今年最大の家族旅行は、何年ぶりかの小笠原旅行。前回は末っ子が生まれる少し前だったから、8年ぶり。
そのときは2,3年ごとには行くつもりだったが、なかなかそういう訳にも行かないもので、「また5年後とか10年後には行きたい」と言っていた、当時保育園に通っていた長女の言葉のほうが正しかった。
子どもたちの習い事、部活、その後に続く受験なんかを考えると、今年あたりは最後のチャンスなんじゃないか。
大学生にでもなれば、また時間はできるかも知れないが、子供が子供である時代に家族で行くには、案外今しかない気がする。
日程は色々あって一航海。父島母島、両方行くのはけっこう厳しい。となると、僕としては母島を優先させたい。
11時出航。平日だが社会人もかなりの人が夏休みになり、9時台の電車にも大荷物で乗れる。
出航直前、待合室に釣り竿を忘れたことを気づき、ダッシュで回収。なんだか竿って忘れがちで、以前もどこかに忘れたことがあり、少しは学習してきた。
長い間小笠原旅行を躊躇していた理由の一つは、やはり子供たちが船旅に耐えられるか。上の二人は僕よりも乗り物に強そうだが、末っ子は割と酔う。
一航海で母島オンリーなんて、かなり船旅割合の高い旅行になってしまうが、大丈夫だろうか。
今日の海況は、そんなに悪くなさそうだがベストではない。関東地方は風が強く、大島近海は少し波もありそうだ。時間が経つにつれ波は収まるはず。 そんな予測の基に、東京湾内で昼飯食って、長めの昼寝してしまおうというプラン。
やっぱり子供はワガママ言って、完全に狙いどおり行くわけでも無いし、海況悪くないと言っても全然揺れない訳でもない。が、多少は酔うとは言えど、子どもたちも段々順応していっているようだし、夕日見たり夜空見たり、船内を少し散歩すれば気分転換にもなる。
僕にしてみれば、久しぶりの思い出の地に遊びに行くような旅行だが、子どもたちにはワクワクして欲しいし、いろんな発見をしてくれると良い。
なんだかんだ言って、子供たちはまだ自由意志で旅行を選んでいるわけでもなく、実質あまり拒否権ないような状態なので、こっちのワガママに付き合わせてウンザリ、みたいになったら申し訳ない。
楽しんでくれるかな。
船旅後半戦はかなり快適。
チビ二人はゲームしたりはしゃいでおり、長女はずっと寝てばっか。
定刻通り二見港入港。
うねりも無い航海ならば、飛行機や高速船よりもずっと快適だよな。散歩もできるし、シャワーも浴びれるし。
僕が毎年小笠原に来ていた時期からはもう15年以上経つので、船内も島の雰囲気も客層も、けっこう変わっている。
僕自身も、20代の若者から、もうすぐ50の子育てパパになっているのもあるが。
同船した父島泊まりの人たちがチェックインしている間に昼飯食ってしまおうと、下船後すぐにランチ。少し並んで座席確保。
カレーも美味しかったし、ワクワクしてくる。
ははじま丸出港まで、前浜で水遊び。 ぼうやがサンダル無くしたあと、無事にゲット。
母ユースあらため母島ゲストハウスにチェックイン後、今日の夕食が出ないことが判明。そういえば予約時にそんなこと聞いた気がするが、すっかり忘れていた。
たまには飲み屋にでも行くのも良いかと、特に気にもとめていなかったのだと思うが、元々豊富でも無かった飲食店事情はさらに悪化しているようで、大漁寿司は子連れ禁止、昔何度か行ったことのある島っ娘も休業中なのかな。今夕食やっているのは民宿メグロのみ。
じゃあ予約しようかと電話しようとしたら、電波入らず。
観光協会まで行ってみたら、ドコモの基地局障害とのこと。優しいおじさんがメグロに確認してくれたら、本日夕食営業なしとのこと。
要するに本日営業している外食は一つもない。前田商店で惣菜等買うのが唯一の選択肢で、閉店までに夕食確保、というのが来島最初の重要ミッション。
十年前なら自炊道具や食材も大体運んでいたが、最近はそうでもないからな。まぁ冷凍食品やら惣菜やらを確保。
食材がかなり物価高。島の生活も大変そうだ。
夕食後、観光協会主催の星空観賞会へ。
暗いのでよく分からないが、観光客と島民が混ざり、合わせて30人程度くらいの、申込も要らないアットホームな会。
月の無い晩で、天の川もはっきりと見える。そんなのオーストラリア、ニュージーランド以来だ。
以前の印象では、絶海の孤島といえど港周辺はけっこう街灯が多くて星が見えにくかった気がしたが、星空鑑賞に重点を置いたのか、僕の記憶違いだったか。
うちの子供たちには、たぶん天の川や流れ星を見るのは初めてになったっぽい。
これまでのキャンプや山登りなんかでも、見えそうな場面はあったはずだが、星空を見るには寒さを我慢したり、少し移動しなきゃいけないことなんかが多く、案外実現してこなかった。
一通り解説やクイズをやったのち、観望の時間。そのへんで寝っ転がり、流星の到来を待つ。
天の川の大迫力。夏の星座の千両役者たち。
僕が今まで見てきたこんなレベルの星空は、大体寒いところで冬の星座見ることが多かったが、いくら夜空を眺めても寒くないどころか、涼しくて快適。
「流れ星見つけた」「私は見損ねた」そんなこと言いながら、子供たちも楽しそうだった母島最初の夜。
神津島も夜空を売りにして光害対策していたが、母島でもやってるのかな?
やっぱり昔の写真見返すと、港周辺はもっと明るかった気がする↓

中二日間の狙いは、北港方面と南崎方面。
南崎へはカヤック使うと案外楽だが、全員は乗れない。
陸上部隊と水上部隊と2つに別れ、ワイビーチあたりで合流すれば良いと思う。
が、携帯基地局はしばらく復旧しないようだし、ちゃんと同期とれるだろうか。
集落から全部歩けないこともないが、夏の車道歩きなんてそれなりにハードで子供にも不評だろうし、車の手配とカヤックと時間あわせられるか。波があった場合に上陸できるか。
色々心配になってきて、今日は車の送迎さえお願いできれば特に心配のない、北港方面に行くことにする。
明日のほうが風も弱そうだし。
有償運送の相談してみたら、なんと車を貸してくれた。このあたりは常連のい特権かもしれない。
途端に色々プランが楽になり、車の威力を思い知る。母島は、徒歩だと相当広い島だが、車を使えば端から端まで1時間足らずだ。
ということで北港。
到着時は誰もおらず。水は割と冷たく、透明度は高い。
確か手前にも泳いで入れる洞窟があった気がしたが、子供が行ける距離ではなかった。
手前のほうは少し砂っぽかった。台風の影響なのか、温暖化で珊瑚が減ったのかは分からない。
少し泳いだらとても綺麗な珊瑚。
安物GOPROで撮影すると、伊豆で撮るときよりもカメラの性能が上がったかのような写り。
川奈の海だってけっこう綺麗だが、より透明度が高いみたいだ。
ぼうやは釣りをしたがる。
と言っても、この状況ならルアー投げるくらいしか釣りにならなそうだが、お前投げられないだろう。
それでもやりたいというので、まずは針外して練習。
いつになく真面目に取り組んでいて、だんだんまともに飛ばすようになってきた。
じゃあ針もつけてやろう。すると5投もすると、竿が曲がってる。
やはり根掛かりしたかと思ったが、そうじゃなくて本当に魚だった。
取り込み時にもたついてバラしたが、ハゼ系だかハタ系だかの根魚だったようだ。
さすが母島のポテンシャル。ルアー釣りで魚かけるとは。
昼飯食ってひと段落したら場所移動。
息子は釣りをしたいと言い、長女は他のところで泳ぎたいという。末っ子は息子と一緒に何かしたいらしい。
妻は妻で何かワガママ言うし、全員が納得するプランを考え、実行するために、お父さんは一生懸命汗をかく。
スパイファミリーのロイドさんみたいだ。
長女と妻を御幸之浜に降ろし、僕はチビ二人連れてカヤックの準備。
御幸之浜拠点にすれば、泳いだり釣りしたりできるだろう。沖港出てすぐの洞窟行ったりすれば面白いだろうし、
実際には支度の時間とか僕の休憩時間とか考慮せねばならず、チビたちは洞窟怖がって行きたがらなかったりしたが、御幸浜までカヤック小旅行。
先発チームも楽しく泳いでいたようだ。
「南崎が綺麗だから南崎行きたい」と主張する妻にも、母島の海岸はどこも綺麗だということを納得してもらえた気がする。
海のコンディションなんて毎日いろいろだが、どうしても旅行者なので、来訪時の一時点での印象でしか判断できない。しかも記憶で美化されたりする。南崎がきれいなのも確かだが、安易にランクづけしなくてもいいはず。
帰りがてら、ルアー落としてみる。
前回来たときに根魚たくさん釣れたのはこのへんだったよなぁと鯛ラバを2,3度上げ下げしたら、やっぱりすぐ釣れた。立派なユカタハタ。
昨日の不安を一掃する、とても充実した一日になった。
なんか久しぶりに体力100%使い果たした。
漠然とイメージしてきたのは、単なる家族旅行以上の、冒険要素のある旅行だったはず。もしかしたら今の状態はそれを少し実現できているのではないか。
睡眠不足でぼーっとした頭の中で、そんなことをちょっと考えた。

毎朝、何度起こしても目が覚めない息子も、5:30に起こしたらちゃんと起きてきた。
今こそ釣り行くぞ!

8年ぶりとは言え、実績のある場所で同じことをする。魚影の濃さはきっと相変わらず。
息子にやり方教えて竿を渡し数投。まだ僕の仕掛けの準備もする前に、きたーと叫び出す。
ウォー何だこりゃー。
魚もよく反応するが、息子のリアクションも大きい。

しばらくの格闘後、立派なフエフキダイをゲット。おめでとう。
これまで、ネンブツダイやオイカワくらいしか釣ったことなかった彼に、ようやく自慢できるような釣果を上げさせることが出来、父親の役目を果たせた。
その後も10投に一回くらいはアタリがあり、ユカタハタ、アカハタなんかを追加。
1時間くらいの釣りで、ストリンガーのフックがほぼ満席になる。
朝飯前で密度の濃い時間だ。
とにかく仕掛けを落として巻いてくれば、テクニック云々を語らずとも、良いサイズの魚が高確率で食ってくる。
そういう状況は、魚釣りの中で確かに起こり得る。魚という生物は、とても獰猛で貪欲になる能力がある。
が、いつでもどこでも起こるわけではなく、場所だったりタイミングだったり、何かしらの狙いや運や手順を踏むことで実現できる状態である。
今回でいえば、1日半かけて母島までやってきて、カヤック組んで仕掛け準備して、この海域にこの時間に居合わせる、というプロセスの上に、最後の「釣り」があるわけだが、幼いころはそのプロセスの途中で、飽きてどっかに行っちゃってたからな。
こういうことが成功体験になってくれれば。
そして今日こそ南崎方面へ。
携帯基地局は相変わらず不通だが、昨日の様子から考えれば陸海2方面作戦の同期も特に不安はなくなった。
反省点としては、チビ二人乗せたカヤックだと、漕ぎ手として気まぐれすぎて僕が漕ぎにくいので、3人乗りは止める。都道最南端まで車で行けちゃえば、その先は歩かせれば良いので陸上チーム3人、カヤックチーム二人とする。

妻が久しぶりの運転は怖いというので、僕は車で行って帰ってカヤック漕いでと、島をいろんな手段で行ったり来たり。
カヤックで岬を回り込むのは少し怖い。南崎手前のワイビーチに上陸し、そこで全員集結するのがベストだろう。

末っ子乗せてカヤック漕ぐ。
波も静かで空は青い。
海も青いが、一口に青って言ってもいろいろだ。
蒼、碧、青。あるいはボニンブルー。
それぞれの言葉が具体的にはどんな色を表すのか。
艇の下の海の色は、水深、海底の状態、下がサンゴだったり砂利だったり砂だったり。あるいは空の色、そんなものに影響されながら、青が深くなったり、鮮やかな緑が入ったり。
母島のこの海域は本当にカヤック向きで、娘が何となく気まぐれにパドル回していても、のどかに進んでいく。
陸上チームのほうがかなり早く着くんじゃないかと思いつつ、ワイビーチになかなか人影は現れない。
トカゲや鳥を探しながら、ずいぶんゆっくり歩いてきたらしい。
上陸直前、もうどれが誰だかはっきり分かるくらいになって3人がビーチに降りてきた。
無事合流し、ワイビーチでしばらく海水浴。

南崎でも少し泳ぐ。 冷たい水と暖かい水が混じる。 息子が小さなウミウシ見つけたらしい。
ワイビーチに戻り、カヤック隊は息子にメンバーチェンジ。
帰り道、ウミガメがすごく近くを通った。
脇浜に戻って、カヤック片付けたらちょうど夕食前。今日も体力ギリギリまで遊んだ。

出港日前の宴会。
やっぱり昨日北港ですれ違ったのはしっぽちゃんだったのか、とか、聴覚障害のある動物好きのお兄さんは、やっぱり前回も同宿したことある、とか、同宿していた4人組は、僕のドローン用ウインチ使ってくれた人だったとか、酔っ払いながらいろんな発見があった。
どうしてもやっぱり、いろんな人の噂話になる。
この宿の歴史は、僕が小笠原に行っていた時代とそれなりに重なる。
20年前とは客層も変わっていて、当時の僕が今のこの宿に来ても、同じような経験にはならなかっただろうと思う。そういうのも巡り合わせっちゃあ巡り合わせなんだろう。
子供たちは子供たちで、酔っ払いに混じって割と楽しそうに話をしていた。
20年前、こういう雰囲気のところを楽しんでいたんだ、ということを何となくわかってもらえたかな。
朝食前に妻と小剣崎へ。
絵になる風景を見たものの、妻はトイレ行きたいというので早めの下山。
せっかく簡単に行ける場所なのに、相変わらずの慌てすぎサザエさん。
出港日はやはりなんやかんや忙しく、朝飯食べたら荷物まとめたり、宅配便お願いしているうちに出船時間。
出港直前、釣竿を忘れそうになってダッシュで取りに行くのはお約束。
一航海で母島泊だと、遊べる時間は実質二日間。とは言え、短期滞在ならではの全力投球。こういった充実感を求めていたのかもしれない。
何しろ二日間とも最高の天気で、運にもめぐまれた。やりたいことをやりたいときに行えた。
子供たちの、おそらく記憶に残りそうな最初の小笠原旅行(長女も前回の旅行を、かなり断片的な風景しか覚えていないようだ)。
子供たちもこの島に歓迎されてるのかな。
父島到着12時。
おがさわら丸出港までは微妙に時間があるが、近場のビーチで泳ぐ案は子供たちは不要だと言う。昼食取って、買い出しして、近所を散歩したり。僕は僕で、きれいなビーチの傍らで魚をさばく。

凪の海の航海。
2等船室からは、船動いているのかな、というくらいに静か。
出発前に懸念していた、子供たちの船酔いもまったくない。(正確には、ゲームのやりすぎ時に少し酔っていたようだが)
妻は来年のカレンダーをめくり、次回旅行を妄想。

24時間の船旅も、ある意味クルーズ船のようだ。先代おが丸に比べてずいぶん上品になったというか、寝る場所はけっこう広いし、公共スペースも多い。夕日、夜空、朝日を見たり、珍しい動物を探したり、タラっとしたり。
疲れた頭の片隅に浮かぶ、充実の旅行を振り返りながら、名残おしい旅のエピローグ。
日記書いたついでに古いやつも見返してみた。今回の小笠原旅行は8回目だった。
●これまでの小笠原旅行
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