CHCH脱出

一度いったことのある国というのは、気安い。異国の空港に降りたときにも緊張が少ないし、些細な手続きをちゃんと些細なものとして処理できる気がする。

今日やらなければならないことは、一番にはレンタカーの手配だろう。今回の旅は、車の移動を主体にするつもりだ。
路線バスの旅には地元の表情が見られて楽しいという説が良くいわれるが、ここNZは自動車社会、バスを使うのは旅行者しかいない。その間旅人同士で話し込むかというと、そういうこともあるかもしれないが普通は眠っていることが多い。
それだったら好きな場所へ好きなときに出発し、荷物をつみっぱなしにでき、いざというときには車中泊もできる車の利用のほうが便利だ。NZは英国系の右ハンドルなので運転も簡単だ。

だが、車を借りるのにかなり非効率に動くこととなってしまった。
普通ガイドブックには、国際免許を取得しておきなさいと記載してある。が、なくても普通の免許があれば法的に認められているらしい。前回借りたときも国際免許の提示は求められなかったし、今回は取りにいく暇がなかった。
が、やはりあったほうが良いようだ。最初に聞いたところでは英語で書かれていないと断られた。では前借りた所にするかと昔の記憶を頼りに探し出すと、事務所は閑散としている。つぶれたらしい。その途中に見つけた別の店行くと、「Wait for 10 minutes」の札。昼飯でも食いに行ったらしい。

買い物した後にもう一度たずね、ようやく車ゲット。
1日60$というのはかなり高い。パンフレットに書いてある値段より数$高いのは、僕が借りたのがその店に残った最後の一台だからだろうか。安いところだと、チラシには25$〜(約2000円/日)とある。だがこれは古いタイプのを一ヶ月以上借りるような場合なので、約40$くらいからというのが実際のところだろう。だがまぁいいや。さっさとこの街を抜ける方が重要だ。

都会はなるべく早く抜けたほうが良い。(クライストチャーチ自体は、全体が公園のようで良い街だとは思うが。)大きな街にはたくさんのお店はあるが、それぞれがどこにあるのか把握できない。場所がわかったとしても、街が大きいと結構遠くに位置していたりする。交通機関も把握していないので、移動にも時間がかかる。選択が多すぎて、迷うばかりで疲れるだけだ。時間がかかる割に何もできないことが多い。


今回は車を借りて街を出るまでに約4時間。手際が悪く最悪今日はクライストチャーチ泊りとも思ったが、まぁ上出来だろう。このくらいの不手際は折り込み済みだ。

車の運転は本当に快適だ。僕はそれほど車の運転は好きなほうではないが、ここの運転はとても気持ち良い。クライストチャーチを抜ければ信号知らず、渋滞知らずの平均速度100km/h。左右に景色が走る。
Timaruの途中までは、まっすぐ伸びる1号線。左右には平坦な牧場が続く。右手の山のほうには雲がかかるが、左手の海側から頭上にかけての空は青い。日が陰り、雲を貫き、黄色い花を鮮やかに照らす。
山間を走る79号線に入ると雰囲気も変わる。ゆるい起伏の一つ一つを登り、下り、森があれば道は左へ右へ、やはり90%以上は牧場、主にヒツジ、たまにウシ、ウマ、まれにダチョウ、小さな村落が近づけばスピードを緩め、荒野を貫く1本道を走り、荒野の向こうには、サザンアルプスが白く、やがて荒野の真ん中に不自然なほど鮮やかな青緑、鮮やかな鮮やかな湖が目に飛び込んでくる。それがテカポ湖。今日の宿泊予定地。クライストチャーチから226km、3時間半。

目当てのTekapo YHAに寝床確保。何だかとても日本人が多いようで、日本の英会話学校のような英語が飛びかっている。


ワーキングホリデー三大名物とかいう和食屋。わざわざ南半球まで来て日本料理かよ、しかもこの店は前回も行ったではないか、という見方もできる。
だがニュージーランドは豊かな海に囲まれたお魚天国、刺し身食わないでどうする、という見方もできる。
実際NZには和食料理屋は多いし、テカポでは店の選択肢がもともと少ないこともある。一番の理由は、YHAで同部屋した人が薦めてくれたというのもある。
などと色々言い訳を書き並べていたら刺し身が出てきたので食す。

うまい。とてもうまい。相当うまい。釣り人安田もびっくりの味。何も考えずに食べるのが正しいな。

(2005/10/23 CHCH-Tekapo)