最終経由地イスタンブール

イタリア・スイスを中心に、駆け抜けるように各地をあわただしく旅してきたが、次が最後の目的地。
ローマを発ったのちは、乗り換えもかねてイスタンブールに1泊する。

世界一周旅行をしてきた青年にどこの料理が美味しかったかをたずねたところ、「トルコですね」という返答が妻の心を強く捉えたからだ。
ミラノ、ベネチア、ローマと見てきた我々には、最後にコンスタンチノープルを訪問するというのも素晴らしいのではないかと思う。

一昨日の失敗に懲りて、空港まではタクシーを使う。
空港-市内40ユーロという均一料金があるようだが、ホテルを通して頼んだ送迎は50ユーロ。まぁ怪しげな運ちゃんではなかったし、早く快適についたし、そんなに不満はない。


だいぶ駆け抜けたなぁ、という印象のスイス・イタリア北部旅行。
トラブルもいくつかあったが、総じて言えば順調。

イスタンブールには1泊しかしないので、預け荷物は東京で受け取れないか聞いてみたが、駄目だった。
24時間以内の乗換えじゃないと預かってくれないらしいが、わずか数時間届かなかった。

まぁ仕方が無い。その場合はイスタンブールの空港で預けよう。
荷物預かりサービスは結構わかりやすいところにあって、値段も手頃だった。

異国の公共交通機関は絶対に戸惑う。
運賃表が見つからなかったが、イスタンブールの市内交通網は、要するに均一料金らしい。
そのチケットが、切符ではなく「ジェトロ」というコインを買うのだが、このコインが類まれな安っぽさだ。
人生ゲームのお金くらいの質感。ICチップでも入っているのかもしれないが、有価証券というよりは子供のおもちゃに見える。


順調にホテルまで着く。
見知らぬ異国で、当たり前のことが順調にできたというのはけっこう嬉しい。

町並みが礼儀正しいヨーロッパの各地を巡ったあとに来た後だからか、トルコの雑踏には親近感を感じる。
だいぶアジアだよな。
街歩きも楽しい。

まずはグランバザールをうろつく。
怪しげな魅力を放つ安物たち。どれも値札が張っていないので、何を買ってもだまされてる気がする。
良いなぁこういうの。ミラノやベニスの高級ブランド街よりも買い物をしたくなる。

「アメ横より安いよ〜」
売り子さんたちの日本語シェア率はけっこう高い。「アンニョンハセヨ」「ニーハオ」よりも、先に日本語で声をかけられるな。
旅行者のシェアは、まだ日本のほうが上か。
バザールの品物は、日本のお姉さんたちを魅了している、というのはあると思う。

わが妻も魅了されている。
が、正直一直線で、あんまり融通利かない彼女は、こういう交渉しながらの買い物となると、困ってしまうようだ。
「カワイイけどだまされる」ということで、なんだかオロオロしている。
そりゃあ先方の最初の言い値で払うそぶりを見せてからじゃ、値引き交渉は難しいだろうな。

2,3交渉してみた感じでは、
・言い値の2割はすぐに下がる。
・それ以上下げるには5分くらい粘る必要がある。
・ドル、ユーロ、トルコリラのどれも通じる。通貨による割引率の差はあまり無い印象だった。

交渉するのも楽しくはあるが、何回かやると疲れてくる。千円の買い物をするにしても5分粘って200円負けてもらう、みたいな感じだが、売り子さんたちもよく頑張るよな。
日本人には吹っかけてきてるんだろうな、というイメージをぬぐえず、得した気にはならなるのは難しい。
が、それでも面白い買い物であることは確かだ。
値段が下がらなければ、同じ値段であれも付けてくれとか、ユーロとリラの2本立てで払ってみたり、財布を見せて「日本に帰る直前なのでこれが最後の現金だ」とか言ってみたり。
相手を混乱させるうちに自分も混乱していったころに話がまとまり、ようやく調味料2瓶買うくらいだから、遊びとしては面白いが、買い物的には非効率だ。

相場を知るほどの時間的余裕は無いのだから、自分としての絶対的価値観を持つ必要があるな。
自分としてはこの品物にいくら払いたいかを決め、その値段の7割くらいの金額を提示してみて、話がまとまれば買う、というくらい。


夕暮れのボスポラス海峡を散歩。
中世におけるコンスタンチノープルの重要性を肌で実感。
目の前の細い海が貿易上の大動脈で、脇には天然の良港、金角湾がある。

現代のイスタンブールも、世界有数の大都市なはずだが、けっこうのんびりしている。
旧市街の中心から徒歩10分程度の公園で、釣りしたりバーベキューしたり。
ちょっと路地に入れば下町で子供がサッカーをしていたり。





レストランが並ぶ通りにある、トリップアドバイザーに載ってた人気店。
けっこう高級店なんだと思うが、イタリアやスイスよりもだいぶ安い。
イタリア料理ともまた雰囲気が変わって、豆やヨーグルト、香辛料を多用。イスラム圏の影響なのかな。
野菜をたくさん使った優しい味が嬉しい。

ワインもそれなりに美味しかった。イスラム圏なのに。


●今日の行程:
ローマ-イスタンブール

(2011/8/19)