やたらと気持ちの良い秋晴れだ。
そこまで気合の入った野外活動の頻度が減り、週の半ばごろから天気予報の各種データを凝視するようなことも少なくなってきたが、予報よりもだいぶ良い方向なのかな。
今日は大した予定はないが、こんなに気持ちの良い日に、家の中でごはんを食べるのも勿体無い。河原に七輪もっていって、バーベキューしよう。ひと通り家事を済ませた後、冷蔵庫のありあわせの食材を焼く。
普通に昼飯作るのと大して変わらない手間でバーベキューが出来るのは嬉しいよな。
結婚した前後は会社から帰ったあとでも七輪持ち出したりしていたが、久しぶりに七輪使った気がする。 コールマンの普及型バーベキューコンロよりもずっと燃費が良く、使用する炭の量は1割以下だと思う。関東大震災の頃は七輪で煮炊きしていたそうだが、さすが日用品。
明日からの旅行の支度をしているうちに、娘はそのまま出かけたくなってきたらしい。
それじゃあちょうど釣具買いに行こうかなと思っていたので、それで誤魔化すか。
妻も一緒についてきたが、府中街道が渋滞中でなかなか進まない。空腹でイラつき始めた妻子と共に買い物するのも気が重く、途中で夕飯食べることにした。
休日宵のさぬきうどん屋チェーンは、ずいぶんと子連れがいるのだな。確かに娘もよく食べたし、割と美味しいし、安いし、子連れで来やすい環境は揃っている。
出産の予定日まで、一ヶ月ちょっとある。旅行くらい特に問題無い。とはいえ、何かあったときに病院へ行けるところとなると、離島や山小屋は止めておこうか。 半島の漁村なら良かろうということで、西伊豆は戸田へ。妻が名物のタカアシガニ食べたいとのこと。
大型連休なので、渋滞するのは仕方がない。午後からは段々解消するようなので、昼前に出発して途中で昼食。国道沿いのファミレスへ。
そんなに低価格路線のところではないと思うが、なんと言うかやる気の感じられない料理だったな。メインのハンバーグはそれなりに美味しかった程度で、全体として思い浮かんだのはセントラルキッチン、コストダウン、経営方針というような、食べるという行為とは直線的に繋がらないキーワード。
まぁ美味しさを求めて入店したというよりは、便利だから入ったのだが、もうちょい美味しくても良さそうだ。
戸田港を見下ろす達磨山には毎年来ているし、ドライブ中には通ったことがあるが、宿泊するのは十五年ぶりくらいだろうか。
当時は自転車旅行の道中に野宿したのだが、顔を上げられないような強風の戸田峠から、ポカポカと長閑なこの漁村に下りてきて、とても安心したのを覚えている。それよりも昔、家族旅行でも来たことあるような気がするが、大変気に入っている場所だ。
天然の良港という言葉がこれ以上ぴったりくる場所は日本中探してもそうそう無いだろう。防波堤のように突き出た砂浜が囲む小さな湾は、見かけによらず水深もある。火山の火口が沈んだのかなと思っていたが、そういうわけでも無いようだ。
宿泊は、「旅館みはま」さん。カニがたくさん食べられるところ、施設に金をかけすぎていなさそうな、昔からの漁師宿、という感じの条件で選んだ。
海沿いに建つ宿で、階下に浮き桟橋を持っている。手漕ぎボートを3台ほど所有しており、宿泊者は無料で借りられると言う嬉しいサービスあり。
温泉が最上階にあり、昔ながらの旅館の浴場という大きさだが、露天風呂もあって海を見下ろせる。
本日は大して何かやるわけでもなく、温泉入って晩飯。9月の海は静かでのどかで、来て良かったなぁ。
こういう宿はお食事が期待できるが、やはり期待通りというか、期待以上というか、美味しいお魚がたくさん出てくる。 刺身だけでも5種類は出てくるし、焼き物、揚げ物、煮物、それぞれ違う魚種が出てくるんだからな。
こういう文化って何なのだろう。漁師のおもてなし文化が根底にあるのかな。
昔は魚の市場価値って今よりも低かっただろうし、当然我々よりも身近な食材ということもあるのだろうが、魚好きにとっては大変に嬉しい。
世界中まわっても、日本の漁師宿ほど魚料理たくさん出してくれるところって無いのではなかろうか。
朝食後、近隣を散歩。浜辺を歩いていると案外暖かく、水温も暖かい。
湾内に面した砂浜なので、波は全くない。娘と一緒に水遊びした。
7月に海水浴行ったときは怖がっていたのに、ここでは随分と深いところまで進んでいく。海が怖いと言うより、波が怖かったのかな。
妻子と共にボート乗る。この手の乗り物に載せると、娘はすぐに寝てしまう。
朝食たくさん食べたし、娘の昼寝時間もあって昼食とるには中途半端な感じだ。
新しくできた道の駅で軽食をとろうと言うことに。
スナックのくせにやたら時間がかかったが、簡素な包装とは裏腹にどれも随分と美味しかった。
ボート釣りの制限時間、16時まで釣りしたが、大した釣果なし。たまに小魚ひっかける以外は、桟橋でイカすくったくらい。アカイカだと思われる。
近くのボートは大体コマセ釣りしているようで、コンスタントにアジ上がっている。
僕のサビキ仕掛けは完全に見切られているのか、海中までコマセが届いていないのか、全然釣れず。大物狙いのルアー釣りもまったくアタリなし。コマセ釣りの仕掛けちゃんと準備してくるべきだった。
妻子にはトリックサビキ貸しておいたら、桟橋で義父が小魚を山のように釣っていた。ほぼネンブツダイで、スズメダイ、シマダイ、カワハギの小さいやつがちょっとずつ混じる。
唐揚げにするか、干して出汁とるくらいしか料理しにくいが、どうするのだろう。
今回の旅行で妻の両親誘った最初の動機は、4人以上だとタカアシガニが丸々一尾になるという不純なものだが、その甲斐あって本当にデカイタカアシガニが出てきた。
でかく、大変たべやすいカニだ。わざわざ食べられるために進化したのだろうかと訝ってしまう。関節をペキッと折ると、そのままスルッと身がとれる。 タカアシガニが他のカニ類とひどく味が違うわけではないが旨いと思う。特にカニ味噌つけると大変美味い。
が、僕はカニを大量に食べられないようで、段々どことなく痒みに似たものを感じるようになる。普通の量なら特に問題ないので、ごく軽いアレルギーなのかもしれない。
妻は嬉しそうにバクバク食べていた。
今日はカニだけでなく、刺身も煮魚も豪華だ。 刺身はコショウダイと言ったかな。2kgくらいありそうな白身の大物をメインに、マグロやイカ、サザエなど。
キンメダイの煮物も旨かった。キンメダイって見かけよりも身が少ないことが多いが、こんなに大きいやつは珍しい。こちらは、妊婦には摂取量に制限が出る魚種なので、遠慮なくたくさん食べる。
味付けもとても良い。魚料理って素材の良さのほうに目を奪われがちだが、料理自体も上手な宿なんじゃないかと思う。
朝飯前に最後の釣り。階下からボートを5分こげば水深30mまで行けるのだから随分恵まれている。
釣果は昨日よりマシという程度。投げ釣り用の天秤とサビキ用のコマセかごで急造ビシ仕掛け作ったら、割と型のいいカワハギが釣れた。じゃあカワハギ狙おうと、カワハギ仕掛けを落とすも小魚しか釣れず。やっぱりアサリ準備しておくべきだったなぁとか思っていたら、ものすごく大きなアタリ。針掛かりした小魚を大物が引ったくっていったのだと思う。
あわてて竿をたてるも、カワハギ竿じゃ弾力ないし、整備不良の安物リールはドラグが利かない。竿からリールが外され、あっという間にラインブレイク。
逃した魚はきっとでかかっただろう。
水族館好きの妻の要望で、淡島マリンパークへ。
島全体がテーマパークになっているが、島の大半は遊歩道で、そこにホテルと小さな水族館が付属しているという感じだろうか。
僕が今まで見た、5〜10個の水族館の中で、最も小さい部類なんじゃないかと思う。水族館コーナーなんて、大き目の熱帯魚屋さんくらいの規模だ。
実家へ帰る妻子とは昼食前にお別れ。これから一週間ほどプチ独身生活。
コンビニおにぎりを昼飯にしながら帰宅しても、それなりに渋滞に巻き込まれる。まぁプラス1時間はかかっていない程度だったが。
やっぱりもう少し釣具大事にしないとなぁと、リールを分解メンテナンス。注油しなあおしたらドラグもいい感じになった。
予報は上々、疲れもそれほどない。好きなように動ける貴重な一日は、再度釣りへ。渋滞も気にしなくて良い、定番の三浦半島三戸浜へカヤック釣行。
4時過ぎ発の5時過ぎ着、カヤック組み立て6時半出航。
狙いの魚は釣れるものといった感じだが、小物なら確実に釣れる投げ釣り、コマセ釣りは封印。ジギング、インチク、鯛ラバといった、金属のカタマリを振り続ける釣りをメインにする。これらの釣りの効果を心から信じられるほどの経験が無いが、カヤック釣りやマイボート釣りをやっていくには、必須科目だ。
心から信じているオキアミに青イソメは、大物釣れる前に小魚が釣れるし、扱いがわずらわしいからな。
抑えとしてカワハギ狙いにアサリは用意。
油壺沖、最南の定置網のちょっと南の急斜面を目指す。
途中、流木浮かぶ潮目があり、しばらくジグ振っていると、沖合いからナブラが近づいてくる。期待を込めて水面が沸き立った方向に投げてみるが反応なし。回遊魚が跳ねるの見えたんだけどなあ。
その後、もう一度だけナブラが出たが、日が高くなると共に気配が無くなる。
海はのどかで、カモメたちも休み時間。ほぼ無風ベタ凪ぎで、西の水平線には富士山を望み、北方は江ノ島まで見える。
見渡す限り、青物がイワシを追い詰めているような兆候は無い。
青物がダメでも鯛やカサゴはどうか。やはりアタリ無し。 沖堤周辺なんていかにも釣れそうな雰囲気だが、ギリギリまで近づくと海流や風に流され、安心して釣糸下ろしていられない。
心が挫けて来たので、カワハギ狙いのエサ釣りに変更。
こちらは仕掛けを落とした途端にアタリがあり、そのうち五割以上の確率でベラが釣れる。海底にはびっしりとベラが徘徊しているのだろうか。確かにシュノーケルしてても、良く見るしな。
三割はエサだけ取られ、残り二割が他の魚。
二割の他の魚にはカワハギも含まれ、これは狙い通りの場所、仕掛け、餌なので結構嬉しい。
とりあえず坊主は避けられ、仕掛けを根掛かりさせてロストしたところでカワハギ狙いは終了。
最後にインチクでエソを獲た。小骨が多く、カマボコにするくらいしか無いというジギングの代表的な外道だが、外道とは言え釣れてくればちょっとずつ金属のカタマリを信じられるようになれるかもしれない。
リリースしてしまったが、案外美味しいらしいので持って帰っても良かったかな。
今日の釣果
カワハギ:カワハギ仕掛けで二枚
ベラ:カワハギ仕掛けで沢山 うち四尾キープ
エソ:インチクで一尾
小さいカマス:ジグサビキで2尾 そのままエサにして大物狙ったが根掛かり
ネンブツダイ、キタマクラ、トラギス:カワハギ仕掛けで1〜2尾ずつ
ということで、外道ばかりの釣果だが、七目釣り達成?釣果には満足できないが、過程には満足している。海は一日中まったく静かなもので、風向きが変わりつつある合間での、完全な無風状態を味わった。
釣りは15時半ごろ終了し、今回は現地で船洗って18時半ごろ帰宅。現地で洗えるとだいぶ楽だが、やはり疲れたと言えば疲れた。キープした魚はそんなにたくさん無いし、ハラワタとってエイやと刺身にした。
カワハギは昨日釣ったやつのほうがだいぶでかかったんだな。どちらが旨いかというと、まぁ良く分からんが。
久々に独身気分の生活。家族がいないのは随分と気が楽だ。あまりに喜んでいるのも語弊があるが、たまにはこういう日もあると良い。釣具出しっぱなしにしても怒られないし、帰宅する時間も気にしなくて良いし。
冷蔵庫に釣魚が残っているが、3日連続でカワハギ刺身とイクラごはんというのも退屈だ。冷凍庫の豚肉解凍して炒めた。1人だと食材も減らない。
今年のイクラ漬けはこれでおしまい。