カタ・ジュタ

希望としては、まるでオーストラリア人になったかのようにビールをがばがば飲みたい。何しろ気温は40度で、空は青いのだ。
しかし夜になれば、星の写真を撮りに行く。夜は運転可能な状態にしておかないと困る。オーストラリアも日本ほど厳しくはなさそうだが、飲酒運転禁止なことに変わりはない。となると、いつ酒飲めば良いのだろう。

その解答は、昼に酒を飲む、というスタイルだ。
昨日の体験から、夕方は行動すると危険になるほど暑くなる。夜になるとずいぶん涼しくなり、朝は割合快適。ならばそれに合わせて、午後は昼寝してしまえば良い。



エアーズロックから西へ30kmくらいのところに、オルガ列岩という、エアーズロックの1/10くらいの大きさの岩がたくさん並んだところがある。アボリジニ名だとカタ・ジュタで、やっぱりこちらの表記がメジャー。こちらも世界遺産になっていて、エアーズロックと同様、日の出から日暮れまでしか入園できない。

単純な一枚岩であるエアーズロックに対して、カタ・ジュタは入り組んだ地形をしている。伊豆諸島にたとえるなら、エアーズロックは利島の単純さ、カタ・ジュタは式根島の変化、といったところだ。たぶんトレッキングコースとしてはカタ・ジュタのほうが景観の変化に飛んでいるだろう。


というわけで今日の午前はカタ・ジュタ。
一番目玉となるコースは、wind valleyという列岩の中を歩いていくコース。「風の谷のナウシカ」のモデルになったという噂があるが、宮崎俊は一度もそんなことを言っていないらしい。別にジブリで気を引かなくても良いコースなのだが、ユパ様がエミューにまたがって走ってきても、そう変ではない。まぁ、どっちでも良い。

涼しい時間はキャンプ場でだらだら。すると、行く途中の道で「風の谷コース 今日は午前11時まで」と表示が出ている。暑い日は、危険防止のため途中の第1展望台までしか行けないらしい。

11時までに第1展望台は通過できそうが、1周して再び第1展望台に戻る時間は11時を回るだろう。
何か言われたら嫌だから、第1展望台まではさっさと通過してしまおう。

第1展望台を越えてからもなんとなくそのいままハイペースで進んでしまったが、素晴らしかったぞこのコース。


特に第2展望台から峠を越えるまでの間は、何だかデカくて静寂でダイナミックで。
月の明るい晩にこういう場所でテントはって、カメラと三脚もって夜行性動物のように行動したい。まさにこのようなこのような場所なんだけど、深く考えてもしかたが無い。



気温を計ると36度。午後や日向は40度越えるのだろう。
でも、そこまで暑いわけじゃないんだよな。日差しは強く物にさわると熱いが、風が気持ち良い。乾燥しているからな。

至るところに、水を持っていけ、たくさん飲め、アボリジニの長老もそう言っているぞ、と警告がなされている。
確かに水は必要だ。僕は普段の登山中では、水はかなり少なくて済む。一日行動して、食事以外ではペットボトル500mlが半分近くあまる。
でも今回は2時間の行動で1L飲んだ。バテたくないし、実際ぬるくなった水も飲めばうまい。
確かこのへんの水って掘り出すかなんかして、塩分含んでいるって習った気がする。確かに薄い塩水って感じはする。砂糖抜きのポカリってことで、丁度良いのか。

顔を洗うと塩水となって目にしみた。
腕をなめると海水のように塩っぱかった。こりゃツマミになるぞ。腕なめていれば。



公共の無料バスでショッピングセンターまで行って、ビールとピザ。
キャンプ場帰って昼寝、洗濯、器材の修理。夕日の時間までだらだらする。


ハエが多く、常時まとわりついて汗をなめてくる。まぁこいつらだって乾くだろうから、大目に見てやれないことも無い。
大目に見てやれないのは蚊。僕は蚊への耐性付いてきているから1,2ひきならば大丈夫、普段はその程度なので気にならない。
が、夕日の前後30分くらい、彼らの活動が猛烈になる。昨日も今日もそうだった。
空気の成分の20%は酸素だが、残りのうち20%くらい蚊になったんじゃないか、って感じで、そよ風の中にあの耳ざわりな高周波が渦巻いている。写真撮影の構図を合わせ、設定をしているうちにバンバン刺され、腫れた上にもう一重刺され、気が狂いそうになる。
昨日の夜、やたら疲労を感じたのは暑さや水不足のせいかと思っていたが、もしかしたら蚊が原因だったのかもしれない。


キャンプ場に備えつけてあるコンロが使えることが判明。
久しぶりにちゃんと加熱した料理をした。
物価は高いし、味付け濃いからな。自炊をペースに乗せていかないと。

Beer or Wineも欲しいところだが、まだ車の運転する/どこで売っているか分からない(アボリジニが禁酒しているからか、お店で飲む以外は手に入りにくいのか?)ので酒が飲めない。

(2007/11/18)