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今日も早朝は空がすごくきれいだ。夕方よりも早朝が晴れやすいという傾向は、本日にも当てはまる。
ロープウェイ駅でガイドのルドルフと待ち合わせ。ウロウソしていたら向こうから声をかけてくれた。
小柄で笑顔を絶やさない、頼れる親父さんといった感じのルドルフ氏。スイスでのガイド登山の山行記を読むと、休憩させてくれない、愛想がない、みたいな感想を良くみたが、だいぶ不安がなくなる。
よくぞまぁこんなところに、というようなクラインマッターホルンの駅から登山開始。駅を出たイタリア側は白銀の世界で、周囲の8割くらいはスキー客だ。
スキー場をちょっと歩き、コースを外れたらロープで結び合う。ガイドレス登山に備え、氷河歩行時のシステムを調べてみたが、そういうのを使うわけではなく普通に結び合うだけだ。いきなりクレバスにズドンということはあんまりないのかもしれない。
ルート案内本で予習した通り、まずは中央峰東のコルをめざす。ここのトラバースは歩きやすく、景色も良い。実に快適。グランパラディーソ、モンブラン等、遠くの山域の名山の名を教えてくれる。
コルからは岩登りになる。とりあえずこの先は写真撮影を自粛。カメラはザックにしまう。
アイゼンは、ガイドの指示にしたがって何度かつけたり外したりしたが、最初はつけていたと思う。
赤岳とか穂高の稜線のようなところ。ボルダリングのような難しい動きは要らないが、左右が切れ落ちているので高度感はある。
ガイド氏とは英語でコミュニケーション。指示は明確で単純だから、特に不都合はない。ルート等、特に考えずについて行くだけなので、不安はなく進める。
独力でこのルートは通れないと思うが、ついてこいと言われればそりゃあ行ける。評判で聞いたほど無愛想でもせかされるでもなく、信頼感が持てて楽しめた。
頂上ついたら写真撮ってやろうと思っていたが、岩登りに入るや間もなくガスに巻かれる。風が吹けばとれるかなという願いはかなわず、その後ガスは濃くなるばかり。まぁ遠くも見えなくなるが遥か崖下も見えなくなり、恐怖感は低減する。
ルートガイド本によると、ここの登りは3つのステップに別れるとあったが、どれが1段目、2段目かは分からず。ただひたすら目の前の岩を登っていく、という感じ。持ち手や足場はしっかりしている。沢登りで怪しげな踏跡に突っ込む時よりもよほど安定している。
ガイドと3人数珠繋ぎで登るが、明確に支点を作って登っていく訳でもなかった。が、要所要所では、ガイド氏がロープをそのまま岩に巻き付け、簡易的に確保してくれる。この程度の確保で良いんだ、という感じ。
僕と妻の間の間隔が短く、すこし歩きにくさは感じた。
2、3箇所、怖いところはあった。岩から岩へ飛び移る際に間が1mくらいは離れているような箇所と、ややオーバーハングぎみになってる登りが1箇所あった。我が妻は、少し前は岩登りの教育受けていたようだが、最近はその感覚を忘れてしまったようで、ときおりビビりながらも頑張って登っている。経験は彼女の方があるはずだが、体格の大きな僕の方が有利に登れるようだ。
下りは、登山者の多い西の斜面を行く。さすがに最も容易な4000m峰ということで、ぞろぞろと登山者が登ってくる。おおむねガイドに連れられているようだが、5人、10人とアンザイレンしているし、トレースもはっきりついている。こちら側のルートなら、ガイドは頼まずに自分たちで行けると思う。
マッターホルンへのテスト登山ということも兼ねていたが、ガイド氏は可とも不可とも特に明言はしない。
が、マッターホルン登るときのアドバイスなんかを聞きながら下山したので、不合格ではないだろう。
しかしまぁ、経験も名前も分からない登山者たちの命を預かってガイドするなんて、よくやるよなぁ。
町まで下山し、はずれのベンチで昼ごはん。何やら溜まっている食材とワインを昼ごはんにあてる。
割と人どおりのあるベンチで煮炊きする怪しげな東洋人夫婦には、微笑ましい視線や訝しげな視線が投げかけられることになるが、無駄な食材の消費とツェルマットの高額な昼食代の回避を実現した。
スーパーのチーズやワインが十分に美味しいのだから、外食は割高だ。
さて。
今夜の寝床はどうしようか。
マッターホルン登頂の可能性は残ったので、今ツェルマットを出て行く必要は無い。しばらくどこかしらに泊まり、天気やキャンセルが出るのを待とうかと思う。
ハイシーズンのツェルマットで部屋に空きがあるのか。探すのも大変なので、テント泊にしよう、ということになった。確かにそれなら確実だし、物価高のツェルマットでは、自炊しながらテントというのは財布にも優しい。せっかくテントをもってきたのだから使ってみたくもなる。
ツェルマットのキャンプ場は、駅のすぐ近く、町とは反対側にあった。町自体が車の乗り入れを禁止しているためか、小さなテントが多い。設営場所も問題なく見つかり、テント生活を始める。
(2011/8/6)
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