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2010/4/29(木 祝日)

今年のゴールデンウィークは、いくつかの計画が都合よく並んでしまったので、全部やることにする。

まず前半は、北アルプスの雪山登山計画。
素晴らしい展望、手頃な難易度を期待して、唐松岳から五竜岳への縦走をもくろんだ。

アクセスは高速バス。到着時間は遅くなるが、今回はテント泊、手頃なところまで進むには十分の時間である。まだGWも前哨戦で高速道路の渋滞もたいした程ではなさそうだし、何しろその安さが魅力的だ。

数年前の秋に同じコースをとったが、そのときの下山後に立ち寄ったお店が美味しかったので、またそこへ寄る。
登山前からビールで乾杯というのは如何なものかとは思うが、やはり美味しい店だった。

スキーヤーに混ざってリフトを乗り継ぎ、八方池山荘からの登山開始は15時半ごろ。 今日の日程は短いし、傾斜もあまりないはずだ。そう思っていた割には、そこそこ登る。最初から登りを覚悟していれば、たいした登りには感じられなかったかもしれない。

野営場所を探しながら1時間ほど歩く。当初のなんとなくの計画どおり、八方池のあたりの窪地にテントを張ることにする。
スコップを利用し、結構な斜面でも素敵なテントスペースを準備できた。

雪の形を整えていく作業は楽しい。幼いときに砂山で遊んでいた記憶は、そんなに覚えていないが、たぶん楽しくやっていたのだろう。それと同じような楽しさが、今度は今夜の快適な睡眠という実利を伴って楽しむことができる。雪とシャベルは素晴らしいな。

豚肉は最近のお気に入り、味噌漬けにして持ってきた。保存性と風味の両方が向上していると思う。 明日からの荷物を、焼酎2合にワイン3杯分程度軽くしたあたりで就寝。
天候は思ったほど回復せず、時折降雪もあるようだ。今夜は寝ろってことだろう。


夜中は少し晴れた

2010/4/30(金 休暇)

夜中の間中、雲は完全にとれず。特に白馬岳あたりは、もう少しというところで姿を見せてくれない。 月夜に走る雲の陰は美しかったけど。


日の出は、それなりにきれいだったが鮮やかさが無い。
春だから仕方がないか。

今日は真っ青に晴れて焼けるかと思ったが、どうもその逆のようだ。 基本は高気圧圏内のはずだが、寒気が入ってきたとかいうことで、雲は取れないどころか増える一方。 前を歩く集団が、ガスに覆われた稜線に入っていき、ついに見えなくなった。

我々もそれに続くことになる。
だんだん前が見えなくなる中、だいたい予定どおりの時間で稜線に出たが、そこから小屋までの道に迷う。ほんの数分で着くはずなのだが、最初は違う方向へ行ってしまったようだ。

小屋で休まずに、まずは唐松岳の頂上を踏みに行くことにする。以前来た時は、小屋から少し登った程度で着いたような気がしたが、積雪期ともなるとそうもいかない。さすが北アルプスの稜線上の一座、雪庇の上を歩かされたり、けっこう緊張した。


風が強い頂上。写真撮って早々に退散。

小屋の中に入り、コーヒー休憩。休憩するだけでも金取られるが、この雪の中ならその価値はあるだろう。

五竜岳へ向けて出発。
ここから先は登山者が減り、この強風の中では踏跡はほとんど無い。消えかけた足跡が数十mおきに発見できるか、というくらい。
視界はガスに巻かれてほとんど利かない。風雪も強く、できれば顔を上げずに済ませたい。 極端に難しいコースでは無さそうなのだが、この先はこのコース最大級の難所。この状況では、困難を積み上げれ無事に通過できる、という自信が沸かない。

五竜の小屋までは標準タイムで2時間半、まぁ3時間かけて歩けば良いかと思っていたが、たとえ無事に通過できたとしても5、6時間は覚悟する必要がありそうだ。

こういうときに、ピークをひとつ踏んであるという実績は、気分的に撤退しやすい。 まぁこりゃ無理だな、撤退するかという気持ちは、割とすぐに固まった。 無理は無理なりに、どこまで行けるか見てみたい気もしたが、10分ほど歩いて引き返した。100mも進んでいないと思う。

せっかく小屋まで登って来たし、もう一晩泊まって今夜の月夜を楽しむという選択肢もある。あと2日日程があればそうしただろうが、登山に使う日程は明日までだ。
まだ昼過ぎだ。下山する時間は十分にある。丸1日、中途半端に白い霧のなかで滞在するよりも、すっぱりと下山したい気分だ。


およそ12時、引き返す直前の光景

ここからの下山道もすごかった。
完全にホワイトアウト、視界は何mくらいあったのだろうか。大地は雪に覆われて真っ白で、大気も霧に覆われて真っ白だ。足元を見れば多少のデコボコが確認できて、地面はちゃんと存在していることは分かるが、10歩くらい先になると、もうどこまでが地面で、どこからが空気なのか分からない。
ときおり、すべてが真っ白の中で、雪が露出した岩なんかがそこだけ黒く見える。が、その黒が大きな岩なのか、小さな石ころなのか判別できず、距離感がまったくつかめない。

すれちがう登山者も、かなり近くまで話し声が聞こえてから姿を見せる。振り返ると同行者の姿はおおむね確認できたので、視界は20m先くらいだったのでは。

八方尾根の道は、真東にまっすぐ歩いて行けば良いのだが、歩行中は人影やトレースを探して首振りながら歩く必要がある。視界にはほとんど何もない状態だから、方向感覚失いやすい。 よく、小屋の手前30分のところでも遭難する時はする、なんて話を聞くが、さもありなん。

まぁ、地形的には険しくないのと、人気の山で登山者も多く、10分も歩けば誰かとすれ違えるので、それほど不安も感じず、方位磁石もそんなに見ることもなく下山することはできる。 良い経験味わえてるな、という感じ。

天気は、完全には回復していないが、そう悪い訳ではない。風の通り道なんかでちょっとした違いがあるみたいで、対岸の山々は頂上まで晴れている。 日数も食料もまだ1日分あるし、下山後は酒飲んで帰る、ではなく、どこか手頃な山見つけて登山のはしごをしてもいい。

15時頃下山。 とりあえず、まずは情報集め。バスターミナル行って近隣の情報を集めてみる。 このエリアの山はなんとなく雲がでやすいようだし、せっかく下山したのだから別エリアに転戦したくなる。 とりあえず松本あたりに移動したいが、白馬から松本方面の公共のアクセスは思ったよりも悪く、本数の少ない各駅電車に乗るのが唯一の方法。 その電車も15分後に1km先の駅から発車する。間に合うかどうかのギリギリの線。

とりあえずその電車を目指してみて、駄目だったら近くのキャンプ場泊まって、蕎麦食って温泉入ってビールのみに行こう、ということにする。

休む間もなく、小走りで駅に向かったらギリギリで間に合った。駆け込み乗車で汗をかいた。

時間的には夕ごはんだが、順番としては昼ごはんだ。下山後もしっかりと食事をとる余裕がなかったので、非常に腹が減った。
いきあたりばったりの計画だが、無事にレンタカーも確保し、この先の予定、見通しもなんとなくでき、ようやくごはんにありつけた。

蕎麦ウマイ。
そば湯も素晴らしい。塩分と水分とれて、登山後の身体には合っているのでは。

温泉で汗を流した後、向かった先は高ボッチ山。
・高展望の山だとどこかで聞いたことがある
・地図をみると稜線上に車道が走っている
・立ち読みすると展望のよい駐車場(トイレ付)がある
・松本から割と近い

というところで決めた。

登山のはしごといっても、さすがにアクセスに時間がかかるところや長いルートは無理だ。アルプスの稜線までは登れない。
今晩の夜景と明日のハイキングができれば良いと思うが、非常に良い選択肢だったのかもしれない。

下山後、松本方面の電車に乗るために、そこまでする必要あんのかよと思いながらも重い荷物背負って無理して走ったが、そうしたのが良かったのだな。
思いがけず車内で隣り合わせた人が、僕の写真展にきてくれた人だったという幸運も味わえたことだし。 (同じコースを歩いていたらしい。写真集も買ってくれた。)

ねらいどおり、松本地方の上空は晴れている。うっすらとした雲はあるが、星も月も良く見える。
北アルプスが街越しに見えるようなのだが、そちらはまったく雲の中。今日一晩延泊したところで、ガスの中にいるだけだろう。

狙いどおりの展開ではあるが、そういうことよりも、とにかく眠い。飯食ってすぐに寝た。

2010/5/1(土)

日の出のころも、アルプス連峰は曇ったままだった。
テントで二度寝三度寝を繰り返していると「あれは常念ですか?」なんて声が聞こえてくる。

眺めれば青空に白い峰峰が。鮮やかに。
一気に目が覚めた。


アルファ化米を利用した山ごはんとして、とても高い完成度なのではないかと思う。運搬姓、保存性、調理の容易さ、どれも高いレベルで満たしつつ、おいしい。長期縦走の時にだって使えそうだ。

材料はアルファ化米、五目寿司の素、パックの錦糸卵、熟れたアボガド、かにかま。
アルファ化米をお湯で戻し、他の材料を切って混ぜるだけだ。錦糸卵は100円ショップでも売っていて、とりあえず色鮮やかになって食欲をそそる感じ。

高ボッチ山、頂上は駐車場から標高差にして10mもないようだ。駐車場からの景色も良かったし、その程度の標高差では大して変わらないかもしれないが、八ヶ岳くらいは見えるかもしれない。とりあえずすぐ近くなようだから行ってみよう。

それくらいの気持ちで行ったのだが、すごいなここの景色の良さは。周囲360度、日本の名だたる高山のほとんどが見渡せる。 八ヶ岳は予想どおり格好良いし、北岳、甲斐駒、千丈あたりの南アルプスも存在感がある。中央アルプス、御嶽もよく見えるし、今まで見えていた北アルプス連山も、駐車場あたりは丁度隠れ、これまた良い感じだ。
山の名前を唱えるだけでは飽き足らず、諏訪湖とその周囲に広がる街も良い。昨夜ここまで足を延ばしていたら、八ヶ岳に諏訪湖と街の夜景と、とても素敵な写真が撮れたかもしれない。

しかし、このアクセスの良さで、観光地というほどの人どおりもない。今度、皆でキャンプしにくるのも良い。
3000m峰に登って、周囲のすべてを見下ろし、天に近づいたぞーという景色は確かに素晴らしい。
が、周囲の山々の格好良さを味わうには、中級の山が丁度良いのかもしれない。この周辺だと標高2000mくらいなのかな。

1時間ほどのドライブと30分ほどのハイキングをして、霧ヶ峰、車山山頂にてお昼ごはん。 八ヶ岳が格好良い。

ここも展望の山だ。昨日の昼ごはんを食べた山と、今日の朝ごはんを食べた山のあたりが見える。


ドライブも快適

霧ヶ峰に来た理由の一つは、コロボックルヒュッテを偵察するためである。登山雑誌で紹介されているのを見て、いつか利用してみようかと思っていたが(昨夜も宿泊場所の候補にしたが)、想像以上に素敵なところだった。
ここもまた是非来てみたいね。花の季節も良いし、空の高い晩秋も良い。雪が降ったら、処女雪にダイナミックな落書きをしてみたい。
もちろん、青空に白い雲の浮かぶゴールデンウィークの今日みたいな日だって素晴らしい。


コロボックルヒュッテ

松本戻ってレンタカーを返し、高速バスで新宿まで戻る。いろいろ順調にいった。旅先でレンタカー借りるのは、気楽に行動範囲を広げられる。

バスの車内でけっこう酒を飲んだ。とはいえ腹が完全に満たされた感じでもないので、家の近所の焼きとん屋さんにて、軽くビールとつまみで締める。
ビール2杯とおつまみ数点、ねらいどり二人で3500円程度。

期待以上に実りの多い1日だったな。また手持ちのネタが増えた。高ボッチ山も霧ヶ峰もすばらしいぞ。もしかしたら八子ヶ峰も期待できるかもしれない。


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