トスカーナのワイン

イタリア語で赤ワインはVino Rosso。そう覚えていたんだが、この地方はそれだけではないようだ。
Rosso以外に、Burunelloというのがある。
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ。今日行く予定の、モンタルチーノにおける熟成ワインのブランドのことのようだ。

今日は、そのブルネッロの生産地を訪ねる。
日本酒の酒蔵見学があれだけ面白いんだから、ワイナリー見に行くのも面白いだろう、という狙い。
とはいえ、どのワイナリーが良いのか分からないし、言葉の問題もある。ワイナリーの職人さんが観光客相手に日本語や英語話してくれるとも思えない。
そんな我々に救いの手。昨日食べに行ったレストランに勤めるソムリエ、千代薫さんだ。臨月というのに、我々の案内をこころよく引き受けてくれた。(直接頼んだのが正解だった。他の旅行会社も日本人ソムリエ同行というのがあったが、問い合わせてみると休止中の回答)

10時、ホテルまで迎えに来てくれて出発。昨日たくさんワインを飲んだせいか、朝の散歩は行けず。
シエナの町は見残した感じで去ることになる。


途中、修道院へ寄る。
イヤイヤ描かされたという高名な画家のお茶目な宗教画を、千代さんの解説付きで鑑賞。

どうもこの季節はワイナリー見学にはあんまりよくないようだ。
何しろバカンスのシーズン、ワイナリーの従業員たちはおおむね休暇をとっている。
ぶどうは収穫前であんまり仕事も無いらしく、ほとんどのワイナリーが閉めているらしい。

薫さんは四方探してくれたようだが、見学を受け入れてくれるところは数少ない。その代わりということで、世界遺産ピエンツァの町を見学。

 
中世のころのあるローマ法王が、自分の故郷を格好良くしようと整えたのがピエンツァということだ。
確かに可愛らしい町並みではあるが、そんなんで世界遺産になるのか?

我々にとって重要なのは、世界遺産よりも食材だ。
ここはペコリーノという、羊の乳を使ったチーズで有名。どのお店でも売っている。
けっこう強い匂いが立ちこめるので身構えたが、口にすると素直なおいしさ。


休日だからなのか、ピエンツァは大混雑。昼ごはんを食べるところも見つからない。町の人たちにも慣れない込み具合なようで、これ以上働くのイヤっていう感じ。


酒精の働いている香が心地良い

そしてワイナリー見学。このあたりは大きめの蔵らしい。けっこう近代的な設備を入れているところのようだ。
このワイナリー


晴れてきた。葡萄畑も様になる


試飲を数銘柄。日本酒の酒蔵で飲んだような感動はなく、美味いか不味いか、あまりよく分からなかった。
この反応もそれほど間違っていないようで、開けたての瓶で出されたが、それじゃ分かりにくいらしい。

そしてモンタルチーノのホテルまで送ってもらう。モンタルチーノは丘の上にある小さな街で、ワインが有名。街にあるお店の半分くらいがワイン屋さんだし、丘の周囲にも農家が散在し、ワインを作っているようだ。

 

シエナ共和国、最後の城らしい。
砦の一角にワイン屋があり、そこに金を払うと砦の最上部まで上がれる。

けっこうこの街も長閑でいながら雰囲気が良い。気に入った。


晩ごはんは、千代さんに勧めてもらったワインと、肉屋で買ったお惣菜。
キャンプ生活の残った食材をこっそり調理しながら、部屋で食べた。
トスカーナの給料が見下ろせる、気持ちの良い場所だ。


●今日の行程:
シエナ-ピエンツァ−モンタルチーノ

(2011/8/15)