北アルプス
燕岳
つばくろだけ

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2005年 6月9日-6月10日

6月の山は行ったことがない。どんな様子だか見に行こう。
目指すは北アルプス、燕岳。展望と小屋が魅力のアルプス入門コース。雪が残っているうちに行きたいのだ。
格安切符はもう買ってあったのだが、いつ使うか。先週休日出勤をしたということを言い訳にして、梅雨入り直前の晴間をねらい、休みをとった(当日に)。

一人で行く場合は、決定が気軽だ。いきなり「明日行くぞ」とすることもできるし、出発直前の天気予報を見て、「やっぱりやーめた」ということだってできる。自由度が高い。 その反面、迷いが残りやすい。会社を休む連絡を入れた後だって、「本当に今日で良かったのだろうか」というような葛藤が残る。 中央線が甲府を過ぎ松本に近づくに連れ、その葛藤が確信へと変わっていく。空がどんどん晴れていく。八ヶ岳も甲斐駒もバッチリ見える。

穂高駅からバス。
今年から平日も運行されるようになったという中房温泉までのバスの乗客は僕一人。上品な運転手さんの話を聞きながら約1時間。中房温泉までは自家用車で行くことも可能であるが、終始曲がりくねった一車線。麓の駐車場に止めてバスで来たほうが賢いと思う。

中房温泉から登山道は始まる。
北アルプス三大急登だというが、道は良い。よく整備されていて、恐いところはない。 長野県内の中学校の多くが学校行事で登りにくるらしい。そういえば僕の姉は普段は山登りなどしないが、中学生のころに登ったと言っていた。学校登山が有名ということは、山登りなんて初めてですなんていう女の子だって登るわけで、それでも安全なようにしているのだろう。第1~第3ベンチ、富士見ベンチ、合戦小屋と、休憩所が適度な間隔に作られており、疲れたら休めば良い。

合戦小屋から上は雪が残っていた。道も歩きにくくなるが、アイゼンやスパッツをつけるほどでもない。 先程から荷上げ用のヘリがごうおんを立てている。こちらが雪に足をとられながら10歩も進む間に、合戦小屋から燕山荘の間を往復してしまう。やっぱり早いよなぁ。

燕山荘15時半着。受付を済ませ、燕岳を往復してきた。
燕山荘は相当歴史のある山小屋らしい。奥秩父あたりにあるようなクセのある親父の山小屋というよりは、雰囲気の良い老舗旅館といった印象である。 アルペンホルンで有名なオーナーは不在のようだが、十数人の従業員がヘリで運んだ荷物を賑々しく運んでいる。客が少なくて余裕があるというのもあるだろうが、皆リラックスしていて愛想が良い。 加えてこの大展望。そりゃ人気があるだろう。

今日の宿泊客は僕一人。夕食のときもマンツーマンで給仕を受けてしまった。
600人定員のこの小屋も今日は599個ベッドが空いているわけだが、7月8月は相当混むらしい。 寝室はカプセルホテルを山小屋風にしたような機能的なもので、ブレスサーモの寝袋を備えている。寝袋なのですし詰め状態(2畳の寝室だが布団は4人分置いてある。北アルプスの盛期では普通のようだ)になったときでも不快感は比較的少ないのだろうが、空いているときに行ったほうが良いに決まっている。

山の天気は変わりやすいというが、本当に目まぐるしく景色が変わる。 おもてのベンチで本を読んでいる間、1頁めくれば雲間から陽光がこぼれ、1頁めくれば槍が岳が隠され、カメラを構えればガスに囲まれ周囲が見えなくなり、かと思うと荘厳な夕焼けが現れる。 下界からならば雲が10m動いても景色に大きな変化はない。が、ここでは10m隣に雲がある。少しでも動けば世界がまるで変わってくる。

天気に関してはそこまで期待しておらず、槍が岳がちょっとでも見えればOK、夕日か朝日がなんとなくでも見えれば上出来くらいに思っていた。それが満天の星空にめぐり会えるとは! 雲界の上に槍が岳を初めとする北アルプスの峰々が顔を出し、星ぞらの前景として縁取っている。 風がまったくない。
あぁ、今日休みをとったのは正しい選択だった。

しかし、その中でも一番ドラマチックな時間帯、朝焼け前の黎明のころを寝すごしてしまった。 一番撮っておきたいのはその1時間なのだが、晴れているうちに撮りたいものを撮っておこうというのもあって、どうも夜更かしをしてしまう。 前回の蓼科に続き2連敗。完全に徹夜するのも大変なのだから、もうちょっとペース配分を考えなくてはないかんな。

朝飯食べて下山。天気は下り坂らしいが、朝のこの時間はそんなことを感じさせない。夜の間は谷間に溜まっていた雲も消えていて、高い山は雲界の上にどこまでも見える。これなら絶対崩れる前に降りられる。

下りも同じ道。3時間足らずで中房温泉へ着く。
中房温泉は林道の終点、北アルプスの山の懐にこじんまりと広がる湯治場の一軒宿である。 構内にいくつも源泉が沸いているようだが、登山者の立ちより入浴はその中の一部が開放されている。(今年から開放したらしい) 見晴らしの良い半露天風呂で、ぬるぬるした泉質。何だか色々な効果がありそうだが、お湯がとても熱くて長湯できなかった。熱い源泉ならばありがたい、というわけでもない。

湯上がり後はやっぱり客一人のバスに乗って穂高駅まで行き、そこから呑み会の約束のある新橋へ。
小屋を7時半に出て飲み会は19時半からだから、ある意味飲み会へのアクセスが12時間だともいえるし、家を出た時間からということであれば飲み会行くのに36時間かかったという見方もできる。

5月の小笠原では海水浴ができたが、6月の北アルプスは雪が残っていた。
でもって同日、金曜日の新橋ではおじさんがわいわい酒を飲んでいる。日本だってけっこう多様だ。


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