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2012/4/28(土)

今年のGWは、南アルプス北部の春山登山。甲斐駒、仙丈ケ岳を目指し、あわよくば早川尾根から鳳凰三山への縦走までを狙う。

初日は交通集中が予想される。前日の夜行出発ならば問題ないが、それには支度、荷造りが間に合わない。 まぁ今年のGWはかなり長いし、初日は準備と登山口までの移動日とする。
絶好の登山日和となってしまったのは悔しいが、当日出発だと景色の良い素敵な幕営地/山小屋まで行くのは難しそうだ。 ゆっくり確実に準備をして、登山バス出発点の仙流荘宿泊にしよう、というのが本日の計画。




本来なら新宿からは高速バスが便利な土地だが、渋滞を避けるために電車で移動。
飯田線に乗ったのは初めてだったかもしれない。

高遠が桜の名所であることは聞いたことがあるが、仙丈ヶ岳の伊那側登山口に近いというのは気づかなかったな。さらに、GWが桜の時期というのもちょっと盲点だった。 支度は思ったよりもはかどり、出発も早められたので桜を見る時間もある。城址公園へ向かう。

駅弁を買い損ねたので、高遠の城址公園そばで蕎麦を食うことにする。
蕎麦どころ信州、高遠のお蕎麦は焼き味噌と辛味大根をつけるのが特徴らしい。胡桃だれも出てきたが、これはこの店の特徴だろうか。

高遠のサクラは、ソメイヨシノではなく彼岸桜らしい。ソメイヨシノよりも鮮やかに赤い。
今年は例年よりも遅く、ちょうど桜吹雪の休日となった。




花びらを追う妻。小学生とおおむね行動が同じだ。


桜ソフトクリームを喰らう。「どこで売ってましたか」と何人かに聞かれた。


長野の桜は雪山がバックになるところが格好いい。写真に撮るのは難しいが。


桜の名所は天下泰平な感じだ。

夕方のバスで仙流荘へ。宿泊者は10組くらいだろうか。
食事中に布団をひきに来てくれるような宿に久しぶりに泊まった。思い返してみると、妻とは色んなところに出かけている割に、一緒にこういう宿に泊まったのは初めてかもしれない。自分でテント建てて泊まるとか、相部屋の宿とか、そういうのが多いからな。

この手の旅館は、スタイルとして作りおきの御膳が出てくるが、人々はこれで満足しているのだろうか。 まぁ、たまに食べる分には別にかまわないのだが、ハレの日のお楽しみならば出来たてのごはんを出したほうがいいと思うのだが。


山里らしい料理で、魅力もあるのだが。
鱒の刺身は美味かったぞ。


大変暖かい夜。標高1000mくらいあるはずだが、浴衣一枚で夜桜見物ができる。

2012/4/29(日)

さすが登山バス出発地の宿なだけあって、仙流荘の朝食は5時20分から対応可能。
6時発の始発で登山口へ向かう。

GWは、バスが北沢峠まで入らない。が、年末年始と違って、途中の歌宿までは入る。
夏はバスで行けちゃうところが、冬は徒歩6時間、GWは徒歩2時間。面倒ではあるが、真冬と違って1泊増やす必要はない。


鋸岳を眺めながら車道を歩く。バス同乗者は10人強。ほぼ同じペースで峠を目指す。

今日は仙丈小屋の冬季開放小屋宿泊予定。重いテントや明日以降の食料は担ぎたくない。 北沢峠の長衛小屋に頼んでみると、300円で預かってくれた。

バスの運転手さんの情報では、昨日の陽気で雪が溶け、登るのに大変苦労しそうだということだったが、樹林帯の間はとても順調に登れる。 青空の下、ほぼ夏道どおりの時間で標高をあげる。
雪は登山道の最初からある。アイゼンの必要はなかった。 4合目と5合目の間くらいにヤセ尾根あり。それ以外は急登だが歩きやすい。



森林限界を越え、太陽が照りだすと雪が緩む。
下山してくる人はけっこう多いが、口々に「雪が溶けて大変だ」と云う。 周囲の人よりも荷物が多い我々は不利なので、ワカン装着。とても効果あり。何もつけなければ平気で2倍以上の時間がかかりそうなところ、2割程度余計に時間がかかるくらいで済んだ。スノーシューの人はもっと早そうだが、周囲には何もつけずに苦労している人のほうが多かった。

春山は、積雪期の中では難易度は低いと見なされているが、春山なりの難しさもあるんだなぁ。雪の溶け具合でコース状況が全然違うし、そのときの気象によって、吹雪にもなれば今日のように夏山よりも暑くなる日もある。
今日はTシャツでも過ごせるような陽気で、遭難の危険がないことは確かだが、気温が上がれば歩きにくくなる。吹雪いたら吹雪いたでやっぱり行動が大変になる。 ワカンのおかげでそれほど問題なく行動できているが、装備にワカン持ってきたのもまぁ実力だということにしておこう。


小仙丈のあたりは気持ちいい

宿泊予定の仙丈小屋は、頂上のちょっと手前。登ってきた登山コースから直接向かう道は、分岐がよく分からず。 頂上まであと一登りのところのコルから、小屋を目指して下っていくことにする。トレースのない沢筋で、雪崩や雪面の踏み抜きが心配だったが、たぶん結果的にはこれが一番いいルートだったかもしれない。頂上行く前に、小屋で荷物を降ろして一休みをすることにしたが、これも多分正解。実はだいぶ疲れていた。

仙丈の避難小屋は、どうやらかなりマイナーな存在のようだ。僕も、冬季開放小屋があるということを今回初めて知った。 GW2日目でも、まったくトレースがなく、しばらく使用した形跡がない。
景色は良いし、広々使える快適な小屋で、これ以上望むことはない。 夕方、ソロの男性が来て、今晩は3人で泊まることになる。


トイレを掘り出す。

しばらく休んだ後、やっぱり頂上を踏みに行きたくなる。
この時期は小屋から頂上を見て左側のルートがメインとなって、トレースもそこにしかないのだが、小屋からは右側のルートのほうが地形的には歩きやすい。 そちらを開拓することにする。


GWの仙丈ケ岳で、自分でトレースつけながら歩くことができた。
これは結構嬉しい。


そして頂上。小屋からは30分弱かな。戻るのはあっという間。


雷鳥が居た。真っ白だ。

わざわざ重い食材を標高高いところで食べることもあるまい。生野菜や味噌漬け肉は登山口に置いていったのだが、今夜の鍋のメインにするつもりだったらしい。 すごく怒られた。というわけで乾物中心の鍋になる。

今夜は、星空の期待はまったくできない。さっさと眠りについて、明日は雪がしまっているうちに行動してしまおう。

2012/4/30(月 祝)

朝は6時前に行動開始。今度は荷物全部もって、もう一度頂上へ。


曇ってはいるが、今日は富士山が見える。


頂上直下のヤセ尾根は高度感あり。


今度はこのあたりでテント張って星見るか。

この先の天気予報と、妻の体調があまり良くないようなので、努力目標としていた早川尾根〜鳳凰三山の縦走計画はあきらめる。昨日仙丈ヶ岳から眺めていた時は、行ける気のなっていたが、もともといろんな条件が揃わないと難しいと思っていたところだ。
明日の甲斐駒ケ岳登頂までは問題ないだろう。

テント場へ向かう近道は、なんだか歩き難かった。
仙水小屋まであがるつもりだったが、よく考えてみれば、明日は北沢峠から甲斐駒を目指せばいいだけのことだ。 明日の行程は1時間増えるものの、わざわざ重い荷物を背負って歩くこともあるまい。今日の宿泊は北沢峠のテント場としよう。テント張ってお昼ごはん。


仙水峠についたくらいから甲斐駒に雲がかかり始める。

午後は時間があるので、栗沢山まで行ってみる。妻は疲れたようなのでお留守番。
妻に限らず、このところ大体誰かを連れて歩くことが多かったが、そういえば一人で歩くのはずいぶん久しぶりだな。 仙水峠から栗沢山への急登は、トレースがか細くなる。なんとなく勢いでアイゼンなしで登ってしまうが、何箇所かは無理矢理登った。 アイゼンつけたほうが素直。


荷物は軽かったが、雪が腐り始めていて苦労した。
フルパワーで登ったので時間はかからなかったが、とても疲れた。

今回の登山計画の目標は、仙丈、甲斐駒、アサヨ峰である。
アサヨ峰までは、起伏としてはそんなにないはず。この先も大変疲れるだろうが、時間の余裕は無いわけじゃない。 勢いに任せてアサヨ峰を目指してしまう。

この道はさらに大変だった。無雪期に来たことがあるが、こんなに厳しい道ではなかったのだが。
雪はだいぶ溶けかかっていて、アイゼンつける感じでもないのだが、歩けば埋まるし、岩場では凍りついているし。 ハイマツ帯で足が埋まると、落ちた足の奥に広大な空間が広がっていたりする。


アサヨ峰の先はさらに苦労しそうだ。

トレースはほんのちょっと。この道を大荷物もって縦走する計画だったが、諦めて正解だったな。非常に苦労して、計画通り歩けなかっただろう。 栗沢山への急登で縦走を目指すソロの方を抜かしたが、どうやら栗沢山で諦めて下山していったようだ。


すげー消耗したのでアサヨ峰で行動食。
早川尾根を境として、雲が増えてきた。

下山は栗沢山から北沢峠へまっすぐ向かう道をとる。この北斜面のルートはさらに雪が腐れているが、急斜面の下山ルートにのみ許される、腐れ雪ならではの無理矢理スピード下山が可能。 どんな急な下りでも、足を出せば下れるのだから、飛ぶように降りる。登ることは不可能かもしれない。

テント戻ったら妻がご飯作っておいてくれた。
標高はだいぶ下げたのに、沢沿いだからか気象のせいか、昨日の山小屋よりもだいぶ冷える。

2012/5/1(火)

甲斐駒へアタックの朝は、小雨が降ったり止んだり。気分が盛り上がらない。
まぁ、テント内では雨音は大きく聞こえるし、歩き始めれば気になるものではないのだが。 様子を見ているうちに出発は6時となり、朝一番という感じじゃなくなる。

仙水峠までの一時間で、おおむね雨は止む。順調。
駒津峰までは尾根の急登。綺麗に雪のステップができていて、アイゼンなしで快適に歩ける。荷物も軽く、効率よく標高を稼ぐ。



時折青空

駒津峰からはヤセ尾根の稜線となり、アイゼン装着。高度感のあるところだが、やはり一歩一歩きれいに足場ができており、まぁなんとかなる。


甲斐駒の山腹に取り付いてからは、岩場となる。半分以上地面が見えている。
岩が大きく、時折苦労するが、高度感はそれほどでもなく、風はあるが気になる程度で、頑張ってれば進める。
緊張感は、昨日一昨日の仙丈ケ岳よりも大きい。3000に満たなくても、さすがは甲斐駒。

途中、単独行の方に抜かれ、1時間前に出発した隣のテントのパーティーを抜かす。GWの中日になるためか、登っているのは我々含めて5パーティーくらいのようだ。
岩と雪のミックス帯が続くが、アイゼンつければ結構登れる。前爪2本で、けっこう岩も登れちゃうのね。


登頂。積雪期の甲斐駒を攻略だ。
展望まったくないので写真とって退散。

あとは来た道を戻る。駒津峰まで慎重に下り、そこからは急いで下山。

テントに戻ったのが13時半ごろ。
これでGWの登山計画は一端終了し、山を去る。 終バスまで時間の余裕がなく、ゆっくり昼食もとれずに撤収。いつになくスピーディーだった。

努力目標はやっぱり努力目標で、鳳凰山までの縦走は難しかったが、積雪期の仙丈ケ岳、甲斐駒といった一級山岳を登頂することができた。 今の自分たちのレベルからいってちょうどいいくらいの課題だったように思う。 天候は、満天の星空は見えなかったが、行動するのに不自由はなかったし、遠くの山まで見れた。それなりに天候に恵まれたと云って良いんじゃないかと思う。

伊那からは、そのまま天竜川ぞいに妻の実家まで行こうと思っていたが、さすがは飯田線。全然電車ないのね。 結局高速バスで自宅に戻ることになった。

歌宿でバスに乗ってからは万事やたらとスムーズに乗り継ぎ。食料を調達する間もなく、新宿行き高速バスの休憩時間でようやく行動食以外の食べ物にありつく。
連休中日で、帰宅はやたらとスムーズ。東京戻ってから新幹線乗っていけば妻の実家にも行けたんじゃないの?

2012/5/2(水)

大雨。GW前半までの暖かい空気の上空に、冷たい空気が入ってきたらしい。あのまま山に居たら大変だったな。撤退して正解。
午後、妻の実家へ。新東名を使う。すごく快適にスピーディに、しかも安い。

お話好きな一家の晩餐は長く、18時過ぎから5,6時間続いた。
最初は妻に影響されたらしいが、義父は登山の次はマラソンに熱中している。 日々の積み重ねは偉大で、50歳のころは1kmも走れなかったのが、最近ではフルマラソンに近い距離を、大会ではなく日課に近い頻度で走っているらしい。

2012/5/3(木)

主に妻が作り、妻家族とともに食べた。 レシピはこちら

妻の実家を後にして、静岡市に住む友人を訪ねる。彼の行きつけの飲み屋に妻が行きたがったのがきっかけだが、連絡をとるとエスパルス戦を一緒に見に行こうと誘われたので、そうすることにした。

日本平ににアントラーズを迎えての一戦は、「快勝」の2文字としか表現のしようの無いゲームで、エスパルスが制する。 後半なかばの、攻め続けてるのに点が取れない時間帯がちょっと嫌な感じだったくらいで、あとは試合内容も結果も終始圧倒。元気にプレーする小野信二も見れたし、友人にとっても幸せなゲームだったようだ。

祝勝会は「わっはっは」にて。
席に着くなり、お酒もお食事も、いくらでも出してくれる。注文をせずとも、次から次へと料理が運ばれる。 スタジアムで食べ過ぎたのが失敗だったが、まぁなんとか美味しくいただけた。

2012/5/4(金)

朝食後、四国方面へ向かう友人に別れを告げ、東名上って家へ帰る。

友人に「風雲児たち」全20巻を借りてしまったので、家でごろごろしながらマンガを読むことになる。とはいえ、けっこう読み応えのある作品なので、それなりに疲労感も出てくるのだが。

「風雲児たち」みなもと太郎

というわけで大河ギャグマンガという、そういうジャンルがあるならば唯一となる作品。
僕は司馬遼太郎の正当な後継者って、塩野七生よりもみなもと太郎が相応しいと思っている。

幕末を描くのに関ヶ原の戦いから始めている、というところは司馬史観から来ていると思うのだが、それを一つの作品で続けて描いているところが偉大だと思う。

そして、登場人物たちの人生が熱い。
林子平とか平賀源内とか、そりゃあ名前は知っていたけどその業績や人生について、そんなに詳しく知らなかったな。

ギャグは3コマに一回以上繰り返されるが、僕にとってはそんなに面白くない。
テレビネタとか吉本ネタとか、とにかくオヤジギャグ的なものを入れないと気がすまないようだが、まぁ文体みたいなものだと捉えている。

まぁそんなギャグを吹き飛ばすくらい、日本とその歴史について面白く描かれたシリーズ。横山光輝「三国志」や手塚治虫「ブッダ」と同雑誌に掲載された作品だが、雑誌を変えてまだ連載中の大作。 ほぼ吉川英二原作といえる横山三国志や、偉人だか何だか分からないブッダよりも大作なんじゃないかな。 なかなかマンガ喫茶なんかには置いていなさそうだが、読む機会を見つけて是非読むべし。



全巻セットなら家宝になる

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