七度目の小笠原旅行は、妻子だけでなく父も連れての5人旅行。
できたこと
●子連れで楽しくトラブル無く楽しめた
●子供に小笠原気に入ってもらえた
●南崎まで家族四人カヤック
●カヤック釣りで根魚大漁
●田澤家、旅人の皆さんや島民に子供たちを可愛がってもらえた
くらいが、今回の旅で新たに得られた収穫。そのほか、
●久々に星の写真
●子連れで乳房山登山
●ちょっとだけシュノーケル
●ははじま丸からクジラのジャンプ
なども行え、ひと通りの課題を達成できた。
母島ユースは、予想以上に子連れ旅行がやりやすかった。宿のキャパ的に一体感というか、大体顔見知りになるので、少しくらい子供が騒いでも暖かい目で見てくれるし、ちょっとした時間に、他の宿泊者が子供の相手をしてくれる。
ペアレントの田澤家には、かれこれ十三年前からお世話になっており、今回の旅行も親戚回り的な要素もある。
難を挙げれば、ロフトと二段ベットと部屋中梯子だらけで幼児が登りたがり危なっかしいところ。芝生の庭も下の段差に落ちると大怪我しそうでこわいところ。
部屋は、家族で一部屋占拠できるし食堂行けば誰かと遊んでもらえると子供たちもすぐに理解し、楽しく過ごせた。
時の流れを感じた旅行となった。
小笠原島内の生物層は貧弱で、ちょっとした変化に敏感だ。外来生物が入り込むと、生き物たちのバランスがすぐに変わってしまう。
それと同様、観光の歴史も浅い島なので、観光の環境としても変わりやすいところなんだと思う。強い経営組織が運営するような団体はあまりなく、個人プレイの集合体で提供しているサービスが大半。前回来た時とはお店や宿も少し雰囲気が変わったように思う。
僕自身の環境も割と変わった。
社会人になってすぐの、初めて小笠原にいった時からは13年が経っている。
前回行ったのは、結婚直後の6年前だし、その前に行ったのは妻と初めて出会った9年弱前。
会社に入ってから子供が産まれるまでの十年強に知り合った人たちのけっこうな割合は小笠原で知り合っているが、小笠原、特にユース系リピーターというような狭い社会も、一周くらい代替わりしたような印象で、自分自身もまさにそんな感じ。
そこからさらに、今回は父と子供を連れての親子三代旅行。これまでの旅行とは、だいぶ違う立場になった。
小笠原での楽しみは、やりたいことはとりあえず一通りはかじっており、大きな宿題が残っている感じでもない。 子育て期に入ったこともあり、ここしばらくはそれほど強く行きたいとは思わなかった。
が、久しぶりに来てみて、やはり海の美しい良いところで、良いところだなぁと、魅力を再認識したように思う。
子供と一緒に楽しむという切り口から新たな付き合い方が始められるかもしれない。
おがさわら丸のキャンセル待ちも出発十日ほど前に無事確保でき、6年ぶりとなる母島へ向かう。
竹芝到着前に、釣竿を家に忘れたことに気づく。宅配しておくべきだったか。 竹芝近くの釣具屋は無くなったようで、新橋駅まで買いに戻り、割とつつがなくフォロー成功。
昨年から新造船に入れ替わり、微妙に船足も早くなった。外観はそれほど新しくないが、出発時間はちょっと変更。
それよりも船内がすごく良くなった。チケット確保が難しくなったかわりに、一人あたりのスペースが増えた。荷物置き場も使いやすく、公共スペースの荷物置場争奪戦をしなくて良くなっている。
キッズスペースは、子連れ旅行するようになって非常に重宝。 子供同士は初対面でも一緒に遊ぶ。娘は最初かなり躊躇していたが。
割と子供たちも楽しそうに過ごしており、心配事が一つ解消。海況も良好で、家族全員船酔いせず。船旅24時間は、飛行機等に比べればそんなに苦痛じゃない。
母島行きは二日目もほぼ移動日。すばらしい青空の下の船旅。
この青空を見ていると、これが当たり前の素晴らしいところだと思ってしまうが、ゴールデンウィークの晴天率はそれほど高い訳でもないように思う。
こんな幸運な空を移動日に使ってしまって惜しいと思う一方、旅の第一印象が最高だと、期待に胸が膨らみ、やる気もわいてくる。
久しぶりに母YH。チェックイン後、とりあえずカヤック組み立てる。
夕日も何とか間に合う。水平線に沈むのを見たのは小笠原旅行では初めてだ。
相変わらず息子の食欲が旺盛で、手を焼きながらの食事。回りの皆さまにも迷惑をかけるが、この旅行自体、親戚回りのようなところもあり、そこまで気にはならない。
ユースのお客さんも知った顔が多い。小笠原が初めてという人は全然居なかった。母ユースが初めての人もかなり少数。
前回来たときも、やたらと知り合いばかりだったが、毎年そういう訳でもなく、こういう状態は6年ぶりらしい。
まぁ、我が家5人に佐々木さん一味を合わせただけで、宿のキャパの半分くらいを占めるから、この状況の責任の一端はかついでいる。
小笠原のGWには珍しいほどの晴天。家族は全員眠ったが、鮫が崎まで星を見に行った。
久しぶりに星景写真を撮る。
こんなに綺麗な星空見れたのって、過去六回のゴールデンウィーク小笠原旅行の中では3度は無かったのでは。
本日も割と天気は良いようだ。 せっかくカヤックも組み立てたし、とりあえず海に行こう。
カヤック漕ぐくらいが適温だ。 日なただと汗ばむが、パドルから水しぶき浴びているとちょうどいい。
二人乗りカヤックでどう楽しむか。妻と僕で、各々チビを一人ずつ膝に抱えると、案外スムーズに漕ぐことが出来た。
とりあえずの試しで乗ったつもりが、特に大きな困難も感じずに快適に進む。そのままみゆき浜まで漕いで、浜に残った父を少し心配させた。
母島のランチで最も有名なのはおそらく「大漁寿司」であり、外食するならファーストチョイス。早めに来店しないと営業が終わってしまうが、間に合いそうなので入ってみる。 6年前にあった他の飲食店は、ランチ営業やめていて、新しくできたお店もランチは特定営業日のみで、そもそも外食の選択肢は一つしか無かったようだが。
釣りに行くチャンスは、家族の寝ている間がベスト。
5時前に起き、浜に置きっぱなしにしていたカヤックを水面に滑らせる。朝食は7時半だから、一時間以上釣糸垂らせる。
狙いは根魚。タイラバを上げ下げしてみよう。
シュノーケルしていても、母島の魚はやたらと大きく、警戒心も低い。これまでルアーで大釣りしたことあまりないし母島の釣りポイントは全然知らないので半信半疑だが、まあ何かしら釣れるのでは。
しかしこうまで簡単に思い通りに釣れるとは思わなかった。
魚探も電池切れで、短時間ということもあり、港を出て遠出もせずに適当にルアーを落とすと、五分もすると明確なアタリ。ねらいどおり、地元名でアカバ、標準和名でアカハタが釣れた。小笠原での代表的な高級魚だ。
これがもうよく釣れる。入れ食いと言って良い。主にアカバで、名前の分からない魚も釣れた。あとで調べるとフエフキダイ。こちらのほうが水面までよく引く。 二尾釣ったところでラインブレイクしたが、こいつのせいだったのでは。 凄いなタイラバ。根魚撲滅装置だ。
アカバ五尾にフエフキダイ二尾釣ったあたりで、魚籠がわりにもってきたネットケースから魚がはみ出るようになってきた。根魚なんて限られた資源だし、文字通りバグリミット一杯だ。魚の下処理もしなければと、予定より早上がりして、朝飯前に浜で内蔵処理をして帰る。
帰り道、イルカの群れにも遭遇。
先ほどから聞こえてきた高周波の歌声はやはりイルカだったか。
今日も良い日になるに違いない。
昨日の家族4人乗りカヤックが調子良かったので、本日はもう少し遠出。
とりあえず蓬莱根くらいまでは行けるだろう。久しぶりに再会したキリさん誘って2艇で出航。父は、気が向いたら蓬莱根行くかもしれないが、たぶん近場で散歩するだろう。
一歳児の海遊びは、片時も油断ならない。まだ危険を予知する能力は発達していないのに好奇心は旺盛だから、5秒間目を離すと危険地帯へ突進する。まだチビなものだから、案外視界からすぐに消えるし。
これがカヤックに乗せると、意外なことに安全管理上けっこう都合がよい。
多少は緊張するようで、一生懸命フレームを握ったままはしゃぐこともないし、10分も漕ぐ頃には完全に眠るし。
娘はもう少し順応し、最初はけっこうキャーキャー言って喜んでいたが、途中から飽きてきて、降りたくなっちゃったーとかのたまう。適当に聞き流す。
4人乗る重量増の影響か、海流の影響なのか、やたらと蛇行しながら進むものの、風も波も弱い。港から蓬莱根までは、緩やかながら湾になっており、ジワジワ進んでれば1時間もかからない。
妻は、南崎まで行かないと母島に来た気がしないという。
確かにそれも一理ある。岬を回って瀬戸にでる分、蓬莱根よりはチャレンジングだが、この調子ならそれほど高いハードルでは無いだろう。天候的にも時間的にも、今は絶好のチャンスだ。
やはり岬を回り込む際に海流の影響はさらに強まり、相変わらず蛇行。タンデム艇仕様では呼吸を合わせながらのパドリングが必要で舵の修正が面倒。「右3回」などと声をかけながら漕いでいくとだいぶ楽になった。とにかく、ちょっとずつでも行きたい方向に進めていれば、そう焦ることもない。南崎までも、特に大きな問題はなく無事に到着。
小富士に登っておにぎりを食べて、どこまでも続く大海原とすてきな海岸に停まる自分のカヤックを見下ろすのも、母島を象徴する素晴らしいアングルではある。 が、さすがに大した装備もなく幼児二人おぶって山登る気にもなれず、それは自重する。海岸手前のベンチでお昼ごはん。
沖港目指して戻る途中、大空に10尾ほどのトビウオが舞う。
イルカかマグロか、大型魚に群が襲われたのではないかと思う。全速力で逃げたようで、かなりの高度。ローアングルで見上げたのって初めてだ。
振り返ると、キリヤマ艇に当たりそうになっている。すげーとか言いながら驚いていると、今度は前方から衝撃音。なんと、妻の横っ面にトビウオ衝突。 残念ながらカヤックからはそのまま滑り落ち、漁獲には至らなかったが、飛行中のトビウオって人間にぶつかるものだとは知らなかった。
子供の寝かしつけがてら、鮫が崎まで夜の散歩。ちょうど南十字星が南中しているようで、ツアーの人たちが教えてくれた。
朝から晩までよく遊んだなぁ。そりゃあのんびりするのもこういう場所での過ごし方だが、こんな好天の日には一生懸命遊ぶというのも、絶対的に正しい過ごし方だ。
おが丸出港日。宿泊者の大部分はGW最終日まで滞在する人が多いが、後半は父島に移る人も多いし、少数ながら今日のおが丸に乗船する人もいる。
本日は高曇り。明日以降はそれほど良い天気でも無さそうなので、乳房山行くなら早めのほうがよい。
ははじま丸を見送ってそのまま乳房山に登る計画をしていたが、本日は学校でこどもの日イベントがあるという。
これは観光客向けというより、島の子供たち向けのイベントだが、たしか十年ほど前にも参加したことがある。島の子供たちは人なつっこいので、けっこう遊んでくれた。
そんなイベントの存在を娘に知られたら、当然幼児は参加したくなる。行ってみることにする。
一時期母島に住んでいた友人から、島の生活は習い事やらイベントやら、けっこう大忙しだったと聞いたことがある。 確かに今日のイベント一つ見ても、島民総出の手作りイベントという感じがする。その苦労の成果を、ヨソ者である我々にもわけ隔てなくふるまってくれるのだから、頭が下がる。
軽く遊んだら乳房山へ向かうつもりだったが、島民たちに進められるまま、昼食の焼きそばまでいただく。毎日遊びまくって、疲れも溜まっているころだ。無理に乳房山行くことも無かろう。
標高463m、本日の乳房山登山は敗退。
代わりに、小剣崎くらいは登るか。
標高111.9m、片道15分、ギョサンでも登れるくせに、高度感もある展望の名コースだ。
時間はかからないが、軽く登れてしまうかというと4歳児にはそうでもない。
そろそろハイキング中もおんぶしないようになってきたが、岩場はアスレチックよりもずっと大きい。小さな手足で登るには、けっこうスリリングだ。
娘にとっては、小剣崎もバリエーションコースとなり、一歩一歩三点確保をしながら慎重に進む必要がある。それを見守るこちらもハラハラ。ここに登るのはたぶん10回目くらいになるが、これまでに最も高度感を感じた登山になった。
夜の宴会で、割と魚も消費している。もう少し釣っても消費できそうだ。
再度、朝食前にカヤックを出し、やはり一昨日と同じように入れ食いを味わう。
リリースするとちゃんと泳ぎ出すフエフキダイは3尾中1尾キープし、水深変化に弱いハタ系は全部キープ。でかいユカタハタ2尾、アカハタ1尾で合計6尾。1時間もかけていないと思う。
大根引っこ抜いてくる感じ。
市場では1キロ3000円以上はする魚が5キロも10キロも釣れたから、時給1万円をはるかに越える。こんな海が近くにあればへぼ釣り師でも生計立てられそうだ。釣果というより水揚量。
今日こそ乳房山へ。 天候は高曇りで、頂上も見えている。
標高500m弱、しっかり登山道がついている山なので、単独なら2時間程度で往復することもできる。が、集団でしかも子連れだとその2,3倍かかり、その方が似合っている山でもある。
現在、小笠原は水不足、ダムも渇水状態。 熱帯のジャングルたちも元気がない。
小笠原の自然で魅力的なのは、なんと言っても海。大型生物が跋扈する、人間の所業とは関係のない世界。
それに比べると、どうしても地上は要塞跡だらけだし、貴重な固有種は地味で貧弱で外来種に押されまくってるし、見劣りがしてしまう。
が、一歩山の中を歩くと、やはり内地とはまったく違う空気。亜熱帯の森を歩くのもけっこう楽しい。
木々に目をやると、生存権を奪い合って激しく戦い合っている姿が。100倍速くらいの早送りでこの林の中をみたら、宇宙人同士のケンカみたいに見えるんじゃないかと思う。
環境省公認の嫌われ者、グリーンアノール。捕獲の効果があったのか、多少減ったような気がする。
水不足のせいかもしれないけど。
とはいえ、それほど探さなくてもそのへんを歩いている。世界遺産騒ぎの前は人気者だったように思うが、たくましく生き延びている姿をみると少しホッとする。
外来種、固有種と騒ぎ立てたところで、最大の外来種たる人間が他の生物の生殺与奪の権利があるのか、合理的な説明ってできないからな。
序盤は不機嫌でママに背負われていた娘も、中盤からはテンションが上がってきた。頂上の一つ前のあずま屋から自分で歩き出すと、タッタカ進んでいき、なかなか追いつけない。
一日けっこうちゃんと山歩きをした感じだ。娘もだいぶ楽しそうに歩いていたし、良い山登りになった。
母島の二大巨頭、乳房山と南崎の双方に幼児二人連れていけたのだから、なかなかのものだろう。
明日から移動日。遊べるのは最終日だが、片づけもあるし、子供たちの相手をしながらのんびり過ごす。
うちの子は、数日前から出入りしているジャイアン(元ヘルパー)の娘とも段々仲良くなってきて、特に遠出しなくても楽しそうに遊んでいる。
ジャイアンとは、共通の知人は大井が、これまで一、二回顔を見たことがある程度。今回初めて話をしたが、趣味が似ているような気がする。ユースのヘルパー出身者でも最も島にとけんでいる一人だろう。楽しそうに生活している。
荷造り後、防波堤で釣りくらいしようかと思ったが、それすらやらず。子供と遊びながら、のんびり過ごした。
荷物を家に置き、最寄り駅まで戻って駅ビルのイタリアンで旅の反省会。
初めて来た店だが、景色、雰囲気がよく料理も良かった。
●これまでの小笠原旅行
・2011 GW
・2008 シルバーウィーク
・2007 GW
・2006 GW
・2005 GW
・2004 GW