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自転車旅行記 自費出版
本のほうが読みやすいぞ

8月18日

行程

牟岐町-室戸岬


8/18:白 全体図


いよいよイゴッソウやらイチリョウグソクの棲む土佐の国へ入ることになる。
この日は台風の影響で雲が多く、風が強い。そして何よりも、波がすごい。
荒れ狂ってる。  


民家もほとんどない地域である。左手が海で右手が山。とにかく海を眺めるしかない。日差しも弱く、背に強い風を受けながら、岬を目指してどんどん進む。
もう本当に波がすごい。壁のように押し寄せてくる。黒い岩にぶつかり、高く舞いあがる。何度も何度も砕け散る。あれほどの波を受けながら、岩が存在しつづけることに不思議を覚える。 付近は波の飛沫で白く霞んでいる。

一見、海が怒っているように見える。しかし走りながら海を見つづけるうちに、そういう感情は感じられなくなる。激しいが静かだ。轟音を響かせながらも、静かに激しい。海は感情もなくそこに存在するだけであり、僕はその激しさにただ圧倒されるだけだ。

昼食後、いくつかの漁港で釣りをながめる。
台風で海があれ、釣りはできないかと思っていたが、土佐の漁港は防波堤が高く、けっこう釣れている。さすが黒潮の国だ。

地元のおじさんおばさん達が雑談をしながら釣りをする。なんとなくそれを聞いているだけで結構楽しい。
なまりがきつく、3割ほどはわからない。そういえばここのところ東の言葉を聞いていない。土地の人間だけでなく、旅行者や帰省者も関西方面のようだ。漁港で挨拶をするたびに、自分はやっぱりよそものなのだと実感する。  


夕方になると寝床を探す。
暗くなる前に見つけておきたい。
やや焦りだしたころ、曇っていた空がきれいに赤く染まり出した。
振りかえると虹が大きくかかっていた。

どうも四国は旅人にやさしい土地柄のようだ。特に徳島でその傾向が強いらしいが、これは八十八ヶ所巡礼のお遍路さんの影響だろう。 道は広く、車の圧迫を感じることは少ないし、休憩所やトイレの数が多い。これが大変助かる。
何よりも周辺になんとなくただよう旅人を向かい入れる空気。気持ちが楽になる。  


「同行二人」と書いた巡礼者を一日に何人か見かける。同行二人といっても一刻館のお話ではなく、たしか一人でいるときも空海さまと一緒にいるのですよ、ということだったと思う。 歩いて四国を一周するとなるとかなりハードだ。40日くらいかかるらしい。

夜、そんな人たちに出会った。コンビニで休憩していた彼らは学生・学生・中年のそれぞれ単独行。ともに夕食・かき氷を食べたが、まったく縁のないはずの人たちと話ができるのも旅の楽しみだ。

(2002年8月19日 記)

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本日の走行距離 96.20km
使用金額 1806円
(うちわけ 全部食費)


本日の写真


海荒れまくり

風吹きまくり

まったく凄まじい

室戸岬

一つくらいは札所も回ろう
交通安全と大漁に効能があるらしい

ほぼ180度の大きな虹

日が暮れる直前のみ晴れ間が見えた
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