社会人になってからこの十年、伊豆諸島には年三回くらい行くのが普通だった気がするので、随分久しぶりに来たように思う。昨年は神津島旅行計画を立てるたびに娘が風邪引いたからな。
そういう時代がいつまでも続くわけでもなく、今回は妻の家族とともに、伊豆大島旅行。
昨年の台風で被災した大島の観光業界に対する、東京都のバラマキ政策の恩恵を受け、宿泊代と船代が半額程度補填される。そういえば新入社員の頃遊びに行った式根島でも、三宅島噴火の影響で補助もらってたことがあったな。
伊豆大島に来るのは5回目。
一番最初は噴火の直前で、たぶん小1くらいだ。遊びに行った島が全国的なニュースになったので印象深く覚えている。二回目も両親に連れられて中学か高校のころ、3回目は10年ほど前に大した目的もなくふらっと野宿しに行った。自転車もって行ったような気がしていたが、軽トラの荷台にヒッチハイクさせてもらったような記憶があるので、たぶんザックしょって歩いたのだと思う。
4回目は自分の船で操船し、港で昼飯食ったくらい。
ということで、島内を自分で色々と移動した記憶が無い。伊豆諸島の中で、最も島内の地理に疎い島であることが判明。三宅島の山地も入ったこと無いけど。
我が家からは、竹芝から行くよりも久里浜や熱海から行くほうが有利なようだ。混雑具合と義父母との集合を考え、熱海出船。
昼前に到着。海は凪いでいるのだから、元町港に着けてもらったほうが便利だと思うのだが、たいてい大島って岡田港に着く気がする。
レンタカーはいつも八丈島でお世話になっているモービルさんの大島支店。24時間だとお得だが、ちょっと延長すると割高になる。昼食後に借りるつもりだったが、早めに借りて元町港へ。
十年ほど前にも来たことがある、桟橋に着いた船からも良く見える食堂「かあちゃん」へ。
定食は小皿が充実していて、けっこう嬉しいお店だと思う。
磯ラーメンは、味噌ベースで案外普通だったかな。海鮮定食系のほうが美味しい。
大島といえば三原山。整備された最短ルートなら、二歳児づれでも何とかなるだろう。 通り雨も上がってちょうどいい。
何とかならないわけではないが、抱っこすると嫌がる(特にうちの子)。
自分で歩かせるととっても時間がかかる。時間はかかるが、チビ二人いるのはにぎやかで楽しい。
三原山の火口。今現在は休止中でも、歴とした活火山。
遠からずまた噴火するんだろうな。
宿泊は万立荘という、空港の裏の海沿いの民宿。日暮れ後は発見しにくかったが、大海原を目前にしたロケーション。地元の人中心だという小さな海水浴場まで徒歩1分。中心部から外れた、万人受けするかは分からないが僕の好みの雰囲気のところを選んでいるなぁ。
有ごはんは隣のレストラン(経営は別とのこと。近所づきあい?)で食べる。豪華ではないものの、民宿っぽくなく綺麗で好ましい感じ。でかいホテルにありがちな、見かけだけ豪華で冷めているごはんよりも良いと思う。
朝ごはんは宿の食堂で食べるが、これが大変良かった。島の民宿ではこういう朝ごはん食べたいなぁというものが出てきて、料理も上手だと思う。
大島公園の動物園へ。
無料の動物園のクセに、かなりな充実ぶり!
旭山動物園を目的として北海道旅行をする人も多いと聞く。
ここの動物園を目当てに大島来る人は少ないと思うが、コストや時間、混雑具合を考えると、この動物園を見に来るために大島来たって良いんじゃないか?
さすがに手間がかかりそうな肉食動物は居ないが、ラクダが居たり巨大なゾウガメが居たり、結構興奮する。
展示の仕方も今風に各所工夫されている。宝くじの助成金やら東京都のハコモノ行政やら、そういう資金がかんでいるようであるが、営利団体にはなし得ないゆったり感があるのかもしれない。
じっくり見たら半日くらい過ぎるし、ふと目を離せば大海原を見下ろせる。 植物園散歩しても良いし、お弁当広げるような広場には事欠かない。酒があればなお良い。 無目的にのんびりするのに適したところだと思う。
浜の湯に入るつもりだったが、午後からの営業ということで御神火温泉へ。僕と義父はプールで泳いだ。
付近の食堂はどこも満席で、弁当買って海見ながら食べた。春の日差しと潮風浴びてりゃ、何食ってもうまい。
帰り道に小田原で買った干物を食う。
娘は大変疲れたようで、保育園でも昼食中に眠ってしまったとのこと。
余裕のもった旅行プランにしたつもりだが、どれくらいが適切なのだろう。
目の前にいる人が大変悲しんでいたとしても、親しい人が何やらやたらと喜んでいたとしても、僕はその人の感情に左右されないほうだと思う。他人の感情は他人の感情として、理解はしようとは思っている一方で、無視しようと思えば完全に無視することができる。そういう意味で、僕は自分のことを冷たい人間だと思っている。
が、泣きぐずる娘を前にする妻の姿を見ていると、そういう姿勢も確かに必要なんだろうなと思う。
妻は、善良で素直で、バカがつくほど正直者だ。機嫌の悪くなった幼児が泣きついてくると、いちいちその感情に反応し、自分もイライラしてくる。
幼児としては、自分で自分の感情をコントロールできなくなってきてママに甘えている結果、ぐずったりワガママいっているのだと思う。それなのに、頼みの綱のママがイライラしていたら、さらに泣きぐずってしまう。それがまたママのイライラを誘い、出口のないスパイラルに落ち込んでいく。
おぼれる人を助けに水中に飛び込んでも、たいていは引きずり込まれて二次災害になるらしい。
負の感情の海に溺れて困っている人に同調しても、救ってあげることは難しいのかもしれない。溺れる人のそばに救援しにいくよりも、岸の上から浮き輪投げたほうがよっぽど力になれる、という状況も多いはずだ。
早めに帰宅し、妻と子守を交代。たまには夜遊びもさせないと、ストレスのはけ口を一手に引き受けることになってしまう。
こういう状況だと、娘はかなりお利口さんで、風呂にも楽しく入るし夜更かしせずにちゃんと寝る。
小田原で買った干物は、昔ながらの天日干しのお店ではなく、割と近代的っぽい水産工場の直営店のもの。
あんまり期待していなかったが、かなり美味しかった。
特筆するようなことが大して無いような日常のように思う。
が、特筆すべきことの無いような日常を記録しておくというのも、この日記のコンセプトだろう。
ここ数ヶ月の日常と、5年前の日常はまったく異なる、ということは、過去の日記をちょっと読み返しても思い知る。
同居人のみを自宅に残し、平日は宇都宮のビジネスホテルで生活し、週末はどこぞへ遊びまわるような日々も、会社の寮の大浴場に毎晩ゆっくりと浸かっていた日々も、当時はそれが何の変哲も無い日常だった。しかしそれらも、何かのきっかけが無ければ案外それらは思い出さないし、思い出したらそれぞれ楽しい思いに浸れる。
このところの日常は、
・起床後朝食の準備して、娘を保育園に預ける
・東京都の縦に一番狭いあたりをチャリンコで突っ切って会社へ
・転職後間もない会社で、希望と失望を行ったり来たりしながら、基本的に自信過剰に好き勝手に働く
・帰り道は菓子パンでもかじりながらタラタラ帰る
・帰宅時、妻子は寝ていたり、寝かしつけの途中だと迷惑がられたり。残業無いときは娘を風呂に入れたり。
・どーでもいいネットサーフィンしながら晩飯食う。家事をやることもあるが、酔っ払って眠りこけ、小言いわれることの方が多いか。
というのが頻出パターン。このペースで子供が大きくなっていくと、こういう生活もいつまでも続くわけではないのだろう。