山へ行こうかやめようか、それが問題。
●行かない理由
・面倒くさい
・年賀状書くか
・そんなに気合入っていない
●行く理由
・カメラ借りた
・天気はまぁまぁ
・部屋も寒い、連休中は寮のお風呂も入れない
・一日部屋にいたって退屈だ
・年賀状は暮れのギリギリに書くものだが、まだ今年は10日残っているのに、来年のことを考えるのなんて2005年に失礼だ。
で、行くことにした。日記書くにしろ本読むにしろ、暗い部屋で読むより日だまりの丹沢尾根のほうが良い。早起きしなくても、こういう葛藤の後でも山へ行けるのは便利だ。
塔の岳頂上の尊仏山荘まで、ドアtoドアで約5時間。ビックカメラで買い物したり、間違えて秦野で下車したりしなければもうちょっと早いかもしれない。
大倉の登山口からは2時間20分。標準コースタイムは2時間50分だから、その8割くらいの時間。1時間に500m標高を上げたのだから、いつもより荷物少ないとはいえかなりのペースだ。
今回はスピードを意識した。常にうっすら汗をかき、呼吸は軽くマラソンしているような状態。休憩時間も短くした。それでも、もうちょっと攻められたかもしれない。まだ余裕がある。荷物軽いと楽だ。 大倉尾根って自然を楽しむというより、ちょっと運動場っぽいところがあるからこういう登り方が合う。(多分日本で一番登山者の多いコースなのではないか。オーバーユースで発生する問題、その対策についての最先端があるのではないかと思う)
今日は理想的な登山日和。出発前は少し曇ってたが、登るころには一面青空。冬型が弱まり高気圧に覆われ、風もない。 恐ろしく展望が良い。もともとの地形的条件に加え、気象の面でも最高だ。富士山、伊豆半島、東京方面、相模湾、房総、全部見える。大島は言うに及ばず、利島、新島、神津島まで見える。
東京タワーのライトアップも、江の島の花火も、横浜の観覧車も、東京湾を行く船も、リゾートホテルの並ぶ初島も、富士山もオリオン座も南アルプスも同じ場所から見えてしまう。もしかしたらトナカイ乗ったサンタが上空を飛んでいるところだって見えるかもしれない。東京上空にきたら確実に分かるな。赤い鼻光ってれば。
やっぱり来て良かったね。
山小屋でも食事は出してもらえる。荷物を増やしてでも自炊する理由は、
1 安く済ませたいから
2 自分の好きなときに食べられるから(撮影には重要だと思う)
3 行動半径が広げられるから(食事なしの宿でも使える、遭難したとき、食事の予約してないとき)
4 食材が余っているから
野菜適当に刻んだのに、餅入れて卵入れて醤油や味噌で味付け。周りのおじさんおばさんにお世辞言ってもらえる。
山小屋では、初対面の人に向かって、「始めまして」とか「お仕事は?」とか言うよりも、「今日晴れますかね?」「今日はどちらのコースを行くのですか?」と聞く。そう問うのが必要だし自然である。
今回の僕は、それほど気合は入っていないので縦走などはしない。「もうさっさか降りてしまいます」と答えていた。この先実際に今日どんなコースを行ったのか、なかなか珍しい道を歩むことになる。
昨日の夜はあんなに晴れていたのに、今日の明け方の部はお休み。4時ごろ外に出ると、月に笠雲がかかり、富士山も見えない。寒い中で頑張る必要もない。布団へ帰る。 朝食の時間は、さらに雲が増えている。が、下界を見ると相模川に反射した朝日が強烈に輝いている。 雲に覆われているのは山地だけなのかもしれない。
7:50山頂発、9:30大倉のバス停着。1時間に600m標高を下げるというのはとても早い。このコースだからできるのかもしれないが。日が高くなるにつれて雲は消える。今日も神津島まで見えた。
3駅ほど移動して鶴巻温泉、弘法の湯。ほぼ一番風呂、1000円。丹沢表尾根の下山後に便利。
入浴後、鎌倉へ向かう。毎度島へ一緒に行くメンバーが、寺社仏閣巡りをしている。
この界隈から鎌倉へ行くには、自転車で行けと言われたら、すなわち距離的地形的に最も妥当な方法は、246で厚木へいったのちに相模川ぞいに海岸線へ出て、あとは海を右手にまっすぐ向かう方法だろう。電車でこれに最も近い方法は→海老名→相模線で平塚→東海道、横須賀線で鎌倉となる。本数を考慮して、小田急で相模大野→藤沢から江の電という方が早いかもしれない。
現代人ならばこんなときにiモードで検索すれば良い。が、出てきた答えは横浜回れだの、小田原回れだの。
それは本当なのだろうか。こんなところにも中央集権的思考方。いちいち横浜帰るのは気に食わない。また大崎行ってしまうかもしれないし。最速かどうかは分からぬが、相模大野ルートを採用した。
しかし横浜回りやら小田原回りの行き方に文句を付けるくらいならば、由比ヶ浜と七里ヶ浜を間違えないほうが早くて安い。毎度の義務である。
江の電乗るのは、20年ぶり以上だと思う。幼いころ、祖父に連れられて乗った覚えがある。
スピードが遅い。自転車で抜けそうだ。が、隣の国道を走る車はさらに遅い。
観光客と地元のお婆さんがのんびりしている車内から、はっきりと水平線の描かれた穏やかな海の青を眺める。
皆と合流。国道と海に面した、値段も立地も観光客向けのレストラン。予想外においしかった。
太陽に輝くビールが美しいことを知った。
冬至のころなので、だらだら昼飯食っていると本当に日が暮れてしまう。日が暮れないうちに次の目的地、報国寺へ。 境内へ入ると、崖に囲まれた空間に竹林が縦に、仰ぎ見てもまっすぐ伸びている。脇の茶席で抹茶を喫す。
鎌倉最古の寺、杉本寺。設立は734年というから、頼朝が鎌倉の町づくりする前だ。水子供養の可愛らしいお供え物がせつない。
鎌倉では街なかを歩いていても、荒々しい自然のままの地形が目を引いてくる。もともとそういう地形が多いというのもそうなのだろうが、この御時世でそれが開拓されずに残っているのは、寺社が土地を所有しているからだろうと推測している。寺社の作る不思議な空間の感覚は、地形の変化をうまく利用しているからだろう。
今回のみっちゃんセレクトのコース、最終地点は彼女の家。
南米、五島の写真を見せてもらい感銘を受けていると、ヤマタイ国九州派、大学で情報理論を教えていたという彼女の父親が、入場券の限界に挑む旅から帰ってきた。
各地の風土、歴史、科学技術、小説、自然などの話題を肴に、皆で大いに盛りあがった。
今日も皆日記を書いている
●http://orange.ap.teacup.com/berugamo/
●http://plaza.rakuten.co.jp/maricobabylon/
●http://blog.livedoor.jp/miko528/
仕事納め。会社の会議室での飲み会となる。
いやー相変わらずと言うかなんとというか。
とても味につまされるというか、ありがたいというか、そんな話を先輩から聞く。僕だって自分が何が得意で何が全然だめかはある程度認識しているんだが、実績のある先輩からそういう話を聞かされるのだから、上記のような感想となる。
二次会は会社そばの飲み屋。ジンギスカンがおいしかった。
朝起きて、夜まで年賀状制作。たいした枚数出すわけではないが、1日で一応完成したのは満足。
夕食後は竹芝桟橋へ。式根島を目指す。
式根島へ来るのは3回目。3年連続で12月に来ている。僕以外の4人は初上陸である。本日は島一周ツアー。
式根島の魅力の一つは変化に富んだ地形に産み出された美しい景観だ。1周12kmの小さな島なので、自分の足で歩きまわって日本とも地球とも見えないような景色に出くわすことができる。
いくつかの展望台を見た後、泊港にて昼食。小笠原の南島に似た、きれいな扇形を描いた小さな入り江の砂浜だ。泊港という名は、小船を停泊させるのに適した地形、というところから来ているのだろう。
こちら側の海岸線は、とても風が強い。正面には立っていられない。砂浜を歩き、扇の左側の柄の部分へ回り込むと、風を避けられる。波しぶきによって風が視覚化される様を見ながらパンをかじった。
大浦、中浦と、小さな砂浜を回る。式根島の砂浜は白い。先日行った各地の島の紹介イベントで、沖縄や小笠原の砂よりもきれいだと自慢していたが、これは対岸の新島の岩石の成分によるものなのだろう。暖かい季節に、この小さな入り江をカヤックではしごしてシュノーケリングというのは最高の時間だろう。
島一番の展望台、神引展望台へ。標高100m足らずの癖に、この周囲は森林限界、高山植物に似た景観に囲まれる。大島、利島、新島に地内島、ウトネ島。振り返れば神津島、三宅島、御蔵島らしき島影。見下ろせば青い海のリアス式海岸。海と山に囲まれた不思議な空間。こういう景色はきっと島でしか見られない。
最西端、唐人津城。海岸からそびえる崖の上に広がる荒涼。
風が強く、立っていられない。何とか立ちあがってカメラを構えても、シャッタを切るのも困難な強風。おまけに足場は高山の稜線のように狭く、悪い。
こんなところ連れてきてしまって大丈夫だろうかと振り向くと、同行者たちはやたら楽しそうにしている。強風なんて不快なだけだと思うのだが、風に吹かれて大興奮、笑い転げている。相変わらず恐いもの知らずな人たちだ。
趣向を変えて、ごみ捨て場を見に行く。人間が普通の生活をしている以上、ごみは出る。 式根島に人が住み始めたのは明治のころ。ごみが溜まったってまだ200年分もないが、孫、ひ孫の代まで持つんだろうか。 出たごみはどうすれば良いのだろうね。大型処理施設作るのも無意味だろうし、船でもって帰るのも大変だろうし。
最大の目玉、地鉈温泉。日本はおろか、世界中探してもこんなところはそうたくさんないだろう。
断崖をなたで割ったようなところの一番奥に源泉が流れ、その熱い湯が海水と混ざって磯に溜まったところが湯ぶねになっている。
荒々しい絶壁で囲まれた海の中で、老若男女がのんびりと入浴している。五言絶句ででも形容するのが似合うのではないかと思う。
今日の湯加減は最適だ。やや熱めなところが、強風の冷たい外気とつりあって丁度良い。温泉と海水がかってに混ざり合っているだけなのに。潮のタイミングでだいぶ違うらしいが、運良くベストコンディションだった。
あまりに快適だったので、夕日は見に行かず、断崖と流れる雲があけに染まるのを見ることで満足する。地元の老漁師の話を聞きながらの長湯となった。
民宿に戻り、食事。魚がいっぱい並んでいる。一人1000円強出し合って特別料理を追加してしまったので、すごいことになっている。
メダイ、アカイカ、シマアジ、アザエ…。たぶん式根島の住民のほとんどは漁師そのもの、あるいは漁師を身内に持っている。そんな環境で脂の乗った冬の魚を出してもらうわけだから、おいしくなければどうかしている。
観光番組を見ると、温泉、美食、絶景というのが人々の求めているものなのだろうが、その3つをこれほどのレベルで提供されているところが何故観光客の目に止まらないかが不思議だ。
夜明け前は星が出ていたが、日の出のころは曇った。昨日もそうだったが、そういう時間なのかもしれない。
朝飯前の温泉。松が下温泉、雅湯。水着着用の露天風呂、無料だが湯舟や脱衣所は一応整備されている。眠った頭に心地好い。
今日の行動計画は、朝食後土産買って温泉、船は昼前に出港、夕方横浜着、寮で年越し鍋というもの。
まずは土産。島旅していると何かしらフィクションのような不思議なことが起こるが、単に土産屋行くだけでそんなことが起こってしまう。昨日の老漁師といい、地元の濃いおじさんが続々登場する旅だ。
店内をちょっとうろついているだけでさんまの試食は出るわ、焼酎試飲とか言って瓶ごと渡されるわ。無料の飲み屋が開店してしまう。挙げ句のはてに温泉まで車で送迎してくれる始末。しかもその途中、「ガイドブックに載っていない名所、十治朗の遊び場だ」ということで、一見すると造園中の庭園、良く見ると彼の夢が詰まっているらしい不思議な空間に案内される。果たして彼の夢は、10年後観光ガイドに載るような形として完成されるだろうか。小さな島だから、こういう個人プレイが島の名所になっても面白いとは思う。
こういう恩恵にあずかれるのは、オフシーズンで人が少なく暇だったということもあるが、おじさん受けの良い女の子二人のおかげだと思う。男の一人旅ではこうはいかない。
入浴後、乗船、出航。今日の新島近海はちょっと波が強く、利島は欠航。
食堂で楽しく食事をしていたものの、僕だけ酔ってきた。1級免許とっても、船酔いが治るわけでもない。昼寝の時間までもちこたえ、それほど悲惨にはならなかったが。
一人減り、二人増えて6人鍋。
年明けとともに各自抱負を述べる。口に出しておくことは大事だと思う。