さて。
とにかく下山した。が、予備日が残っていて、飛行機は明日の夜だ。
何かやりたいか、と言っても、これといって思いつかない。何しろ疲れたし、充実感は感じている。強いて言えば、旭山動物園が近いようだから行こうか、というくらい。
がーこのように、家に帰って家事やるのが正解かもしれないが、飛行機のチケット帰られないし、帰って家事できるかというとその自信も無い。
当然ながら皆も疲れているようで、意見を聞いてもなんだか要領を得られない。僕を含めて、皆ぼーっとしている。
とにかくお金はあんまり使わず、のんびりしようという方針。まず、宿は決めねば。
昨夜泊まったホテルは、ビジネスホテルながら一室家族向けに作られた、安くて広い部屋だったので連泊したかったが、本日は空いていないとのこと。
では、昨夜は飲み屋でたくさんお金を使ったから、晩飯は自炊できるところが良いのではないか。
北海道はバイク旅行の整地みたいなものだから、安宿はいくらでもある。が、駅前にある訳ではない。車が無いといけない場所にしかか無い、と考えておいて良い。
じゃあ駅前のビジネスホテルか、レンタカー+郊外の安宿か、観光協会のチラシ見ながら、なんとなく後者でいろいろ手配ができた。
宿泊はPーDASHという、旭山動物園そばに広がる田園の中にある安宿。 楽天で見つけた。 大陸風というか、北海道的というか、独特の雰囲気をもったところで、僕は大変気に入った。
宿に七輪のレンタルがあるので、スーパーで食材買ってバーベキュー。
皆、気持ち良いほどよく食べる。4人の箸は網の上でダンスをして、肉も野菜も一瞬でやっつける。
ヒツジもサガリもうまかった(そして安かった)が、野菜焼いたのがすごく旨い。三十余年の生涯の中で、これほどうまいピーマンはかつて味わったことがない。
こりゃあだいぶ買い過ぎたんじゃないかな、と思うほどに買ったが、結局はほとんど完食。さすがに最後は皆苦しそうだったが。
北海道にまで観光に来てるのに、ほとんど何もしない一日ではあった。
が、のんびりした雰囲気の中で一日過ごして、満足感の高い一日だったぞ。
今日は旭山動物園。わりと朝早い時間から行って、おおむね一周。1日楽しめた。
視点を工夫していろいろな角度から楽しめる、というのが良いのだろうが、博物館のように解説が展示されていて、その解説読んで実物見ると楽しい。
是非見たかったのはヒグマ。思ったほど大きくなかったが、登山中鉢合わせしなくて良かった。
ヒグマの生態について。 雪渓跡とか早朝の行動とか、我々は結構危ないところ通った訳だな。
もし出くわしてしまったらどうするか:基本的にはクマから避けることがほとんどのようだが、ごくまれに闘争になることもあるらしい。「必死に戦え」とのこと。
本当に必死に戦えるのかよ、と思って調べてみると、結構あるんだな。必死に戦って生き延びた事例が。
丸腰じゃあどうにもならんだろうが、確かにピッケル一本程度の武装で必死に戦えば、クマに一矢報いることくらいはできそうだ。クマと僕の体格差は、僕と中型犬の体格差くらいだろうか。臆病な中型犬ならいじめてみたくなるかもしれないが、必死に戦う中型犬は相手にしたくない。
じゃあ今度不幸にして遭遇戦(あるいはエモノと見なされてしまったら。歴史上多くはないが、そういう熊もごく稀に現れるらしい)になってしまったら、お互い死なない程度に必死に戦うか。
動物園の名物に、「もぐもぐタイム」というのがある。その動物の特徴を最もよく観察できるのが食事時だというコンセプトで、確かにその通り。その動物の機能と形態の関係がよく分かる。
シロクマやトラなど、ハンター系の動物の魅力が最も引き出されるのも狩りをしてるときだろう。それを見てみたいとも思うが、さすがにオットセイやインパラを狩る場面をもぐもぐタイムでやる訳にはいかんだろうな。
ちなみに昼飯は昨日のバーベキューの残り。
この一週間はずーっと野外で暮らしていたものだから、どうも思考が「この動物と野外で鉢合わせしたらどう感じるか」というほうに傾いてしまう。 ライオン、虎等の大型ネコ科のハンターやオオカミは会ったら嫌だろうが、日本に大型ネコ科はもともといないし、ニホンオオカミだって恐らく絶滅したので、現実的にはそう恐いわけではない。 で、意外に「こいつに会ったら嫌だ」と思ったのが、チンパンジー。虎の牙や熊の爪のような一撃必殺の武器はないとしても、あの体格と敏捷さ、腕の長さで敵意を表わしてきたら、けっこう恐いぞ。
それを思うと、単純に生身の野生動物として考えても、ニンゲンってけっこう危険な大型哺乳類なんじゃないかと思う。チンパンジーよりニンゲンのほうが、もうひとまわり以上体格が良い。 「ニンゲンのような弱小哺乳類が他の野生動物に負けずに大繁栄をしているのは、ニンゲンが知恵を使ったからだ」みたいな主張を聞いたことがある。知恵のお陰かどうかは分からないとしても、ニンゲンが弱小な生き物というのは間違っているよな。ニンゲンって、陸上哺乳類の中でもずいぶん大きい方だ。
さてさて、休暇前にムリヤリ解決させた問題はどうなったか。新しい問題は発生していないか。
おそるおそる出社したが、特に大きな問題は無かったようで、安田一人いなくたって世界は変わらないさ、的な状況だった。良いタイミングで休みが取れたと言える。
なんだかまだ縦走生活との時差が身体に残っていて、朝は早く起きるし夜はすぐ眠くなる。このまま朝型生活へ変えていこうか。
恋人は晩飯時にやってきて、ちょっとずつ残っていた日本酒をすべて空けていった。平日なんだから、ちびちび呑めば良いと思うのだが。
母親の命日ということで、家族3人で会食。 素敵な小さなお店が所狭しと並ぶ神楽坂で、今回行ったのはイタリア料理だかフランス料理だかはっきりしないお店だったが、特筆すべき美味しさだった。 素敵なお店は多く、それなりの値段を取る店も多いが、そのすべてが美味しい訳ではない。まぁ値段相応の美味しさだな、というくらいが普通だと思うが、今日のお店は期待以上に美味しい。僕が今まで食べた神楽坂の10件程度のお店の中で1、2を争うんじゃないかと思う。
松の実を多用したメニューで、鰯にアニスをあしらえた焼きうどんみたいなパスタ、パンにつける油が特に美味しかった。 ワタリガニ、あなごもすばらしかった。
神社の前にあるポアソンというお店だ。また行きたいから覚えておこう。