仕切り直しの年末登山は、天候に合わせて目的地を変更。
初日は理想的な好天だが、二日目はちょっと崩れそう。初日は単なる林道の4時間歩きとなる燕岳登山よりも、初日から核心部に入れる八ヶ岳のほうが良い計画だと判断。北アルプスよりも、八ヶ岳のほうが天候自体も崩れにくい。
年末登山は、山小屋泊が良い。特に、年末年始しか営業しない小屋は希少感がある。 八ヶ岳有数の展望の小屋として前から目を付けていた根石山荘が今年から年末営業をするというので、そこをベースに天狗岳、硫黄岳に登ることにした。
希望としては、初日に根石山荘、二日目に露天風呂のある本沢温泉に泊まる計画が天候的には良いと思ったが、大晦日の根石山荘は満員ということで予約できず。初日に本沢温泉、二日目に根石山荘宿泊、という計画が、あずさ車内でようやく確定。
本沢温泉へは、稲子湯から登るのが一番一般的なんじゃないかと思うが、この季節はバス路線がなくなる。 それよりも手前の稲子登山口からでも、時間的にはそれほどの増加がなく登れたはずで、そこまでは冬期もバスがある。
が、松原湖駅に着くと、どうもよくわからない。年末年始は、バス運休らしいことが書いてある。駅から登山口までは、4〜5kmくらいだろうか。まぁ今日は温泉の小屋までの特に難しくもない道、日が沈む頃には着くだろう。全部歩いて行くか、ということになった。
途中、小海町営のバスらしきものに抜かれる。数年前に利用したときもそうだったが、この路線は運営状況がわかりにくい。結局登山口までプラス30分くらい。
小屋まではさらに3時間強で、16時ごろ着。単調だが静かな尾根道で、他の登山者をまったく見かけなかった。
「イブニング」で連載していて、単行本になったら是非買おうと目を付けていたマンガを電車で読む。期待どおり、すごく面白かった。
とりあえず一読をお奨めしたいマンガだ。
イマドキの若者風の作者が、猟師を始めていく実録で、気をてらうことも変に気負うこともなく、素直にのびのびとカラス撃って食ったり、ヘビ獲って食ったりしている。
なんかこの作者、同世代くらいなんだと思う。カラスを撃ち損じたときの反省の仕方とか、おっちゃん猟師たちに対する敬意とか、なんでも食べちゃう好奇心が素晴らしい。
けっこう簡単そうに猟師始めちゃってる印象だ。腕の良し悪しはあれど、始めるだけなら案外可能なのかもしれない。狩猟免許もとってみようか、という気になる。
小屋に到着後、とりあえず露天風呂へ。
身を切るような低温だ。マイナス10度くらい行っているんじゃないかと思う。ギャーギャー叫びながら裸になり、湯船に入れば暖かい。
が、身体が温まるほどではなく、出るのが大変だった。
混浴がどうこうというより、寒いと思う。
今回は二食付きで頼む。大晦日で振舞い酒、特別料理を出してもらった。
宿泊者は20人強だったかな。この道50年近い大ベテランが居たり、お父さんに連れられて赤岳〜横岳〜硫黄岳の難所を突破してきた中学生が居たり。
山で年越しを迎えるのは、なんかお祭り的な賑やかさと、静謐な感じが同居しているのが良いんじゃないかと思う。
本日は根石山荘までの予定。まっすぐ向かえば2時間程度の道のりなのでなんてことない。 山の天気予報によると午後から下り坂なようだが、硫黄岳登ってくるくらいの時間はありそうだ。
本沢温泉周辺は、樹林帯が多く展望は限られる。 初日の出を見るには、建物の中が一番可能性が高そうだったが、下のほうにかかる雲のせいか、日の出を拝むことはできなかった。
8時前に出発。隣の尾根に隠され、なかなか日は当たらない。 樹林越しに見た日の出らしくない日光が、我々にとっての初日の出になる。
夏沢峠から硫黄岳へ向かう。
地形のせいなのか気象の変化なのか、風が出てきてけっこう寒い。平均的な八ヶ岳の風はもっと強いと思う。マシなほうだ。
硫黄岳登頂。
予報どおり天候は下り坂のようで、雲が増えてきたが、まだ展望はそこそこある。きつい登りだった気もすれば、楽だった気もする。
寒いので長居は出来ないが、10分くらいは居られた。
まぁとりあえず、厳冬期の一級山岳の一座になんとなく登頂。
おおむね予報どおり、午後になるとガスが増えてきた。 根石山荘から天狗岳までは、さして距離あるわけではないのだが、小屋の先までは行く気がしない。 今日の行動は8時前から13時の約五時間。
根石山荘の新館はとっても綺麗で暖かい。 二重窓を多用し、明るく景色が良い。
今までに僕が泊まったことのある山小屋は、たぶん日本国内で三十前後だと思う。
その中で、明確な消灯時間を持たず、利用客がいつまでも宴会を続ける山小屋というのは初めて見た。
不良中年というか、酔っ払いおじさん集団が昼間っからオヤジギャグを言い合いながら、ずーっと酒のんでいた。真冬のこんな山中にわざわざ宴会やりにくるのなんて、余程の物好きに違いないが、オペラ歌手がいたり、骨折してるのに山登ってくる写真家がいたり。まぁ、八割方はオヤジギャグ言い続けて喜んでいるくらいなのだが、残りの二割でずいぶんと面白い話をしてくれる。
こういう雰囲気の作れる山小屋か。
小屋のご主人は、几帳面で誠実ながら、大らかなところも持ち合わせているようで、もしかしたらすごく面白い人なのかもしれない。
お開きお開きと言いながら、結局二時ごろまで飲んでいた。
山中でありながら、だいぶ飲んでしまったなぁ。明日大丈夫だろうか。
八ヶ岳は歴とした一級山岳地帯だが、アクセスがとても良く、下山するのに大きな困難はない。
下山口はいくつかあるが、せっかくだからタクシーを使わず、路線バスのある渋の湯に降りることにする。
冬季は一日三本。9時過ぎに出発すれば、最終には間に合うだろう。
天狗岳までは、30分程度だったかな。
ガスが晴れる気配は一瞬感じたくらいで、真っ白な中の登頂。
写真で見るとずいぶん寒そうだが、本格的に荒れてる感じはしなかったな。
黒百合ヒュッテを経由して、13時半に渋の湯到着。
天候は、ひどく悪化もしなかったし、後ろ髪引かれるほどの回復もせず。
温泉入って、バスや電車への接続もスムーズ。高速バス乗って交通費浮かせるよりも、目の前のあずさ乗って、正月休み最後もJRのお得意様となる。
下山したら、ちょっとくらい美味しいものが食べたい。 どこか食べに行くことも考えたが、疲労もあるし、正月だからお気に入りのお店はお休みだし、家で食べたほうが早いだろう。酒の品揃えに関しては、現在の我が家の冷蔵庫に匹敵するほどのお店は探すの大変だしな。
スーパー行くと、お正月だからかいつもより美味しそうな刺身が売っている。
しかも夕方なので、ちょっと割引かれている。
ということで、けっこう幸せな晩ごはんになった。
都内の親戚たちに年賀の挨拶。先日の経験を基に、妻には家系図を書いて説明してみた。 我が家系も少子化なので、僕がお年玉あげるべき子供達は3人。ついこの間生まれたばかりだった気もするが、久しぶりに見たらもうすぐ思春期に入りそうな気配を感じた。僕もだいぶおっさんになってきたなぁ。
妻と年頭の話し合い。
我が家の今年の方針は、結婚生活の礎を築く、というのが一番大きなスローガン。
対外的には、ホームパーティ重視政策も掲げておこうかと思う。
正月休みは、こちらも日本酒を送ったりもしたのだが、それ以上にお酒を頂いた。 ほぼ通貨だと言える。
日本の一般的な小学校と同様、僕の会社にも始業式がある。
二時間程度の式で、お偉方が今年の目標言ったり去年の反省のたまったりするわけだが、途中、ものすごい尿意を感じて気が狂いそうになり、静寂な雰囲気の中で中座する。
始まるちょっと前にもトイレ行ったのだが、そこまでトイレ近かったかなぁ。
膀胱の容量ってどのくらいだろうか。だいたい1リットル程度なんじゃないかと思う。それが1時間で一杯になるということは、1時間で僕の体のうちの1kgが尿に変換されたことになるから、ものすごい効率だ。 このままの割合でいけば、3日間もすれば、僕は跡形もなく尿に変換されてしまうことになる。
午後からは出張要請が出たが、昼過ぎから移動したところで、新幹線に乗るくらいしかできることがない。明日から出張ということにする。
帰りがけに元同居人のところ寄ってお茶飲んだ。
1日経っても、どうやら僕の身体の何割もが尿に変換されてしまうことは起こっていないようだが、その代わり風邪引いたみたいだ。
帰宅途中、新宿で妻と合流したが、夜も遅い。最寄り駅まで移動して、近所のもつ鍋屋さんで晩飯食った。焼酎お湯割りが喉に効くかは疑問だが、身体は暖まる。