今回の台湾旅行を端的に表現すれば、「右手にお箸、左手に乳幼児」となる。
当初のコンセプト通りとはいえ、観光らしい観光はほとんどせず、いかにして子供の機嫌を損ねずにおいしい食事にありつけるか、というような4泊5日の台北滞在。
妻と二人で甘えん坊三歳児と生後五ヶ月の乳児の面倒をみるので、それぞれマンツーマンで子供を抱えながら食事もする。タコ並に八本の腕とまではいかなくても、昆虫並に六本くらい手足があれば、もっとゆっくりごはんを食べられるのかもしれない。せめてお箸の文化圏で助かった。
子連れの海外旅行は初めてではなく、4回目となるが、ある意味では初めての家族旅行だった、というような印象もある。第二子を連れて行くのは初めてというのと、娘が人間らしくなってからは初めてで、親の都合だけでは行動を決められず、娘にも説明責任を果たさねばならないようになってきた。
ということで、出発日は連休前の金曜日、完全に移動日。午後休暇をとり、一端自宅戻って成田へ。
1730発予定のLCCは、機材整備ということで前日連絡が入り、19時前くらいに離陸。
安いのに良い時間帯、ということで、2年前の台湾旅行と同様バニラエアを利用。
成田の第三ターミナルは、プレハブ作りのチープな感じだが、必要なものがすべてコンパクトに揃ってて便利だ。名実ともにLCCな感じ。 ターミナルに着くと、チェックインカウンター、コンビニ、本屋、大きめのスーパーにありそうな規模のフードコートがある。
とりあえず大きなトラブルもなく宿に到着。
前日に連絡のあった飛行機遅延のほか、入国審査がやたらと混雑していて、到着は午前2時近くになってしまった。有給とらずに乗れる最終便よりもちょっと早い程度の時間だが、不可抗力だから仕方がない。
宿泊は永康街のアークホテル(方舟旅店)というところ。
レストランというジャンルを外しても全台湾中でもっともブランド価値のありそうな小籠包屋さん、ティンタイホウの向かいにあるホテルだ。今回の旅行ではティンタイホウに行く気はないが、前回の食べ歩きツアーで美味しかったお店のかなりの部分が、このエリアからアクセス至便だからという理由で選択。
狭い部屋が多いようだが、最上階に家族向けの広い部屋があってそこを予約。
幼児と乳児を連れた旅行には大変良い宿だったと思う。観光や食事の合間でもチョコチョコ部屋に戻れるし、子供を寝かせた後でも近所の食堂に総菜買いに行ける。
部屋に戻れば、幼児が走り回れる。和室のような洋室のような作りだが、快適な部屋だった。
昼食は銀翼餐廳。
蒋介石が大陸から連れてきたコックによる上海料理ということで期待したが、感動するレベルでは無かったように思う。美味しいっちゃあ美味しいが、日常的に行くレストランの美味しいっていうくらいかな。
台北には案外両替所が少ない。
成田で死なない程度に換金したが、基本的にはレートの良さそうな現地でするつもりだったが、土曜日なので銀行がやっておらず、明日から困りそうだ。台北くるのは3度目だが、滞在期間が短く、今まではどうにかなってしまっていたのだろう。
検索すると、土日に換金できるのが台北駅の郵便局(午前のみ)、中山にあるお茶やさん、松山空港の換金所、レートは悪そうだがデパート内の換金所というあたりになりそうだ。
何故お茶屋さんが公式の換金所になっているのかは謎だが、混乱期にうまいこと政治力使って既得権にしてしまったのだろうか。ともあれ、最も便利そうなお茶屋さんに行くことにする。ついでに台湾茶の試飲をするのも悪くない。
昨年の香港旅行でも、一昨年の台湾旅行でも、中国茶を真面目に味わうような店には行き損ねているのでちょうど良い。
二種類ほど試飲し、確かに高級のやつの方が美味しかった。
おそらく茶葉良くすれば良いというわけでもなく、入れ方が重要なんだと思うけど。茶芸というくらいだし。
僕はコーヒーも日本茶もこだわりは全くないが、こういう世界があるんだなぁというのを味わう。
味わう用と香りを楽しむ用で二種類の茶碗を使うのがセオリーのようだが、これ日本酒飲むときも真似してみようかな。
食べ歩きツアーなので、一日四食がノルマ。 早めの晩ごはんとして、二年前の小籠包屋さん巡りで最も美味しかった杭州小籠包に再訪。 ティンタイホウも美味しいっちゃあ美味しいが、こっちの方が美味しいんじゃないかというのが妻との共通意見。今回は小籠包巡りに重点はおかないが、この店は来たい。
やはりここは感動がある。 なんでこんなに薄くてジューシーなのに破けないんだろ。肉汁、カニ汁をたっぷりと包んだ薄皮は、口に入れた瞬間に弾ける。計算され尽くしたというか、美味しさを刺激するための自動プログラムが発動している感じ。
まだ寝るにはちょっと早いので、徒歩圏内の師大夜市へ向かうが、よくわからず。どうやら通り過ぎてしまったらしい。 大して調べずに歩いていたら、夜市のイメージというよりは裏原宿という感じのお洒落な街の雰囲気だったが、そういうのが魅力のところだったようだ。
帰宅する際に夜食購入したのは、ホテル近くの大来小館。
評判通りに美味しかったが、テイクアウトだけでなくお店で出来たてを食べたくなる。
今回の旅行中に再訪したかったが、タイミング合わず。
前回感動した台湾の朝ごはんは、豆漿。豆腐と豆乳の間みたいなやつ。
子供たちが寝ているうちに買ってこいと有名店までパシらされる。
台北市内には乗り降り自由の貸し自転車システムがある。
1回10円やそこらで借りられ、大変完成度の高い仕組みだ。中学の頃、こういうビジネスを始められないか妄想していたが、それが具現化されている。
台北版スイカで借りるようなのだが、最初に登録が必要なようで、借りられなかった。後に調べると、旅行者はクレジットカードを使えば良いようだ。
盛園という店は、店名が変わって移転。移転してしまったので宿からは若干遠くなる。散歩をかねて適当にショートカットをしたら、通り過ぎてしまってえらいこと時間がかかった。
店によってどの程度差があるのか分からないが、やはり美味しい。 台湾文化は豆乳を使うのが上手だと思う。 揚げパン二つ頼んだらずいぶん大きくてビックリしたが、案外さくっと食べられる。 クルトンとか天かすが近い。
近所に大きな公園があり、そこで遊んだ。
台湾には珍しく砂場があるが、砂浜の砂を運んできたっぽく、日本の砂場より綺麗な感じ。
昼食は高級店へ。日本風にアオバと発音する「青葉」。台湾料理を開拓したのがこのお店だという。
沿革としても、ビジネスマンが接待に使うなど、きっと日本との関わりが強かったのだろう。そのせいだろうが、日本人子連れ旅行者的にも使いやすい。綺麗なファミレスと行った感じのボックス席があり、給仕さんたちは日本語が通じる。
ぶっとびスープ。
「美味しんぼ」か何かで見たことがあるが、確か色んなダシとなる食材を長時間蒸し煮にした高級スープだったと思う。いつか食べたいと思っていたが、
広東料理の漢方スープみたいな感じで、一口目から感動的に分かりやすく美味しいというよりは、飲んでいるうちにだんだんジワジワ美味しくなる。
カニおこわ。
赤子抱えながら食べるのが大変ではあるが、大変美味しかった。
これまでの生涯の中でも最も濃い味のカニ肉だったかもしれない。
中華ってワタリガニの味を上手に引き出すと思っているが、これもその好例。
妻はカニをむさぼり続ける。
他の客が全員帰り、店内の掃除も終わり、給仕も昼休みに入りだしても。
子供たちが退屈し始め、抱きついてきても、最後の一口までカニを食べ続ける。
食い意地もここまで来ると見上げたものだ。いくら空気読んだところで腹は膨れないが、カニをほじくれば幸せになれる、という理屈なのだと思う。
店の代表料理ばかり注文しいてしまったので値段もけっこう行ってしまったが、その額に見合う満足感はある。高いといっても、新宿あたりでつまらん飲み屋行くと同じくらいで、ちゃんと感動のある美味しさがある。
遅めの昼食の次は早めの夕ごはん。食ってばかりだ。
その間は何をしていたかというと、授乳したり、土産を探すが何買って良いか分からなかったり、大して有効活用していたわけでもない。子供と公園で遊んでいるうちに雨が降ってきたので宿近くの台南料理へ。
ニンニクがガツンと効いて麺はサッパリ。わんこそばのようにペロッと平らげる感じ。
何も効かなければベトナム料理って思うが、台湾料理も南へ行けば東南アジアに近づいてくるのだろうか。
会社の近くにでもあれば週一くらいで食べに来たくなると思う。遠くから電車賃払ってまでは来ないかな。空腹時に食べたら違う感想になるかもしれないけど。
子供の寝かしつけは割と順調。
夜食+酒のつまみは餃子。これまた近所にある有名店、東門餃子館でテイクアウト。
台湾でよく食べているのは南方系、蒸し系中心の点心が多いが、このお店は北方系の餃子、日本の餃子に近い方だと思う。
北方系の餃子も美味しい。が、エビシューマイなんかの南方系点心のほうが感動があるように思う。
この店も家の近所にあれば外食ローテーションに入れるだろうが、電車で5駅離れたら通わない気がする。
ホテルの近隣案内図に載っていたお粥やさんが閉店してしまったようで、ウロウロしているうちに見つけた近所の市場の一角の食堂。ツミレ汁が大変美味しくてビックリした。 こういうところの常として、料金も自炊してるみたいに安いのだが、店先ではおばちゃんが丁寧にこねたつみれの出来映えにうっとりとしている。資本主義ってどういうことになっているのだろうとか思ってしまう。
そして今日も食べ歩き。最初は阿宗麺線。
オシャレ街の真ん中で老若男女が立ち食い蕎麦すすってる感じの有名店。
麺をれんげですくって食べる。パクチー×鰹だし×酢×伸びたソーメン。って書いてもあまり魅かれる感じはしないが、妙な病みつき感がある。食べていくうちに段々病みつきになる感じ。次は牛肉麺。台北在住の妻友人のお勧めの「興偉牛肉面大王」というところへ行ったつもりだ。
怪しげな路地裏の屋台街の一角にあり、看板も出ていないので確証は無い。客も多くこだわりの店っぽい雰囲気がある。写真禁止、支店はありません、的な表示がある。
牛肉麺に関しては、そこまでの美味しさは感じられなかった。
日本のラーメンより深い感じのダシはとっているが、華やかさが無いというか奥ゆかしすぎるというか。食べ比べるほど食べてないが、わざわざ気合い入れて食べ歩こうとは思わなかった。
いくらなんでも、食べ物やさんを行ったり来たりするだけで4日間過ごすのも如何なものか。多少は観光にも出歩こう。とはいえ、なんだか今は梅雨みたいに雨の日が多いので、陽明山や猫空でピクニックするのも難しい。温泉行くのが良いだろう。
最もアクセスの良いのは北投温泉。何しろ市内中心部から30分程度で着く。小田原から箱根いくような感じだ。湯量豊富な高級温泉のようだが、観光のついでに立ち寄るにはちょうど良い。
水着で入る混浴公衆露天風呂にするか、ホテルの家族風呂にするか迷ったが、家族風呂に入ることにした。小雨の降る公衆温泉では、赤子連れたまま着替えや授乳をするのに不安がある。
入浴施設はピンからキリまでいくらでもあるようだが、「北投天明泉會館」というところが新しめで綺麗なようなのでそこにする。
日本でも家族風呂を持つ入浴施設は珍しくないが、家族風呂だけが何部屋も並んでる施設っていうのはあまり無いのでは。 1000元強、今のレートだと4000円くらい。一部屋全員分の値段なので、、まぁ日本の日帰り施設の高いところより高めだが、貸しタオル、喫茶室でのケーキがついて二時間お風呂を占有できるので、サービス考えるとちょっと安いくらいか。
子供もずいぶん喜んだし、この選択は大正解だったのではないかと思う。
公衆温泉だと、落ち着かずに逆に疲れてしまったかもしれない。
当然のことだろうが、やはり家族構成が変わると選択は変わるということを実感。数年前なら僕も妻も露天公衆温泉のほうの一択だったような気がするが、乳幼児連れだとこういうのが良いんだな。
一端宿へ戻った後、子供はまだ出かけたがる。台北最大の夜市、士林夜市へ。 先に夜市行ってから小籠包屋さん行った方がスムーズな動線だが、食い意地が優先された。
士林は最近整備されたとかいうことで、食堂は地下、地上はその他。夜市の魅力たるいかがわしさは減ったかもしれないが、子連れにはちょうど良い。
天気の悪い平日でも、ものすごい混雑。やっぱり独特の雰囲気があってエネルギー感じるよな。
現金の手持ちがあまりない。雰囲気楽しんで娘につまらんオモチャでも買えば良いかと思っていたが、娘はサンリオの正規品ぽい、あんまり安くないキティちゃんのハンコを欲しがり、持ち金がだいぶ無くなる。
エビ釣りに挑戦。
まぁ金魚すくいみたいなもの。ちり紙捩って作ったような釣り糸の先にルアー用の3本フックがついており、それでひっかける。尻尾の先端に針掛かりさせれば上げられるが、中途半端なところだと尻尾ではたかれラインブレイクする。竿7本で100元。
釣具メーカー勤務の面目躍如で4尾ゲット。娘に褒められた。 周囲を見ていると案外皆苦戦しているようなので株が上がった。
最終日、飛行機は17時ごろだが、何だかんだで昼飯終わるまでが観光。
近所でお土産買った後、シェラトンホテルにあるレストラン、辰園に再訪。 二年前の訪問で最も感動したレストランのうちの一つだ。前回と同様、最も安いコース料理を注文。
タラ。こんなに脂が乗っている鱈があるのか!
何をどうしたらこうなるのか。築地あたりよりも鱈の流通において有利とは思えないのだが、元々すごく脂が乗っているのか。部位なのか。美容整形でも施したんじゃないか?実はタラに似た別の魚?
魔法のような料理法を使っているのか?
エビチャーハン。長粒米使い、理想的なチャーハンはこうだと言わんばかりの、お手本のようなチャーハン。
とはいえ、日本のラーメン屋さんでも、美味しいチャーハン食べられる時もあるからな。
いくら旨くても、例えば先ほどのトンポーローやタラのように、これまでのチャーハンの概念を覆すというほどでは無いと思う。他の料理のほうが希少価値があると思った。
それなりに1日4食ペースを保ち続けて実質三日半、今回は色んなジャンルの食事を食べ続けた。
やはり一番わかりやすく美味しいのは小籠包、点心の類だったな。
あとはベトナム料理のような台南料理とか、豆乳使った朝ごはん、ほのかに甘いデザートも美味しいと思う。
再訪したい料理屋さんリストは、今回実際に再訪した杭州小籠包、辰園に加え、青葉は美味しかったかな。大来小館も今度はお店で食べてみたいと思う。台南系の料理も全般的に美味しかった。
台北、東京、香港の中華料理屋を比べると、何となく香港のほうが美味しいような気がする。が、レート変動もあるだろうが、香港は東京よりも高く、そう気軽に食べ歩きも出来ない。
台北は東南アジアみたいに極端に安いわけでもないが、東京より明らかに安いし、美味しいところも多い。街の大きさも手頃な感じで、食べ歩きには大変都合がよいと思う。
思い出に残るような高級店でランチ食べても、新宿で呼び込みについて行って入店するような、内装だけちょっといいくらいの飲み屋よりも安いくらいだったりするし。
空港までのバスがホテルの裏から出ているので利用した。
他の空港リムジンより微妙に安いのは、桃園空港の手前で高速降りて市街地を走る。渋滞しないかやきもきしたが、特に滞りなく到着。ガイドブックによると桃園空港まで地下鉄が延びているはずの時期だが、まだ開業していない。
帰国もそれなりにスムーズで、日付が変わる前後に帰宅。
三度目となる台北旅行だが、二年前と比べても地下鉄路線は充実し、都市としても成長を続けているのだろう。相変わらず街の広告等、随所で日本への尊敬が感じられ、なんだか恥ずかしくなってしまう。
自分たちの国は確かにそう捨てたものではないなぁと思う反面、生活の豊かさなんかのアドバンテージは急速に追いつかれているのだろうし、西洋系の友人たちとバイリンガルに談笑している若者見ると、今後きっと世界を股に掛ける貿易や新世界を切り開く起業なんかは、日本は後塵を廃していくような気もする。
最も気軽に遊びに来れる国だし、また台湾には来るのだろうけど、何年後になるのかなぁ。 次は台北以外かなぁ。
旅行あけの常として、眠い感じの一日。今週出社するのは今日だけなのだが、あまりはかどったとはいえず。
子供たちも不機嫌な一日だったようだ。そりゃあ疲れただろう。
東京ナントカ大学と名付けられた二つの国立大学を梯子。その合間にゴールデンウィークの神津島行きチケットをゲットした。
久しぶりに床屋へ行く。だいぶ短く整えたら、その整っている感じに違和感があったらしく、娘に「変なおじさん」と言われる。髪切る前が変なおじさんじゃなかった訳でも無いとは思うが。
毎年1,2回やっているアイデア出し会議の「今回のテーマはかなり具体的なもの。
日常業務で実際の担当者がやればいいのではという気もするが、周りの人が何を考えているのか把握するには良い機会。他の設計者も、こちらが危惧していたほどロジカルでない手法が好きなわけではなく、やはり論理立てて仕事を進めたいとは思っているようだ。
設計的に性能アップを実現するには、地道に王道を行くほかは無い。