明日からの大阪でのフィッシングショーに備え、夕方から現地入り。積雪の恐れがあったので、昼過ぎから仕事を切り上げて移動しろとの指令。
とはいっても、本日は皆でたこ焼き屋行くくらいの予定しかないのだから、多少到着が遅れたところでどうなるわけでもないと思うのだが。
懇親会というか決起会というか、ホテルの近くのたこ焼き屋さんで飲み会。たこ焼きというと、せいぜい屋台で食べるイメージだが、大阪にはたこ焼きメインの飲み屋があるのか。
ボスからは、明日からは直接お客様の顔を見ながら説明できるのだから楽しんで来いとの指令を受け、それなりにそんな気になる。
3泊4日、十数人の同僚とともに同じホテルに泊まって過ごす日が始まる。新人研修の時代をちょっと思い出した。
説明員初日。
初日は業者日なので客は少なめとは言え、一日中しゃべりっぱなしの立ちっぱなしで疲労する。普段はその気になれば一言もしゃべらなくても仕事できる日もあるというのに、とにかく他人を捕まえて情報を与える慣れない役割。脳内の、普段は使わない部分を酷使するため、終了時間が来た頃には放心状態。
僕の持ち場が、どちらかというと一方的に話すところな気がするし、どんな質問でも答えられる知識を持ち合わせていないため、防御に回るよりは攻撃に徹しようという戦略なので、疲れてしまうのは必然といえる。
なんだか日本人以外の見学者が目立った。
日本語で説明していいのか、英語を使ったほうがいいのか迷うようになってくる。
これまでの国内頼みの市場が変わってくる兆しなのか、僕としては好意的に捉えている。
3日間、とにかく説明員やる以上のことは特に何も考えていなかったが、時間としてはアフターファイブがあることになる。
放心状態のまま、とりあえず周囲の流れに乗っていくと、なんだかチョウザメが釣れるとかいう釣堀へ向かっているらしい。
あの有名なグリコの看板やら、サンダース大佐が投げ込まれたとか言う、たぶん大阪の繁華街の中心点となる橋から数十m。繁華街の中の繁華街という立地に立っていたから驚いた。ゲームセンターの下が釣堀になっている。賑わいがあるような静寂のような、エアポケット的な妙な雰囲気のある釣堀。
先客がちょうどいなくなり、釣具メーカー社員4人によるミニ釣り大会は、結果としては魚側の圧倒的勝利といえるんじゃないかと思う。
同じ池にチョウザメも居ることは居るらしいが、メインとなるターゲットはコイ。このコイたちが、これでもかと言うほどエサとるのがうまい。魚がたくさんいることは分かるし、エサも食べてはいるが、まったく釣れない。釣り針に着いているエサと、釣り針から落ちたエサを完全に区別し、間違えることが無い。
どうやってコイの口で、そんな器用にエサが盗れるのかが不思議だが、自分の泳力で練りエサを剥がしてから食べているらしい。
釣具メーカーの社員の全員が釣り名人な訳ではないが、少なくても僕以外の3人は社内でも釣りマニアな部類の人で、相当な名人クラスも含まれる。 僕の釣り経験は大したこと無いほうだと思うが、世の中平均よりはだいぶあるだろう。それでも、まったく釣れる気がしない。釣堀のコイなのに。
残り時間10分で、僕は一尾あげ、単独最下位を免れる。それと同時にラインブレイクし、ハリスの追加購入をあきらめてゲームオーバー。 最終的には下位3人が一尾で並び、三尾ほど釣ったトップに粉モノをおごるという結末。
グリコの看板とかに道楽くらいなら僕でも知っているが、この「づぼらや」というフグやさんも有名らしい。
4人の中に一人関西人が居て、是非とも久しぶりにこのフグ屋さんで食べたいとのことで、粉モノ食うのは明日に回す。
確かに美味しいフグが出てくるのに、価格は高級というほどではない。関西圏ではフグがメジャーでよく食されるというのもうなづける。
刺身もうまいが、美味しいダシが出るよな。
さすが釣具メーカーのつり好き社員なので、トラフグ狙って出船する珍しい船宿がどこそこにあるらしい、なんていうのが話題に上る。
ひれ酒もうまかった。フグ好きの妻に怒られそうだ。
三次会は再度釣堀へ。コイの池の奥にウナギの池があり、それに挑戦したいらしい。
こちらはエサを食わせるのではなく、3本針で引っ掛ける。針は釣堀特性のかなり切れやすい糸についており、ギリギリの力で引っ張らないと切れるようになっているので、いかに負荷をかけずに釣り上げるかというのがポイントになる。
ウナギはもって帰れるわけではなく、釣った尾数に応じて駄菓子等の景品が出る。
僕は近所で買い物をしたあとは見学していたが、他のメンバーの釣り好き具合と大人気なさには恐れ入った。
道具の特性を見極め、うなぎの性質を見極めて戦略を練る。そしてその戦略どおりに運べるよう、時には待ち、チャンスには動く。
しかも、あからさまに堂々とズルをする。いちおうルール的には、釣り糸が切れたら終わりなのだが、池に落ちている針を拾って予備にするわ、糸が切れても結びなおすわ、閉店時間まで延々と釣って、結局終電で帰ることになった。すげえな本当の釣り好きの行動は。
まぁ、店側としたって、少しくらいズルされたところで見返りは二束三文の景品だし、バイトの兄ちゃんの指先一つでラインの強度も大きく変わりうるから、どっちもどっちなんだろうけど。
それなりに覚悟はしていたが、終日客が多く、夕方17時の終了時にはやはり放心状態。
楽しむというよりは、自動プレゼンマシーンのようになってくる。今のところ、自分で作った製品は無く、基本的にこれから変えようとしている製品群だしな。
やっぱり放心状態のまま、昨日とほぼ同じメンバーについていく。粉モノおごんなきゃいけないし。
甘いものとアルコールを補給し、ようやく周囲の情報が把握できるようになる。
クレープもたこ焼きも、安くてうまい。こういう街角の駄菓子屋みたいなお店のレベルは、完全に関東圏は負けている。
今日は水族館へ行くらしい。
一緒に行く同じ部の新人は社内恋愛中で、その恋人もショー説明員に来ている。成り行き上、若者のデートをおじさんたちで邪魔することになってしまったが、こちらとしてはウナギ釣りの再戦を邪魔されたのでお互い様ということにしておく。
大阪の水族館もやたらと充実していた。
江ノ島水族館の相模湾大水槽はずっと見ていても飽きないが、それに匹敵するような大水槽があった。
そして、釣具メーカーの皆さんはみな異様に魚種に詳しい。僕はロウニンアジとギンガメアジ、カスミアジの違いまでは分からない。
割と短時間の見学だったが、何とかひと通り回れた。あれを釣りたい、これが美味しそうだと皆で妄想を膨らませた。
お好み焼きも食べるが、串揚げも食べなければ。
先に見つかったのが串揚げ屋さんだったので、お好み焼きは〆として水族館から駅へ戻る途中の串揚げやさんへ。
またまた、東京の飲食店のレベルは完全に大阪に劣っているなぁということを感じさせるお店。串揚げ自体はそうそう失敗のない料理だと思うが、それも美味しかったし、鶏や馬の生肉がとても美味しかった。
そして、お姉さんの親しみやすい接客態度にも頭が下がる。関西出身の友人から、「関東の店員さんは怖い」という感想を聞いたのを思い出す。こういうお店が特に探さなくても見つかる街か。
〆は宿の近くのお好み焼きやさんに移動。
ずっと食べ続けているようだが、案外ぺろっと食べてしまう。
3人で二枚平らげた後、〆に頼んだ激辛焼きそばは、名前に偽りなく、辛すぎるくらいだった。
昨日が見学者のピークかなと思っていたが、やっぱりたくさんの見学者が来た。
夕方の客の残り方は昨日の方が多いが、ピークの混雑ぶりはすごい。業界的に盛り上がっているなら嬉しいが、どうも自社ブースが一番人を集めていたようだし、その中でも人の通り道になっているところが持ち場だったので、まぁ疲れるのは仕方がない。
自動プレゼンマシーンぶりにも拍車がかかり、反復練習しているうちに勝手に口が回るようになる。
ショー見に来るほど熱心な釣りマニアは、元不良のお兄ちゃんみたいな人たちが多い。目を輝かせて熱心に見学するお兄ちゃんたちに、科学技術の説明をするのは、なんだかとても良いことのような気がする。終盤でやや声が枯れたが、昨年よりもだいぶマシだ。
夕方の撤収後は一目散に帰路へ。23時前に帰宅。
説明員としてはとにかくプレゼンし続けるのみだったが、職場の人たちと交流を深められたのが楽しかった。
僕は小学生の頃から三国志を愛読していたので、「士別れて三日、刮目して相待すべし」という言葉を聞いたことがある。
今のうちの娘こそ、この言葉が似合うんじゃないかと思う。
三日ぶりに見る娘は、何だかまた少し成長しているような。
・どうやら数の概念を知り始めている。
・新しく買ってもらった靴や服を、嬉しそうにたどたどしく紹介してくれた
・だんだん歌をうたえるようになってきた
・朝の支度が間に合わず、保育園に送るのを妻に任せたが、僕の出発時に目に涙を浮かべて一緒に行きたがった
二歳児の提供する日々のちょっとした出来事は、宝物のように貴重に思う。その一方、今日の感動は明日の当然となり、時の経過と共に忘れてしまうような気もする。
いつか思い出せるよう、ここに記しておこう。
定時であがって娘の世話を担当。
グラタンって主食なのかおかずなのか迷うところだ。
我々日本人はお米教信者なので、ついごはんを出したくなってしまうが、西洋文化圏はどうもそこまで「主食」という概念にこだわっていないような気がする。フライドポテトも向こうではどうやら主食の範疇のようだ。グラタンもパスタと言えばパスタだが、何となく主食として扱うと落ち着かない感じもする。
昼間は近所の公園へ。
帰り道にイタリアンで昼食。結婚してすぐの頃に行ったっきり、数年ぶりの来店。当時も結構美味しいなと思ったが、やっぱりいい店だと思う。
お子様セットについていたボロネーゼがやたらと美味かった。
今後、近所のランチ外食ローテーションに入れていこう。
娘が自作ビールの瓶詰め作業を手伝ってくれた。もうそんなこともできるのか。
義姉の義父が瀬戸内海で釣ったボラが胃袋に収まる。 たまに送ってくるらしい。
横浜で開催しているカメラショーを何年かぶりに見学。 釣り業界に転職したが、他業界の情報収集という名目で、いちおう業務上で見学にいけた。
BtoBのブースが数年前よりもだいぶ減っていて、仕事ではなく個人的に来たほうが良かったかもしれない。
Samyangの24mmシフトレンズ。この製品が展示されていたのが一番感じ入るものがあった。
ほぼ疑いようが無く、僕が設計したやつのコピー製品。一見して、まさに我々の製品を少し安っぽくした感じ。
ホンモノを見たのは初めてだが、やはり細かいところも結構コピーしているし、そうでないところもある。
おそらく、世の中で僕の設計を一番詳細に評価したのは、この製品の設計者なんじゃないかと思う。
嬉しいような、悔しいような。
いくつか特許出願をしたが、審査請求されなかった機構も割とそのままコピーされている。権利化される自信はあったが、馬鹿だな石川さん。 真似されても大して影響が無いという判断だったのかもしれないが。
これまでに僕が手がけた製品などわずかなものだが、何機種か製品設計をしたこともある。そのときに一緒に働いたメンバーと久しぶりに飲みに行った。
彼等はいまや最も稼ぐ部門の設計中核メンバーと呼べると思うが、彼等の周囲の人に対する愚痴が主な話題。
非常に楽しい時間だった。彼らにしても、愚痴を言う相手として僕ほど適している人材は少ないのだろうな。
登場人物のキャラクターだいたい理解していて、やはり似たような感想もっていることが多いし、いまやその愚痴が当人に伝わる可能性低いし。
僕自身は、これまでのキャリアの中で自分ひとりで仕事をすすめることが多く、周囲の人の無能っぷりに苦労することは少なかったが、そういう経験は味わっておいたほうがいいのかどうか。まぁ運しだいだからな。
何にせよ、数年間一緒に苦楽を味わった仲間たちだ。そういう経験を共有できるのはそれなりに貴重で、やっぱりこれからも連絡とっていきたいと思っている。