シドニーへ

黎明のキングスキャニオンの写真を撮りに行って、アウトバックでの行動はすべて終了。
今日はシドニーまで行って1泊、明日は日本へ帰る。シドニーに泊まるのは乗り継ぎの関係だか周遊券の関係で2都市に滞在しなきゃとかで、何かやるわけでもない。


シドニー行きの飛行機は11時ごろ離陸。実はあまり時間無いと昨日気付いたが、エアーズロックまでは300km、約3時間。片付けしたりガソリン入れたりの時間見て、6時に出れば間にあうだろ。


朝日がまぶしい

エアーズロックのキャンプ場まで戻って、運べない荷物や余ったタマネギなんかを見知らぬ誰かに寄付して、パッキングし直して空港に付いたのは離陸の20分くらい前だっただろうか。
急いでチェックインへ向かったが、どうも乗り遅れたらしい。が、3000円程度のフィーを払って、次の便に乗ることが出来るようなのでまぁ良かった。国内線だから大丈夫なんじゃないかと思っていたが、何分前に着けば良かったんだろ。

キャンプ場で生活していると、まわりにいるのはオーストラリア人やオランダ人、ドイツ人なんかが多い。分からない言葉でしゃべっている人もけっこういる。ギリシャ人かな?
空港では、日本人の数がだいぶ目立った。こんなに居たのか。

一人の青年に声をかけられた。海外ではやっぱり心細くなるから、同じ日本人同士っていう理由だけで他人と話す理由になる。僕も久しぶりに日本語で会話できるのは嬉しい。
が、話せば話すほど、何と言うか不快感が。最近こういう人と話していなかったから、忘れていたよこういう感覚を。

彼は世界一周周遊券を買って、3ヶ月ほどでオーストラリア、アメリカ、ヨーロッパの各都市を回る計画で、今日は出発から数日目、半日のエアーズロック滞在とのこと。
この地域はホテル高いから日帰りで、タクシーで近くのルックアウトまでいってウルルを眺めるくらいの計画だったが、タクシーいないし、空港から一歩も出ないまま何もせずシドニーへ向かうらしい。

この地域がホテル高いのは事実だ。村の周辺の展望台回ってもそれなりに楽しめるから、半日滞在も計画としてはありえる。こんな田舎にタクシーは無いだろうからシャトルバス探すとか、僕のようなレンタカーで旅行している人に村までヒッチハイクするとかすれば良いのにって思うが、まぁ短時間だししかたがない。

で、今日シドニーに戻って、宿はまだとっていないというので色々宿についての話をするころから、彼の行動が僕には理解できなくなる。何というか、何一つ努力せずに他力本願なくせに、無駄な心配をして行動を避け、そのくせ妙に楽観的だ。

彼のような状態の人間にとって、僕が今手元に持っているロンリープラネットのぶ厚いガイドは、その重さ以上の価値が有るはずだ。英語が分からないのなら尚更だ。砂漠における水、賭場における現金、一人旅では情報って言っても良いと思うのだが、それを見せても彼にとっては何だか他人ごとのようで、読むのが面倒なようだ。

相部屋の宿を必要以上に恐れ、都心部を必要以上に恐れているくせに、彼からは用心深さがまったく感じられない。
「タクシーの運ちゃんに頼めば」「いざとなればネットカフェに泊まれば」「カラオケボックスに泊まれば」「いざとなればなんとかなるだろ」などとのたまう。

もうどこから突っ込めば良いのやら。
なんて言うか、とりあえず楽観主義の使い方が逆だろ。何かにチャレンジするときって「なんとかなるだろ」っていうような考えは、絶対必要だと思う。でもそれはあらゆる努力をしたあととか、本当にピンチになったときにエネルギーを生み出すためにあるもので、今は「何かあったらどうしよう」と対策を考え、調べ、努力すべき期間に見える。
彼は何もしていないのに楽観、他力本願に努力を放棄しているし、挑戦を恐れて悲観的になっている。
英語がまったく分からないと言っているのに、タクシーに頼めるのか?どの世界中どの場所に行っても、彼のためにタクシーは客待ちしているのだろうか?ああいう簡易宿泊施設になっているマンガ喫茶は海外にもあるのか?カラオケは日本発のグローバル文化になりつつあるかもしれないが、宿泊できるようなカラオケボックスってシドニーにもあるのか?あるとしても、彼の恐れる都心の繁華街だろうし、そこは相部屋のバックパッカーズに比べて安全なのか?
いや、いかんな不満の言葉は続きやすくて。彼の言葉の端々に、否定したい考えが山ほど出てくるんだけど、とりあえず一言で全否定しておいたほうが良いのかもしれない。

まったく見捨てるのも気が引けるので、何ヶ所か安宿が集まっている場所教え、そこでインフォメーション探して聞けって教えておいたが、結局彼は空港そばの便利なビジネスホテルに宿をとった。
僕の考えでは、そういう場所は仕事や他に用の有る忙しい人間にとっては有用だが、旅自体を目的とする彼のような人間には、とりあえずの安全以外に何も与えないと思う。まだ時間的余裕あるのに一人旅でそういうところ泊まって、何するんだろう彼は。

この先の旅行で彼が成長する機会はまだ与えられるだろうが、本当に成長できるかは別問題だ。
こういう男でも、帰国したら「俺は世界一周したぜ」とか自慢するのだろうな。
そういう感じに金を払いつづければとりあえず宿と食事は何とかなるだろうし、金が無くなれば親に泣きつけば世界一周もできるんだろうけど。


飛行機にすんなりに乗れるわけがない
毎回必ずそうだ。まず第一の関門はチェックインで、ここでは預け荷物の制限がある。今回の荷物の総量は30kg強だが、預け荷物は25kgくらいまでは大目に見てもらえる。でもだいたい何かしらチェックされる。
キャンプ道具も色々チェックされる対象になる。燃料はないか、土はついていないか、これは凶器ではないのか。
手荷物検査でも、だいたい止められる。大量にフィルムを入れたX線防止バックとか、正体不明の撮影器材なんかが疑われる原因だろう。僕の人相ではないはずだ。
「あなたは無作為に選ばれました。より厳重なチェックを受けてください」というカードを提示され、爆発物の有無を確認される。毎回、無作為に選ばれている。

シドニーは約15年ぶり。前回は団体で連れられて観光バスに乗ってみたいな感じなので、街に関して特に覚えていることも無いのだが、今回もたった1泊、あまり縁の薄いままだ。
ずいぶんといろんな人種がいるなと感じた。欧米系も各種アジア系も、平然な顔をして普通に生活している印象。

宿は数日前、YHAに予約をとった。Gleebe Point YHAというところ。シドニーの市街には3軒ユースがあって、他の2軒は中心駅の目の前、そちらに泊まりたかったが満員だった。
ここは中心駅から2.5km、閑静な住宅街の中にある。気持ちの良い屋上もあって雰囲気は良いが、1泊じゃどこだってあまり関係はない。

空港に荷物を預け、電車とバスを乗り継ぎ、時差を合わせたら宿に腰を落ち着けた時間は夜8時。
シドニーでは何も出来ないだろと思っていたが、確かにこれじゃ何も出来ない。
僕こそ空港近くの便利なホテル泊まっておけよってかんじだが、こういう慣れない街で諸事にかけていく手間は無駄にはならないと思っている。



YHAからは10分ほど歩けば、小さな飲食店の集まった界隈へ行ける。
そういうところで外食しようとも思ったが、一人でコース料理を頼むのも、閉店間際の店で慌ただしく食べるのも落ち着かないだろう。
近くのテイクアウェイで何か買って、YHAの食卓で食べることにした。

シドニーは、レッドセンター地域に比べればだいぶ物価が安いと思った。フィッシュ&チップスとサラダで7.5$、約750円。ビール3本買って10$、約1000円。
レッドセンターではその1.5倍くらいしたんじゃないかと思う。


隣で宴会やってたオージーの兄ちゃんが酔っぱらって撮ってくれた

(2007/11/24)