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2013/9/29(日)

これが多分サラリーマン生活最後の長期旅行だ。何しろ、転職の狭間で作った一か月間の休暇だから、次に同じような機会ができることは、なるべくなら無いほうが良い。 転職しなくても今年は10年勤続記念で3週間の休暇は作れたが、まぁ色々とタイミングがかさなって、こういうことになった。

妻は育児休暇中で休暇の調整は必要ない。
娘は8カ月。海外旅行に連れていって良いものなのかどうか、結局は気合いの問題のようだ。ハイハイをし始めて身体はふにゃふにゃしなくなったし、まだイタズラや我が儘も可愛らしい程度しかできないので、案外旅行のしやすい時期のような気もする。
夫婦+赤子では、観光旅行というよりは子守りがメインになりそうだ。他に労働力となる道連れがいないものかと探してみたら、父が釣れた。ということで、前半4割程度は安田家三代のチームとなる。

旅行自体の構想はだいぶ前から転職とは無関係にあって、目的地はニュージーランド。大自然の中でのアクティビティを楽しむのが目的だが、将来、移住する可能性がないものかなとの感触をみてみたいという狙いもあったりする。食材は素晴らしいが料理がそれほど洗練されていないという印象があり、それを確認してみたい。

ルートは、結局おおむね南北両島を縦断することにした。
これまでの2回のニュージーランド旅行で行っていない、南島北端の複雑な海岸線のエリアでカヤック漕いでみたいだとか、妻はやはりサザンアルプスの山容を見てみたいだとか、そういったことを勘案し、オークランドinのクイーンズタウンout。赤子のためにも移動距離は少なくしたいものの、まぁ一か月あれば無理ない計画になりそうだ。


ベビーキャリアを背負っていると随分と注目される。娘は気に入ったようだ。
バシネットという、幼児用の簡易ベッド。実際にここで眠ってくれたのはほんの少しだが、荷物置きにはなる。

ニュージーランド航空のオークランド直行便。 赤子連れ用の、簡易ベッド取り付け可能な席なので、足元がかなり広い。

機内食は、妻の弁では、新婚旅行のトルコ航空より美味かったとのこと。40年前の機内食を知る父の言い分は、ちゃっちい機内食とのことだが、まぁそれは時代と価格が違う。効率化と資本主義の発達した21世紀では、機内食は多かれ少なかれこんなもんだと思う。

2013/9/30(月)

だいぶ余裕がない。一か月間休暇をとっておきながら、時間的な余裕が全然ない。
まぁある程度予想通りだが、日々移動して、子守して、次の計画たてて、炊事洗濯して、というサイクルをやっていく中で、日記を書く時間が確保できない。
今回の旅行記では、何故転職するのか、今後どうしたいかというようなことをつらつらと書きながら整理していこうかと思ったが、やはりそんなこと書いている暇は無さそうだ。
ということで、しばらく「何を考えたか」というような記述は放棄することにして、「何をしたか」中心にメモっていこう。 何を考えていたかといえば、目の前のおむつの交換について考えていたというのが、おおむね正確な記述になるので、わざわざ記述するほどのことでもない。「何をしたか」を記録しておけば、後から振り返って感じる何かがあるかもしれない。

オークランドに入って最初の食事。 繁華街の雰囲気のありそうなバーになんとなく入ったら、結構有名なお店だったらしい。
特に、蒸したムール貝が肉厚でプリプリしていて、大変に美味しかった。

今夜の晩ごはんは父親がおごってくれるとのことで、ホテルの近くにある中華料理屋へ。
酒を出す免許がなく、紹興酒は飲めず。味自体は悪くなかったが、店員とのコミュニケーションに苦労。まぁ海外旅行の最初の晩飯なんてそんなものだろう。


街の中心部に宿をとった。台所が充実しており、広い。景色も良くてコストパフォーマンス良いと思う。

2013/10/1(火)


オークランド市内観光。まず行かなければならないのは、魚市場だ。
それなりに鮮魚もちゃんとおいてあるが、規模としては小さく、小田原の観光市場くらいか。


活けのうなぎと伊勢海老(クレイフィッシュという)が売っていた。
今日のメインとして、伊勢海老をリクルート。移籍金は50ドル。安くはないが、日本と同じくらいかな。


オークランドは、「帆の街」というあだ名があるらしい。
港が街の中心部となっており、クルーザーや帆船が並んでいる。

魚市場や港の周辺におしゃれなカフェ、料理屋さんがたくさんあるので、その中の一軒へ。
海外でレストランへ行くと、何をどの程度注文すればよいかは良くわからない。迷うのは、メニューに並んでいる価格があんまり安くないからという理由もあるが、見栄えの良い料理は出してもらえる。




ニュージーランド人はこういう変な乗り物が好みのようだ。

観光客らしく、オークランドのタワーへは登る。 入場料はかなり高額だが、一番高いところに登るのは必須だとは思う。 この最も高い建物からまっさかさまに落ちるアトラクションがメジャーというのが、ニュージーランド人の国民性なんだろうか。 やろうとは思わないが、馬鹿馬鹿しくて好ましい国民性だと思う。実際に落ちてみたら楽しいのかもしれないし。


イセエビを生きたままオーブンへ。切ない目をして焼かれていた。


残虐非道と言われようと、美味しいのだから仕方がない。ありがたく頂きます。


噂には聞いていたが、ニュージーランドワインも確かに美味しい。すごく美味しい。
(これまでの滞在も飲んでいたが、箱入り安ワインばっかりだったし、味の差も分からなかったし)

2013/10/2(水)

レンタカー借りてオークランドを後にする。準備期間を経て、本格的な旅の始まり。

ナビ係の父親をおおむね無視しながら、なんとなくの方向感覚でオークランドを抜ける。 地形的にそれで何とかなるし、実際回り道はしなかったが、ちょっと細かい道を取りすぎたかもしれない。

ドライブする上で、最大の難関は娘の機嫌のようだ。どうもうちの子は、車に乗せられるのがあまり好きでないうえに、泣き出したときは相当な根性を見せる。休憩地点を選ぶのは彼女の仕事で、我々は否応なくスーパーの駐車場に止めたり、そのへんの公園なり道路際に車を止めることになる。

そんなわけで、昼ごはんはオークランド郊外の適当な田舎の、小さなローカルゴルフ場の片隅で。 スーパーで買ったパンにチーズやら何やらはさんで食べた。スーパーで買ったお惣菜のサラダも結構おいしかったが、ちょっと甘くて量を食べるとしつこかった。


名も知らぬ集落の牧場脇を散歩することになる。

最初の目的地はオークランドの湾を挟んだ対岸、道のりで言うと200〜300qくらいのところにあるコロマンデル半島というところ。東京にとっての伊豆半島みたいな地勢、と考えておけばだいたい正確。

海がやたらと静かで、猪苗代湖あたりよりも波が静かだった。伊豆の下田あたりよりも民家は少ないが、行きかう車の4割以上がボートを曳いており、通り過ぎる入江の4割くらいから、車載ボートの上陸ポイントとキャンプ場らしきものがある。

半島の東側まで回るのは、時間的にちょっときついだろうか。内湾側のコロマンデルタウンを今日の寝床にしよう。
「AA」という、JAFみたいな組織が宿泊所の辞書みたいなリストを発行しており、観光案内所なんかで無料で入手できる。そいつをパラパラとめくって見つけためぼしい宿で今日の寝床をを確保。
誇大広告でなく、期待以上に景観の良い、気持ちのいいところで、コストとしてもまぁ想定内くらい。


コロマンデルタウンのハーバービューモーテルというところ。


部屋のベランダから夕日もきれいだ。

けっこう塩振ったはずなのに、なんか塩気が足りないなと思ったら、買ったのは塩ではなく、マグネシウムだった。 なんでニュージーランドのスーパーの目立つところに、にがりが売っているんだ?何に使うんだろ。
ということで東アジアの誇るスーパー調味料、醤油の出番となる。


SALTと書いてあれば塩だと思う。




星も良く見えた。

2013/10/3(木)


宿の近くから、手頃な散歩道があるので歩いてみた。


海沿いの丘を歩くコース。視点が高くなれば景色も変わる。


このあたりは、「カウリ」という巨木の森林だったが、かなり伐採してしまったらしい。
それを反省し、苗を植林しているコース。


展望地でピクニック。


ミニチュアのようなコロマンデルタウンの町が見下ろせる。


どこでも授乳。


コースは町の近くに出るので、ついでに昼食。


もう一つ、町のはずれから宿方面へ戻るトラックを歩く。


往路は「Walk」、今回は「Track」というカテゴリーで、レベルが上がる。
森林の散策路で、ちょっと遠回りだったな。


夕方、宿でカヤックを借りて海上を散歩。釣り糸もたらしてみたが随分と浅い海で、仕掛けと合わず。


サンセットクルーズだ。

宿のおじさんは釣り好きらしく、「カヤックではどこで釣ったらいいか分からなかったよ」と言ったら、今日オレが釣った鯛を分けてやろう」とのことで、差し入れをもらった。だいぶ大きなタイのようで、肉厚だ。醤油とオリーブオイルを混ぜたのがよく合うということを皆で確認。


その他、町のお店で買ったもの。燻製屋で買ったムール貝の燻製は、これも感動的に美味しい。
肉屋のソーセージは、ヒツジ、ウシ、ムール貝。生肉の状態で売っていて、フライパンで焼いた。 ムール貝の燻製は、魚肉のようなパサパサした食感で、確かに海産物を多く使っている感じ。

2013/10/4(金)

宿も気持ちのいいところだし、連泊しようか。
というのは事実であるが建前で、釣りをするために連泊する。ニュージーランドでは乗合の釣り船は日本ほどメジャーではないが(というか日本は乗合の釣り船が世界一メジャーなのかもしれないが)、この町には乗合船がある。
昨夜、宿のおじさんにアレンジしてもらい、7時出発の乗合船に乗る。

20人程度乗れる平底の船に船外機をつけ、トロトロと静かな入り江を抜ける。
離島の近くの定置網のような綱に直接アンカリングをして釣りを始めたが、どうもこれはムール貝の養殖施設のようだ。 個人所有のクルーザーや船外機ボートも、数隻同じような釣り方をしている。波も静かで、防波堤で釣りしているような感じだ。

鯛釣りというと、日本では繊細で難しい釣りのイメージだが、ずいぶんと様子が違う。糸も太いし、仕掛けもずっと単純だ。 エサは、冷凍のイカとかニシンとかを、ぶつ切りにしてひっかけるだけ。水深は20m弱のポイントで、仕掛けを海底に落として待つだけ。
それでも、けっこう簡単に釣れる。鯛の魚影がすごく濃いようで、上がるのは8割以上がタイ。イカはエサ持ちが良いが、ニシンのほうが良く釣れた。
船底を悠々と大きなブリ系の魚が泳いでおり、池の鯉のように釣り人の落としたエサを狙っている。こいつら釣れないかなと思って目の前でエサをヒラヒラさせてみたが、まぁ見切られているようだ。専用の仕掛けを考えれば釣れるかもしれないが。

ポイントは3〜4度変えたが、結局1番最初のところが一番釣れた。
ニュージーランドの鯛釣りはキープできる魚の大きさに制限があり、小さめのやつはリリースしなければならない。
5尾釣り上げたうちの3尾がリリースサイズで、2尾持ち帰る。船中の平均的な釣果だと思う。
楽しめた半日だが、こんなに簡単に釣り上げられるとなると、今後の仕事に少し不安を覚える。


例の開高健の「中国の諺」だ。一生幸せになりたければ釣りに生きなさい。

本日は半島の反対側で宿泊予定だが、移動の前に娘の寝かしつけの散歩でカウリの巨木を見に行く。


写真では大きさを伝えにくいが、幹回り7mの横綱級。屋久杉みたいなものか。

半島の外海側にはきれいな砂浜が点在。人工物がほとんどないため、日本のどこの砂浜よりもきれいだと思う。 僕の知っている中では、福江島の砂浜がやや対抗できるか。

明日歩きたいコースの近くの、「Hahei」という町に宿泊する。見た目よりも遠回りしなければならない町だった。
宿が少なく、寝床の確保に苦労した。結局、子供部屋を改装したかのような、モーテルに泊まる。 実質はほぼ民家だな。部屋数は二人部屋が2つ、その両方を借りる。

宿の庭でこっそりと鯛を処理して、タイづくしのごはんとする。 久しぶりにお米炊いて日本食。日本酒がほしくなるが、白ワインすら確保できなかったのは残念。
鯛自体は大変に美味しく、各種の料理で丸ごと食べた。


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