運の良いことに、今夜も快晴だ。昼間のトレッキングの疲れはあるが、明日は休養日だ。チャンスのあるうちにやりたいことをやってしまおう。
目的地はマウントクックへの展望が広がるキアポイント。キャンプ場からは約20分。歩きやすい道だが、異国の暗闇の中の未開地を歩くのにはちょっと勇気が入る。
暗闇にびびっているなと感じたときは、いったん足を止めて目をつむる。ヘッドライトを消して10秒数える。暗闇に目が慣れると、視界が広がる。自分が今とても素晴らしい場所に入ることがわかる。
暗闇の中の未知が恐怖を呼び起こすが、ライトを消してしまえば結構まわりが見えるようになる。

目的地に着き、写真をとるという仕事ができてしまうと不安はなくなる。すぐそこの氷河ががらがらと崩れていく音はあまりぞっとするものではないが、こうして観光案内の看板が立っているところを見ると安全なのだろう。(cautionとか書いてあるが)
山に囲まれ、星に覆われたこの空間は僕だけのものだ。こんな時間にこんなところにくる人はそう滅多にいないのであたりまえだ。南十字星、大小マゼラン雲などの有名どころはわかるが、半分くらいの空はわからない。
双眼鏡を天の川に向ける。あぁすごい。オリオン座の大星雲なんか、日本で望遠鏡を使うよりも良く見える。宝石箱と呼ばれているのはあれだろうか。
このように眠気をごまかしながら写真をとっていました。


デジカメでも写ることは写る
南十字星

(3/1,2003 記)

写真集 No,2

Mt.Cook 2/27-3/1