夕方、父方の親族宅にて。
少子化時代である。長い間僕と姉が親族の最年少やっていて、毎年特に可愛さのない、変わりばえのない正月を送っていたが、近年いとこに子供ができた。5歳児が走りまわり、2歳の女の子がトコトコついていく。新たな世代がいると、場の明るさがまったく違う。老人たちが皆だいぶ若返っている。
僕のほうは、結婚しないの?と聞かれるような歳になった。言われ始めたのは数年前からなのでまだ慣れておらず、うるさく思う。
今日は母方の実家。
こちらも近年小さな子が参加するようになった。
今日は僕の姉が不在なため、僕ともずいぶん遊んでくれた。幼子は一人だけ。完全にお姫様状態。
1月 丹沢蛭ヶ岳 | 2月 丹沢鍋割山 | 3月 大島 |
5月 小笠原母島 | 5月 小笠原母島 | 8月 南アルプス北岳 |
8月 三宅島 | 8月 三宅島 | 8月 西伊豆 |
8月 西伊豆 | 9月 新島 | 9月 新島 |
10月 NZ Mt.Cook | 10月 NZ Tekapo | 10月 NZ Kaikoura |
11月 南アルプス鳳凰山 | 11月 南アルプス鳳凰山 | 12月 西伊豆達磨山 |
12月 丹沢塔の岳 | 12月 鎌倉 |
今日も長い一日だった。
友人の18きっぷデビューということで、房総旅行を敢行。
房総はまことに油断ならない。
つい十分ほど前は、臨海の高層ビル群が車窓の風景だった。しかしふと気付くと、日本昔ばなしの世界の中にまぎれている。
五井駅にて内房線から小湊鉄道に乗り替え(18きっぷ区間ではないが)、一両編成の単線で農村の合間を走る。久しぶりに降った昨日の雨の水分が朝日の熱を得て、線路を左右から霧で隠す。青空に紅葉の生き残りが映える。
車内はそれほど混んでいない。地元のおばあさんに観光客が少し、中高年ハイカーくらい。若いお姉さんと見習い中、二人の幼い車掌さんが文化祭の行事でもやっているように、非効率的に車内を往復している。
次元のひずみなど越えた覚えはないのだが、今列車は幽玄の世界を走っている。
養老渓谷にて下車。房総内陸部が首都圏にあるとは思えないほどのどかな土地柄というのは知っていたはずだ。それでもやっぱり狐に化かされたような感覚に陥る。
滝へ迷いこんだりしながらしばらく歩いたのち、温泉街へ。予想したよりも静かな場所だ。
黒いお湯に入湯。肌に良いらしい。
先月行ったいのしし村によると、猪と豚はDNA的には同じものらしい。猪の肉は、当然おおざっぱに言えば豚と同じような味がする。でも普通の豚肉より柔らかくて味があっておいしく感じる。 松坂牛だって輸入の2級種だって、種類で言えば同じはずだが味は違う。出自、生前の生活、死後の扱われかたでだいぶ味は違うはずだ。猪のほうがそこらへんの豚肉よりもうまくても不思議ではない。
温泉街から駅までは徒歩20分程度。だが次の電車までは約20分。入浴、食事の後にタイムトタイアルするのは大人のとる手段ではない。タクシーを呼ぼうとにしたがあいにく車は遠隔地。しかたがないので途中まで走り、その後ヒッチハイク成功。大人の手段かどうかは別にして、良かった。
車内にて、京都からの帰宅途中に呼び出された一人と合流。
小湊鉄道からいすみ鉄道に接続し、元母親の英会話教室の生徒、今は外房の農村生活を楽しんでいる直樹さん宅を訪問する。房総には直樹さんいたぞと酔っぱらった頭でふと思いついて、2日前に突然来訪の意を告げるという慌ただしいものにもかかわらず、大歓迎してくれた。
思い付きではあるが、やっぱり今回の計画の目玉にしたのは正しい選択だった。
色々と自慢のものを拝見させてもらう。研究中の干しがき、ポンプをとりつけた古井戸、マイ裏山の上部にあるマイ洞窟。もとは防空壕だったというその空間は、夏でも涼しいという。竹垣ひいて、ランプでもぶら下げて、東南アジア風の書斎でも作ってみたくなる。
オナモミ。やきいも、家庭農園、ため池とシラサギ。広がる田園風景。
子供のころにこんなところで育ったら、一瞬だって退屈しない。あるいは大人になってからでも同じことが言えそうだ。一つひとつのディティールが無性に嬉しくなる。
ところどころ、小さな丘が隆起している。その合間から、太平洋が見えることもあるらしい。
再びいすみ鉄道で大原へ。今回の行程、JR区間が少なく18きっぷを使うことによる割引の恩恵は少ない。しかし小湊鉄道+いすみ鉄道のフリー切符のほうはかなり有効活用した。
大原からは右の南下して館山まわりか、左から北上してまっすぐ帰るか。時間的に外房まわりはきついので、直接帰ることに。 いやしかしせっかく18きっぷなのだからということで、いきなり上総一ノ宮途中下車。途中下車のための途中下車。次の電車までの30分で神社へ行き、おみくじを引く。小吉とか末吉とか、一様に皆しょぼい。
巡回セールスマン問題や結婚相手に求める特性、今年の抱負と緑茶の機械的性質、仕事の悩み、各々の家族、今後の旅行計画などについて議論を進めた。
今日のまっつんは輝いていた。
彼は正統派鉄道マニアである。計画を立てるときにあらゆる乗り継ぎ方法から最適な手段を完璧に調べあげるなど朝飯前で、ひとたび電車に乗ればその車両の歴史や沿革、なんの変哲もない記号の意味、踏み切りの種類、運転手のこまかな動きを解説するし、電車を降りれば撮影のポイント、駅舎の良し悪しの寸評が出る。果ては乗ったことないはずの路線なのに、電車をとるときの撮影ポイントまで解説する始末。我々素人はその一挙手一動作に目を釘付けにされっぱなしだった。
親戚より、鹿児島の焼酎「島美人」をいただく。アイランダーでも試飲した、とてもおいしいやつなので大変嬉しい。
しかし寮への運搬中、リュックの中で蓋が開いてしまい背中を濡らす。ほのかな甘い香りが漂っていたのはこのせいだったのか
。
かおわせる程度なら良いが、デジカメが酒没し、動かなくなった。今回は借り物ではないので、気は楽であるとは言える。とりあえず電池に問題があることは判明した。予備電池が行方不明なため、本体も壊れているかは分からない。