サンマクシム−Hyeres

自転車の速度なんて、交通状況や路面状態には左右されにくくそう変わるものではない。
ただ疲労度は、本当にちょっとした気分で大きく変わってくると思う。道間違えた,バッグがはずれたというだけでもうやる気なくしてしぶしぶ走るし、下りに入ってたまたま天気が良くパノラマが広がってきたとき、対向車が一声応援してくれたときなんかはもう飛んでるような気持ちになり、実際数kmは疲れもなく走ってしまう。

フランスでは、あるいは日本以外の国はたいていそうなのかもしれないが、町と町の間、郊外には何もない。「何も」というのは正確には売店、道路以外の人工物がない。そのような郊外で、昼飯時になった。それだけならばまだ良いが、水がなくなった。僕は日本にいるときはそう頻繁に自動販売機でジュースを買うことはないが、こうなるとそのありがたみがわかる。
まぁとにかく次の町までは10km程度。30分頑張れば着くはずだ。

何もないところには、具体的には農地だったり、牧場だったり、湿原だったり、正体不明の空き地だったりする。そういうところに地域性が出てきて、面白いといえば面白い。


僕がこの写真から受ける印象は、空腹と尿意。個人的な体験が理由だ。

昨日に引き続き、コンロ用のガスカートリッジを探す。が、見つからない。キャンプ場に並設された売店、郊外にある大型マーケットのホームセンターを探すが、せいぜい昨日かったのと同じタイプががあるだけだ。いっそのことコンロ部分を買ってしまおうとも思ったが、良いものがない。人力で運ぶのには絶望的なもの、何だかとても使いがっての悪そうなものしかない。
寝袋、テントに並んでコンロは野宿に必須の重要アイテムで、これが使えないとせっかく飛行機の荷物チェックで文句いわれながらも持ってきた道具たちも活躍の場がないし、僕の最終的な行動範囲も制限されてしまう。焼きたてのパン、おいしい紅茶、とりあえずパスタ、こういうものが作れない。
このことに関して、これまでの僕の行動にミスはなかったと思うのだが(ネットで調べた結果はスイスあたりでは手に入るとのこと。ガソリンコンロを用意すれば確実なのかもしれないが、そこまでは考えてなかった)、次はマルセイユついたら登山道具屋を探すか。


今日の朝日

体で覚えるフランス語


Complet! (コンプレ)
英語でいうところのComplete。満席、満員という意。夕方、キャンプ場を見つけるたびにこう言われる。
あぁ日は暮れていく。僕の小さなテントをはるところくらいありそうなものだが。
何だよちくしょう。今までは遠慮していたけどこうなれば海岸で野宿かとも思ったが、ここでだめならもう探さないと思った最後のキャンプ場で空きがあった。ヤレヤレ。
キャンプ場には炊事場とシャワーとトイレがある。ほとんどの人は車で来ていて、長い間滞在しているようだ。
昨日のところは大人2人+車+テントの基本料金を払ったので19ユーロ、約2500円とユースホステルより高く、お得ではなかったが今日のところは7ユーロ、約1000円。キャンプ場にも2つ星、3つ星とランクがあるようだが、一夜過ごすだけなら関係がなさそうだ。
最後に、キャンプ場の側にあった素敵なレストランでもCompletをくらった。

僕は日本にいるときでもあまり外食はしない。言葉も分からないところでは、なおさら敷居は高くなる。
しかしコンロはないし、いつまでもフランスパンをもそもそやったり、ケータリングのピザをかじるのでは元気が出ない。
今日はレストランでメニューを頼んだ。シーフードサラダ、カラス貝のホワイトソース煮、デザートでお腹一杯になった。
ワインがとても安い。

(2004 8/10)