Unsealed/Kings Canyon

今日はキングスキャニオンへ移動。観光ツアーなんかを見ると、ウルル、カタ・ジュタに次ぐこの地域の第三の目玉として紹介されている。
僕はメラニーループという道を通ってそこまで行くつもりだが、この道はアボリジニ地域を通るので許可が必要。許可証は最後のガソリンスタンドで売っている。実際には一度もチェックされなかったが、小冊子が付いてきて数百円なので、パンフレットに金を払うようなもんだ。

今日使う道は、ほとんどが未舗装道路だ。4WD車以外も通行可能なメジャールートなので、そんなに大変じゃないだろうと思っていたのだが。


Mt.Sonnerを望む。このへんは余裕


道路工事やっていたが、そのまま通っちゃって良いみたいだ


未舗装道路っていっても色々だ。90km/h出して快適に走れるところが多いが、悪いところは車全体が室の悪いマッサージマシンのようになる。スピードも30km/hも出せない。道を走っているというよりは、波立つ海面をモーターボートで走っているような。


Tylers Lookoutという展望台から。このあたりは道路状況が悪かった。
あの人目を引く大地の盛りあがりは何だろうと思っていると・・・


5000万年前の、多分彗星の衝突によってできたというクレーター。中心部まで道が通ってる。
ここへの枝道6kmは4WD専用で、さすがに一番道が悪かった。

航空写真のほうが伝わりやすそうだが、風格としてウルルやカタ・ジュタに匹敵するようなものは持っている感じかもしれない。
こういうところのリムに登って写真撮りたいが、ここはキャンプ禁止とのこと。
この土地の所有者であるアボリジニに悲しい伝説があって、それ以来この土地に住むのは禁止しているとのこと。伝説の意味はよく分からなかったが、その土地に住む人が敬意を払っているものは尊重すべきだよな。


ウルル登山も、アボリジニは喜ばないってことがいろんなところに書いてあった。じゃあ登らないほうが良いか、と思う。
他にいくらでも観光客が登っているような、標高1000mにもみたないところ登っても、それほど達成感も得られないだろうし、他人の敬意を汚してまではやるほどのことではないと思う。


5時間近い運転ののち、ようやく舗装道路となって、キングスキャニオンが見えてきた。
キャニオンって言うと日本語なら谷とか渓谷と訳されるけど、これは山だよな。やっぱり日本には無い地形なので何とも言えないが、周囲より標高が高い。その高くなったところに断崖がたくさんある。あえて言えば妙義山みたいな感じだろうか。


リムを登る

到着したのが4時ごろ。ガイドによると稜線上を歩くコースは3〜4時間、日の入りは7時なので時間が無い。まぁ荷物ないし、観光客の6,7割くらいの時間で歩けるだろうが。腹にクッキー流し込んで出発だ。

予想はしていたが、誰もいない。一人じめだ。

僕は一人旅が好きだから弁護しているのかもしれないが、こういう場所で完全に一人でなるのって、何かこう感じいるものがある。観光客のおばちゃんに混じって歩くのも嫌いってわけじゃないが、同じ場所行くにしても混みあった状況では僕の受け取り方は変わるだろう。
一人で歩いていると余計なことは考えず、地球と自分、ていう感じだ。



地殻変動だか何だかで、崖が切り立っている。オーバーハングになっていて、一歩踏み出せば数百m落下。
何も考えず、そこから飛び下りる自分を想像する。本当に何も考えず、いつものジャンピング記念写真を撮る程度の気持ちで。酔狂で。
背筋が寒くなり、足がすくんだ。

いつものジャンピング記念写真。


この1枚も気に入っている。.もちろん失敗写真は何枚もある。
誰も見ていないのを良いことに、セルフタイマーで研究。

良かった。まだ死にたくないと思っているんだ。
落ちれば確実に死ぬだろうし、今なら誰も見ていない。大して予定の無い一人旅なので、今僕がここに来ていることを知る人は居ない。
車が残るのでしばらくすれば誰かが変に思うだろうが、2,3日は誰も何とも思わないだろう。
生きている間にやりたいことはまだ色々あるから、まぁそういうことだ。

キングスキャニオンも、キャンプ禁止。キャンプ場は近くのキングスキャニオンリゾートと、キングスクリークにある。キャンプ禁止って言っても、一晩中星の写真を撮るのは良いのか悪いのか分からないが、とりあえず駐車場が夜8時から朝5時まで使用禁止って書いてあったから、ずっとここに居るのはだめみたいだ。


ここに星空が入る光景を想像して。月光に前景を浮かびあがらせて

蚊の強襲に恐怖する。
やっぱり日暮れのころになると現れる。あのプァーンていう羽音が何十奏にもなって絶え間無く響き渡り、標的は僕一人だ。車の中に逃げ込んでもやっぱり羽音がこだましている。暴走族に囲まれたみたいだ。
虫除けの薬塗って、長袖長ズボンに手袋までつけても、衣類の隙間や靴下の上からでも刺される。もしかしたらこのタイガーバームみたいな薬はハエ用なのかもしれない。
夕景を撮っていたが、彼らの妨害によってあえなく敗退。



もう夜も遅いし、明日も早く起きて出ていくし、ちゃんと宿をとる意味は少ない。
が、とりあえず慣れない外国では、とりあえず法的に正しく行動しよう。このあたりは国立公園だったりアボリジニの土地だったりするから、無難にキングスキャニオンリゾートでキャンプをする。

連日の夜景撮影、長時間ドライブ、ハイキングなんかでだいぶ疲労していると思うが、そんな状態でも料理するのは特に手間にも感じない。便利な習慣がついたもんだ。

今日は在庫一掃料理。じゃがいも、たまねぎ、ベーコン、チーズ、パスタなんかをまとめて煮た。他の残りものも焼いたり塩つけてかじったり。あれば食っちまうもんだ。
今朝、目を覚ましたら枕元においてあった謎のビールと、ワインも1本開いちゃった。

(2007/11/23)