行程
神戸-高松
8/11:青(航路)と赤 全体図
いま本州を離れた。
出発からもうすぐ10日が過ぎようとしているが、ようやくにして長いアクセスが終わったといえる。これからの土地が僕にとっての処女地となる。
神戸港10:30発のジャンボフェリー。
いま話題の瀬戸大橋はどれも自転車の通れないくだらない道で、頼りになるのはやはり海路だ。(車のことしか考えていない道が多すぎる!)
橋をかけたくなる距離ではある
船旅が好きだ。旅情を感じさせてくれるからだろう。
そういうものの中には他に夜行列車やローカル線などがあると思うが、船旅はその中でも飛びぬけている。
しかし僕のこの思いは痛烈な片思いに終わる場合がほとんどだ。
酒には酔わないが乗り物と自分には酔いやすい。
船が小さく波が高いと、どうしても我が身をこませ製造装置としてしまう。
海風を受けながら思いにふけていられるのもわずか30分。気分屋の彼女の船底にはいつくばることになる。
こうなるともう全面降伏。とにかくあなたまかせ。ひたすら機嫌が直ってくれるのを祈るしかない。
感情は停止し、僕は一本の管になる。体の奥で何やらグツグツと煮込んでいる。
舌を屹立させ、我が体液を深い海へとつながる穴へと流し込む。
倦怠感、不快感に包まれぬわけだが、そこに不思議な安堵感が加わるのはなぜだろうか。
あとは灰色一色になった頭と気の抜けた体を臥せ、揺られつづける。
今回の船旅。ジャンボフェリーの名に恥じず、かなり大きな船体で内海をわたっている。まぁ大丈夫だろう。
四国までの移動は、何日か肉体的にしんどい日もあった。当初の予定でもこの区間はなるべく短く済ませるつもりだったのでしかたないが、もうちょっとゆっくり釣りをして、写真をとっていてもよいのかもしれない。
時間はいくらでもあるのに、何故そんなに疲れるのか。忙しく感じるのか。
急ぐからだ。
四国からはもっとゆっくり回ろう。魚を釣って山に登って、あるいは一日中何もしなくてもいいのではないか。
(8月11日 記)
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