思い返せば、僕の船釣りの歴史は船酔いの歴史にほぼ等しい。
初めて遊漁船乗ったのは、たぶんハタチごろに幼馴染の親にアジ釣りに連れて行ってもらったときだと思うが、ゲーゲー吐きながらも良く釣れた覚えがある。
その後も船酔いの実績は順調に積み上げ、初めて小笠原に行ったときも、炎天下の船上でノックダウンしてこんがりと日焼けしたり、最近ではフィールドテストでデータを取っているときに、パソコン画面覗いているうちに気持ち悪くなり、影でこっそりと吐いていたりと、その例に枚挙の暇は無い。
本日はオニカサゴ釣り。
社内に仕立て船を3週連続で予約した方がいるらしく、僕のところにも募集が回ってきた。最近よく一緒に釣りに行く10歳下の同期に誘われ、参加することにする。
オニカサゴ、釣ったことは無いが大変に美味い魚らしい。水深100m程度の深場で釣れる、トゲに毒のある魚。市場でもあまり見かけない高級魚だが、釣りの対象では一定のファンが居る感じで、釣り雑誌でもよく見かける。
御前崎出船。東京湾口でも釣れるので、遠くまで行くなぁと思っていたが、ポイントはさらに遠い。
駿河湾の左下の端っこ御前崎港から約1時間南下、確かに漁場としては大変に良さそうな、黒潮本流のあたるようなところまで行ける。
そのエリアに行くなら、下田から行くよりも御前崎のほうがずっとアクセスは良い。
海況は、たぶんこの時期としてはそんなに悪くないほうだろう。前夜に低気圧が抜け、風はだんだん収まってくる。翌日からはまた風が吹くから、まぁまぁな部類なんじゃないかと思っている。
が、冬の西伊豆って、僕の知識では西風が終始吹いているので釣りができるような場所じゃない。陸釣りも厳しいのに、冬季の駿河湾の外海じゃあ僕には荷が重かったようだ。
早朝2時すぎに出発し、明るくなる前の六時ごろ出船。 睡眠不足は船酔いの大敵だが、前夜は娘のねかしつけを利用して、比較的よく眠れた。
出航直後はまだうねりが残っていて、特に港出た直後はひどい。まぁしかしこれはそういうものだ。地形上、沖に出ればだんだんマシになるし、風も徐々におさまってくるはずだ。
とはいえ、ポイントにつくころには既に完全船酔い状態。
胃に吐瀉物が残っているうちならば、吐いてしまえばしばらく楽になるのだが、すべて出し切ったあとがつらい。
吐き気が収まらないのに吐くものが無い。
今日は、自分の体調管理に失敗して酔ったというよりも、そもそも船酔い的に実力不足だったように思う。
船酔いなんて、酔うときは5分もあれば十分だ。最近はだいぶ船に強くなってきたように思っているのだが、今まで3分で酔っていたところが30分くらいは持つようになったのだから、成長の証はあるとは思うのだけど。
こちらもある程度酔い慣れてはいるはずだ。それに坊主じゃ帰りたくない。船酔い中はあらゆる所作が物憂く感じるが、意地だか根性だか貧乏性だか、そういったものを駆使してとりあえず仕掛けは落とす。
しかしまぁ、これが釣れないのなんの。
船酔いで集中力が無くて釣れないというよりも、そもそも船中全員釣れていないし、海域全体で釣れていないようだ。船長によると、プランクトンだか何だかが多く、海中の透明度が全く無い状態とのこと。濁りの層のものすごい魚探反応があるようで、海中は夜のように真っ暗なんじゃないかだとか。
鬼カサゴは夜釣れる魚ではないため、ほとんど期待できないらしい。
結局沖上がりまでほぼそんな状態。僕の集中力も続くわけが無く、途中2時間位ダウンしてたかな。
途中、ほんのちょっとだけ食いがたった状況があり、船中の獲物はほぼその時間帯。それを契機に、再度竿を出したが、まったく釣れるような気がしないまま終了。
エサもまったく獲られず、針がついてないような気になってくる。
船酔いも最後まで回復しなかったが、朦朧としながらも、7割くらいの時間は竿持っていたんじゃないかと思う。
御前崎くんだりまで行って、乗船代払って船酔いしにきたようなものだが、まぁ却ってせいせいする。今週はフィールドに立っていましたという事実くらいが成果。
一人暮らしの同行者は、たくさん釣れたときのためにあらかじめ周囲から注文をとってから釣りに行くらしい。坊主のプレッシャーが強くなるはずで、今の僕にはそんな度胸は無い。
今日のように全面敗北に近いような状況だと、釣れませんでした報告をしなきゃいけなくなる。中途半端にあまったイカとカサゴは、我が家で食べていこうということになって、こちらにお鉢が回ってきた。
イカも、食材としての美味しさが魅力で人気の釣り対象となっている。食材としては、新鮮なほど美味しいやつだと思う。スーパーで売っているのとは比較にすらならず、市場で見るとも色ツヤが違う。漁港で水揚げされたばかりのものを買ったときは、これと同じくらい新鮮だった。
ハラワタはカサゴと一緒にブイヤベースにして、身は刺身にした。肉厚なスルメイカで、大変に美味しかった。
ブイヤベースは前回作ったときのほうが美味くいった。敗因はトマト缶入れすぎ。
帰宅後、船酔いから脳味噌疲労したまま、何も考えずに料理したものだから、トマト味が強すぎて魚介類のダシが目立たなくなってしまった。
僕の姉のほうの姪っ子の誕生日をお台場のホテルで祝う。車で出かけたら、案外スムーズに着いた。
娘はずいぶんと愛想が良くなってきて、こういう場で皆に可愛がってもらえる。頬っぺたが赤く、暖かいので風邪でも引いたかと心配したが、ただ単に興奮してただけのようだ。
先週図書館で借りてきた、リリーフランキーの「おでんくん」の絵本が面白かった。
だからというわけでもないのだが、今日の晩ごはんはおでんにしよう。娘の卵アレルギーもだいぶよくなってきて、練り物のつなぎ程度の使用ならば大丈夫なようなので、練習の意味合いもある。
寸胴鍋で大量に仕込み、今日のぶんは土鍋に移すというスタイル。僕の母がよくそういう運用を行なっていた。
我が家の料理参考書、野崎さんによると味付けは醤油のみでおこない、あとはおでんだねからのダシを味わう。確かに上品で美味しかった。
おでん三日目。妻が検索すると、カレー味にすると良いらしい。
やってみると、確かに全く違和感無くなじむ。ともに二日目以降がおいしい煮物系というくらいしか共通点内と思っていたが。
このところ、娘がトイレでおしっこできるようになってきた。オムツがとれる時期も視野に入ってきたか。
言葉もどんどん覚えるし、あかちゃんから完全脱却の日が近い。本当にあっという間に大きくなるなぁ。