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昼食後、といっても4時すぎだが、次はセアリーターンズへ向かう。
今度は山登り。フッカーバレートラックはマウントクックを隠す丘陵を前に進むことによって避けるものだが、今度は標高をあげることによって、丘の上からマウントクックまでの眺望を利かせようとのものだ。
実際垂直にあがっていくような急登で、下るときなど耳に気圧の変化が感じられた気がした。
コースはよく整備されていて、手を使って登るような場所は少ない。
1時間で標高をmほど上げる。かなりしんどいが、その上には過剰なほどのご褒美が待っていた。
小さな水たまり程度の小池なのだが、そこは山上の過酷な環境、その貴重さを十分に示す景観だ。最初に目に入ったときはそこに空があるのかと思った。水面が鏡となって狼のような雪嶺を写している。
それにしてもニュージーランドの山はかっこいいなぁ。日本よりも緯度が高い分、標高が低くても1ランク上の貫禄を持っている。この付近の岩峰もどれも格好いい。雪に覆われたのもあるし、そうでないのもある。
その中で、やはり主峰のマウントクック。さすが一国の最高峰というか、付近の山を脇役にしてしまう存在感がある。我が国の富士の端正も捨てたものではないが、マウントクックもすごいぞ。格好いい。
キャンプ場へ帰って夕食をとりながら、山田詠美のインド旅行記を読んだ。うーん、吹いてるなぁ。なんか人に羨望を起こさせることを目的とするような文体で、彼女の願望をかいたようなかんじ。そう簡単に異国の美少年はキスしてこないと思うのだが、どのくらいフィクションなのだろう。まぁ彼女はストーリーテラーだし、こういうものを求めている人がいるから良いのだろうが。
僕の日記にもそういうところがあるかもしれなくて、
太陽がMt.Seftonの向こうに隠れ始めると、キャンプ場は夕食の時間を迎える。食事の支度はPeacefulに香り、人々はsilentに仲間と週末を楽しんでいる。セアリーターンズでイスラエル人の若者と知りあったが、彼もこの空気が吸いたくてここまでやってきたのだろう。
僕も彼らに混じってパスタを茹でることにした。やはり自分で作るキャンプ場の料理は満足感が違う。
今日のコースは最高だったなぁ。紅茶をすすりながら、目をつむれば山上の湖畔に写る白峰がうかびあがる。お気に入りの文庫本に目を落とし、心地好い疲労感を感じながらの至福のリラックスタイムだ。
というような書き方には次のような事実が隠されている。
右手は優雅に文庫本を持っているが、左手は慌ただしく旋回運動をしている。すなわち、僕に群がるサンドフライやハエの類を追い払うのに忙しい。お尻は冷たく今夜も野ざらし家なしだ。当然風呂にも入れない。食事も単調で、水も煮沸しろとのことなので面倒だ。今日もひとりぼっちだった。
この二つをあわせたものが現実になる。まぁ僕はどちらの現実にも満足しているのでかまわないのだが。(現実のトリミングは行なうが、誇張はしないように気は使っている)
上空に薄く広がる雲が赤く焼けてきた。この雲が取れれば、キアポイントまで星の写真を取りに行くつもりだ。
(3/1,2003 記)
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