南崎 歩く・潜る・泳ぐ

ユースで聞いた、母島で見てここは見ておいたほうがよいというところがいくつかあって、その代表的なのが南崎。
昨日からの宿泊者のほとんどがそこへ向かうようだが、僕もそこを目指した。途中まではバスも1便あるのだが、定員オーバーで歩いて行った。
母島の最南端に伸びる遊歩道で、山道を歩いていくと小さな美しいビーチがiいくつも現れる。この光景を結晶化させればそのまま宝石になってしまうような、いわば宝石箱のような遊歩道である。泳げそうなところであれば、別にどこで泳いだって良いらしい。海を眺めても潜ってみても、多分あなたが思い浮かべる南の島の理想的なイメージそのままのところだ。

小笠原の海は大変美しい。まず砂浜に漂流物がほとんどない。本州付近の海岸の場合、人間由来の汚いゴミ以外にも、例えば海草やクラゲの死体など、きれいな海でも漂流物はあったりする。しかしここ小笠原は鳥も通わぬ絶海の孤島である。砂浜は白い珊瑚礁の破片によるものだと思うが、ごみはなくさらさらとしていて足を乗せるとどこまでも沈んでいく。手ですくってみると、粒子の荒い砂にも様々な色のものがあることがわかる。
海も青く透明である。僕はダイビングはしないので細かい違いはわからないが、沖縄の遠浅の海よりも急激に深くなっている分、青くて透明なのではないかと思う。船の上からも、泳いでいるときも、その青の深さと鮮やかさに見とれてしまう。宝石のような青さだと表現しようにも、RGBでいうとなんぼだと表わそうとも、宝石より青いだろうし、3原色ではあらわせない色だろうから、やはり小笠原の海の色というしかない。

今日はゴールデンウィークの恐らく最も込んでいる時期だが、それでも各ビーチはほぼプライベートビーチ状態である。時折何人かいる場合は、大体どこかで顔を見たことのある人たちなので、挨拶をしていっしょに泳いだりする。
今回は会社からデジタルカメラの水中ハウジングを借りてきた。これが期待以上に面白い。モニターがあってその場で写真が見られるというデジタルの利点を生かして、結構簡単に水中写真が撮れる。別にモリを持たなくても、巣潜りをするのに目的ができた。別に宣伝するわけでもないが、今まではハウジングって高いと思っていたが、自分で金を出して買ってみようかとも思う。

このカメラを持ってビーチのはしごをするわけだが、その間は山道なわけだ。ところどころ素晴らしい展望が広がり、歩いて、潜って、撮ってのトライアスロスロンをしていることになる。

このジャングルの中には、戦時中の遺物が多くあるという。この美しい海以外には何もない島で戦争やってたなんて、何だか冗談みたいな話である。しかもこういうところって砲弾に当たるよりも疫病で死んでいく若者のほうが多かったという話を聞いたことがある。そうなるともう悲劇といっていいのか喜劇といっていいのか分からない。


イトヒキアジ

風呂上がり、鏡の中に汚い男がいる。戦争はもう60年前に終わったぞというような、旧日本軍の生き残りのような。
顔の日焼けした肌が迷彩柄にむけてきた。
まぁそんな訳で大変疲れた。


風呂に入ったら皮がむけた

(2004 5/3)


自転車旅行記 自費出版
本のほうが読みやすいぞ