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2009/9/18(金)

当初予定していた木曜夜の出発をあきらめ、金曜になってもスッキリ片付かない。 出発のギリギリまで仕事に追われる。PCの電源を切った後でも問い合わせが入り、さらに30分延長。 まぁ、これから1週間休もうとしているので、明日に持ち越すことができない。仕方がない。

今回の旅のフィールドは北東北から北海道南部。連休じゃないといけない、紅葉が始まっていそうな、まだ行ったことのない地域。
アクセスは、当初は飛行機+レンタカーを予定していたが、調べてみるとレンタカー代がけっこう嵩む。では、自分の車とフェリーを使うとなると、時間がかかってもったいない。
どうしようかなと考えているうちに、一つの奇手が可能だということに気づく。すなわち、自分の車で行って飛行機で帰ってくればよい。最終的に車はどうするのかというと、廃車にする。 長年乗ってきた車だが、使用頻度が低いので、維持費を考えるとレンタカーを利用したほうがずっと得だ。ちょうど車検前で廃車を考えていたが、車にとって華々しいフィナーレを飾るのはおもしろい。

仕事を切り上げたのは、結局21時ごろになる。こっそり宇都宮まで運んできた車に乗り込んで、出発。北へ北へと目指す。今日は仙台まで、眠気に耐えて3時間ほど。

遅い到着から夜の街を歩き始め、ごはんを食べ始めたのは2時ごろ。 仙台の繁華街の入り口にあるお店に入った。

ホヤのスモーク。ホヤを食べるのは初めてだったと思う。その後この旅において何度か食べたが、この皿がとても完成度の高い料理だということを認識。
深夜でも営業している数少ない選択肢から選んだが、すごく料理のうまいお店だった。素材も良いが、それを洋風に和風に、うまく料理している。基本はイタリアンなのかな。

にこやかで爽やかな店員さんと、上品な料理が印象的。
地酒を3種注文し、どのお酒もとっても美味しかった。名前は忘れたが。


本日の走行距離:247km(Google mapによる推定)


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2009/9/19(土)

最初のターゲットは白神山地と不老ふ死温泉。それが当初の計画だが、出発を遅らせたために旅館の予約が駄目になり、すでに行動を縛る条件はない。他の場所に行ってもいいわけだ。
じゃあ他に行くところは、というと、栗駒山でも鳥海山でも良いし、秋田駒ヶ岳、八幡平でも良い。

そんなことを話しながら東北自動車道を北上。
長い連休の初日だが、金曜夜出発が利いて渋滞はそれほどでもない。が、昨日は4時まで飲んでいたために、当然出発は遅れている。ときおり道は混む。

冷静に考えてみると、白神山地は遠い。山頂まで登って、避難小屋に泊まるのは厳しそうだ。 他の計画を考えると、「盛岡で冷麺食う→今日は八幡平でテント泊」という計画のほうが無理がない。というわけで計画を変更。具体的な行動が決まる。

ということで盛岡冷麺。インターを降りて5分くらい。ぴょんぴょん舎という、どうやら一番有名らしいお店。

盛岡冷麺やさんと韓国料理屋さんの違いが分からない(ので調べてみた。在日韓国人が盛岡で故郷の味を再現したのが盛岡冷麺の起源らしい)が、そんなのは良い。重要なのは、このお店がとても雰囲気が良く、しかも美味しいお店だということだ。店内もスイスあたりの山小屋のようなイメージの素敵な空間だが、小川に面した屋外にも心地よく、我々はそちらを選んだ。

ちょうどこういうのが食べたいと思っていたのだ。
みちのくといえば高級和牛の産地。タンやらハラミやらカルビやら、おいしいところを焼いて食べよう。 脂が乗っているのにしつこくないぞ!しっかりと煮込んだ白濁スープもおいしいぞ!

今日はそこの小川にテント張って、ビールも飲んでしまおうかという気さえする。

ショッピングモールで今夜の食材を買って、八幡平(ハチマンタイ、と読む。ハチマンダイラではない)を目指す。

今年はだいぶ紅葉が早いようで、期待以上に染まっている。
まだ9月も半ばだ。僕の予想では、頂上部はまぁ紅葉していなくもないという程度のところを、派手なところだけ写真とって誇張するのかなぁと思っていたが、これはもう盛期だと言っても良さそうだ。


キャンプ場近くの沼

寝床を確保せねばならない。
近くに温泉もたくさんあるし、当初はキャンプ場に泊まって星を見ようかと思っていた。が、どうも今夜の天候では星空は望めなさそうだ。それに温泉の立ち寄り入浴は、夕方までに設定されているところがほとんどだ。テント設営後に入るには時間が短いし、先に温泉に入ると暗闇の中のテント設営になってしまい、ちょっと落ち着かない。
案外冷えるし、こういう日は温泉宿に泊まるほうが魅力的に思えてくる。

ここはみちのくの温泉の巣、車で10分ほどの間に、4,5件の温泉宿がある。その中の2,3をあたると、この連休中でも後生掛温泉の湯治棟で宿泊可能だったので、そこに泊まることにした。
自炊するつもりで食料調達しているので自炊宿はちょうどいいし、相部屋というのも山小屋みたいなものだ。都合がいい。

自炊小屋では、いろんな人がいろんなものをくれる。台所でおばちゃんが揚げたての空揚げくれたり、枝豆くれたり、通りがかりのおじちゃんが自家製のかぼちゃくれたり。 我々は我々でけっこう気合の入った晩餐こしらえているのだが、貰い物だけで一食分にすることも可能なのでは。

いも煮には、比内地鶏入れて里芋入れて、キノコたっぷり入れたしょうゆ仕立て。
盛岡で買ってきた日本酒も美味しかった。銘柄メモっておけば良かった。

我々が泊まったのはオンドル小屋という、床下が温泉の地熱で暖められた建物だ。そのほかにも、普通に快適そうな旅館部や、湯治部の中にも個室の部屋もあるが、相部屋が空きもあり、安い。
オンドル部屋は、ものすごく暑い。床は40度くらいになっているのではないだろうか。快適な床暖房というよりは、人肌のお燗をするくらいがちょうどいい。室温も、夏の熱帯夜より暑そうだ。 たぶん、リウマチとか腰痛の人には痛みを感じずに済んで快適なのかもしれないし、代謝が促進されるのは健康に良いのかもしれない。
が、我々には寝苦しい。朦朧とした眠気の中、外のベンチで寝ていた気がする。


小屋自体は、施設としては山小屋に近いが、流れている雰囲気は、また一種独特。気温と湿度が高いだけではない気がする。なんていうか、濃厚で、江戸時代から続いているというか、船底の2等船室というか、そういうローカル色を煮詰めたような感覚。具体的に何が、というわけではないのだけど。
平成の世になって、あと何十年か経っても、こういう空気は残るのだろうか。


本日の走行距離:260km(Google mapによる推定)

2009/9/20(日)

朝日を見に行くものの、頂上付近はガスと強風で外に出る気になれず、無駄足だった。そのまま明るくなるまで車で眠る。
昨日の鍋の残りにひっつみ入れて、今日も朝から美味しいごはんで一日が始まる。

温泉の裏には、30分くらいの散歩コースがある。
温泉地特有の奇怪な地形と、今が盛りの紅葉がミックスし、面白い景色がみられた。


今日は八幡平の核心部を散策。深田久弥の日本百名山に選ばれている一座だが、「平」の名に恥じず、登山とは言えない散策だ。ハイヒールのお姉さんも歩いていたような気もする。
標高はあるから麓からみれば山なのだろうが、頂上付近は平。車で来れるところからは湿原の散歩になる。

紅葉+青空。風はなく、理想的な散歩日和。


池塘がたくさんある。沼も。


展望台からの有名な構図


赤と黄


いちおう頂上はあるが、ここでなくても良いんじゃないかというような、ほとんど平地のところに標識が立っていた。三角点はあったので、高いから頂上というよりは、測量をやった場所を山頂にしたんじゃないだろか。 まぁ、展望台が建っているので、その分の遠望は得られる。遠目の岩手山がカッコいい。
お昼過ぎ、登山終了。

鹿角の市役所で、地域のお祭りをやっていたので、そこで買い食い。
農産物と味噌をゲット。このときに買った味噌が、のちに大活躍をすることになる。


十和田湖畔。今夜は晴れそうだし、キャンプ場に泊まろうと思う。 いろんなところでちょっとずつ時間がおすもので、夕暮れちょい前に到着。近場のキャンプ場にテントを張ることにする。

このあたりにも温泉は多い。著名なのは奥入瀬渓谷のあたり、キャンプ場からは20km程度の十和田温泉だが、確かに連休で道路状況は良くないだろう。時間がかかりそうだ。十和田湖の湖畔にあるリゾートホテルにも温泉があって、いくつかが入浴可能。キャンプ場管理人のおっさんは、高いし普段行かないので詳しくは知らないらしいが、たぶんリゾートホテルの大浴場として、無難な温泉なのだろう。 一番近くて安いのは、温泉ではないが徒歩でも行けそうな国民宿舎。

まぁ毎回お風呂にこだわることないし、早くごはんが食べたい。近い方が良いだろうと思ってその国民宿舎にした。
思ったよりも高くて、寮のお風呂よりも狭かった。もう少し頑張って遠出しても良かったかな、というお風呂だった。まぁ、いいけど。


今日もごはんがおいしい。


鹿角で買った見知らぬ農作物。
名前どころか、地下茎だったかつぼみだったかさえも忘れたが、とても美味しかった。
味は枝豆に近いが、風味があって食べやすい。

馬肉も、脂が乗っておいしかった。

ひっつみと同様、盛岡のスーパーで買ってきたひっつみのそば粉版(特有の名前がついていたが覚えていない)。これを鍋に入れて食べた。
小麦で作ったひっつみと違い、鍋にいれるとくっつく。カタマリになるともそもそした味になって、あきらかにひっつみよりも美味しくない。僕はどちらかというとうどんよりも蕎麦のほうが好きだが、そば粉を使って成功している料理って、麺状にしたソバくらいなのかもしれない。

キャンプ場は、車横付け可能な湖畔のサイト。非常に便利で快適である。街灯と樹林のために星は見にくい。 アウトドア度は5段階の2か3かな。アウトドア度というのは、今とつぜん作った指標だが、5が周囲に人間のいない大自然の中のビバーク、4が電気や水道、車道の通じていない、山小屋や山中のテント場、1が海辺や田舎の民宿、という感じ。

湖畔に面しているので、カヤックキャンプをやるには最適だ。現に、たくさんのパドラーがテントを張っていた。こういうきれいな湖の快適なキャンプサイトでの紅葉カヤックにも行きたくなる。

雲の無い夜空。星を見ていようと思ったが、大変眠い。寝てしまう。


夜の湖畔

本日の走行距離:80km(Google mapによる推定)

2009/9/21(月)

天気は下り坂のようだ。が、くずれる直前、雲がうっすらとかかり始めたころに朝日が昇れば、空はすごいことになる。

昨日は八幡平登った。今日は八甲田山登る。この調子で明日は岩木山、明後日は後方羊蹄山と登っていけば、毎日深田百名山ツアーとなる。 本当にそうなるかは兎も角として、その2日目。 朝から焼きおにぎりをこしらえる。頂上で食べよう。


写真で撮ると、確かにきれいだ。

高名な奥入瀬渓谷。十和田湖を水源とし、八甲田山行く途中にあるのでよってみる。

きれいなことは確かだが、なぜそこまで有名なんだろう。
というのは、この景観は、そう珍しいものではないと思うのだが。奥秩父でも奥多摩でも、どの山行ってもこういう渓谷はあると思う。 奥入瀬渓谷がそういうところと違うのは、隣に車道が走っているところだ。きれいな渓谷と同時に、車道や観光客が目に入ってしまうから、そのへんの山奥の無名渓谷のほうが優れているとも言える。基本的にアンチ奥入瀬渓谷の立場を取らせてもらう。

まぁ、車道があれば気軽に楽しめるという利点はある。車道から見れる紅葉では、随一なのかもしれない。その場合も、容易に渋滞しやすい地形なので、紅葉の時期なら平日狙うとか、そういう工夫がいるのでは。自転車で下るくらいがちょうど良いかな。

今日は地味に雲っている。雨の心配は無さそうだが、青空が見えることも無さそうだ。

登山道は酸ケ湯からの周回ルート。とくに意識せずに歩いていたら、左回りルートをとっていた。 どの道歩いているか意識しないのは危険なことだが、結果的に左回りルートは大正解だと思う。


秋まっさかり。紅葉は今がピーク。


硫黄が出る一帯。ここだけ植物が生えず、工事現場のよう。
川の水を飲んでみたら、とても不味かった。


鞍部から見上げる


見渡す


頂上直前の池。シンメトリーな池


頂上までは2、3時間。さらっと着いちゃうだろと思っていたが、そうもいかない。 いろんなところに見所があって、そのたびにカメラを取り出し、足が止まる。

そしてピーク。ここで初めて北側の景観が見え、驚かされることになる。 まさしく青森県が見える!


下北半島と津軽半島、クワガタ状の2本の角がこんなに近くに!
いや、見えるらしいとは聞いていたが、もっとかすかに、なんとなく見えるのかと思っていた。
長大な本州の最北部、もうあそこがはじっこだ。遠くまで来たものだ。 北西に島影、北海道らしき陰影も見えるような気も。


津軽平野のど真ん中にそびえる岩木山はカッコいいし、太平洋も日本海も同時に一望できる。(そんな山っていくつも無いだろう)
すばらしい展望。八甲田山は気に入った。また来ようと思う。

下山ルートも素晴らしい。紅葉した湿原の、金色の野を行くことになる。ナウシカになった気分で歩こう。



16時前に下山。 大満喫のルートでした。


酸ヶ湯でソフトクリーム。

今晩は、星が見えないどころが降雨があるかもしれない。テント泊しても面白くない。
温泉に泊まろうと思い、いくつかの宿に問い合わせる。「みちのく深沢温泉」というところが取れたのでそこに宿泊。

登山口からそう遠くないし、露天風呂の写真は良さそうだったのだが、いざ到着してみると、かなりぼろいぞ。
プレハブの合宿所というか、資材置き場みたいなところだ。

まぁ室内に入ってしまえば外観のぼろさは気にならず、普通の宿泊所であるので不便はない。 案外広く、温泉を床暖房に利用しているということで暖かい。(少し暑いくらいだ) 久しぶりに現役で活躍している100円テレビがあったが、もともとテレビは見ないので影響は少ない。

温泉。
洗い場の蛇口からも真水ではなく、温泉が出てくる。温泉の湯なら浴槽にたっぷりたまっているのが使用できる。源泉かけ流しの極みともいえるが、蛇口をひねるのが無駄骨に思える。

露天風呂は、思ったよりも狭い。3人くらい入ったら狭さを感じるだろうが、常時独占できるので問題はない。男湯と女湯を隔てるのがスダレ一枚。場所によっては、スダレごしに見えてしまうのでポジションどりに注意する必要がある。
露天風呂の周りは、沼というか渓谷というか、そんな景色だ。風流と言うかよどんでいるというか、見方によってキレイともキタナイとも言える、判断の難しいシチュエーションだ。

泉質はわりと気に入った。このあたりは温泉の巣窟で、それぞれ泉質も違うらしいが、硫黄も塩分も強くないし、お湯自体の満足感は高かった。

作り置きのショウガ焼きなどは嬉しくないが、具だくさんのあったかいみそ汁と、見知らぬキノコはおいしかった。


2009/9/22(火)


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1日1名山の3日目は岩木山を目指す。
青森県の最高峰、りんご畑の真ん中でどっしりと鎮座する名峰だが、頂上付近まで車道が通じている。その先のロープウェイまで使えば、ほとんど歩かずに登頂できてしまう。 麓からの真面目な登山道もあるが、今回の旅では岩木山に時間をかけず、観光客登山をして一応ピークは踏んでおこうか、という方針。

サテ、本日は北海道にわたろうと思っている。
青森から函館まで、フェリーが出ていてそれに乗る。出発前、あんがい本数は多く、人間だけの運賃は安いという程度は調べたが、詳しい時刻表は調べていない。そんな時間はなかった。 7日も旅するのだから、途中でネット見て調べられるだろと思っていたが、案外そうする時間もなく。 時間がある時は、ネットどころか携帯電話の電波も届かない山奥にいたりする。

そんな状態なので、岩木山への移動中にフェリーの時間を調べ、予約を取り、宿を調べ、予約をとる。

八甲田の山中を発った時に降っていた雨もあがり、昼過ぎには青空まで見え始めた。 岩木山にかかる雲も、あと数時間もしたら取れるかもしれない。我々が登るころには丁度いいのではないだろうか。

あれ?岩木山に登っているとフェリー間に合わないな。
どうしようか。


八甲田山を彷徨している場合じゃなかった。これは生き残りの伍長の像

ここで1日、日程を送らせると、北海道上陸後に時間がなくなり、後方羊蹄山をあきらめることになり、ちょっとパンチに欠ける後半戦になってしまうし、せっかく予約がうまいこと取れたのに、それを崩すのももったいない。

岩木山スカイライン手前10分のところで登頂を断念。岩木山は裾野のりんご畑を踏んだだけで、戦略的撤退を敢行。まぁ、戦果としてはリンゴをたくさん購入できたので良しとしよう。

フェリー乗り場にて。青森名物らしい。美味しかった。


津軽りんごと津軽海峡

津軽湾もずいぶん広い。
いつも走っている東京湾、7月に行った鹿児島湾と大きさ形ともによく似ている。 左右に長い半島があって、最奥に都市がある。


津軽海峡はベタ凪。鏡のようだ。


日が沈めば北海道。フェリーで4時間くらい

百万ドルくらいの夜景は船から見るので済ませておいて、旅館へ直行。
もうすぐ晩ごはんの時間。


湯の川温泉「漁火」というところ。
漁師宿の素材勝負で刺身がたくさん出てくるようなところを想像していたが、素材というよりは料理勝負の、料亭みたいな感じの献立だった。


これがすごい。キンキのから揚げ。
旅館の名物らしいが、揚げ方が名人技。小魚揚げるのって、少し焦げたり骨が残ったり、こんなにうまく揚げるの難しいと思うが、まったく濁りのない味だった。

2009/9/23(水)

朝ごはんがとてもおいしい。
いかそうめんも名物らしく、とてもおいしいが、白米が特筆すべきおいしさだった。何が違うんだかしらんが。

今回の旅行の中で最も高い1泊だったが、さすが料理もおいしかったし快適だった。妥当な金額なんじゃないかと思う。
じゃあ、旅としてこの一泊が一番満足度が高いかというと、案外そうでもないのが面白いところだ。快適さは金額におおむね比例するが、満足感はまた別の要素もある。

温泉に関しては前日のぼろい宿のぼろい温泉の方が、泉質がよくて気に入ったし(ここの宿は塩泉。施設は整っていて景色も良いのだが、塩泉はなんとなく好きじゃない)、翌日に泊まる1泊数百円の山小屋の方が、非日常感と感動を味わえたりする。


オーシャンビューの部屋。海の目の前。

さて。
天気予報はいろいろ変わったが、とりあえず本日の降水確率はゼロ。明日は下降気味だが曇りベース。
シリベシ(後方羊蹄山)登山を決行しよう。

本日山小屋泊案、ゆっくりドライブ→シリベシ麓泊案、登山やめてダラダラ旅行案の3案のうち、本日中に登山を開始して小屋まで登る計画を採用。シリベシまでの道にも魅力的な温泉等あるようだが、途中すっとばし。

これまでの反省を生かし、なるべく早く出発しようと画策する。 おおむね予定どおり出発したものの、朝市寄ったり、駒ヶ岳眺めたりしているうちに、やっぱり時間は押してくる。


市場で買い物


函館近郊の駒ヶ岳。かっこいい。


トウモロコシって生でも食えるのか。甘くて美味しい

「北海道は道路状況がよく、町を出れば信号がほとんどない。移動は楽だ」
よく聞く話だし、実際にそう思う。
とはいえ、平均速度は60km/hくらいで移動していたと思う。(常に80km/h出していたって、10分に一度信号止まればそんなもんだ)目的地が60km先なら1時間かかる。函館近郊の主要道路なので、それなりに交通量はあったし、10kmも進めば集落はあった。
後方羊蹄山はまだ100km以上先。このままでは登山開始が14時過ぎてしまい、標高差1700m程のコースを日暮れまでに登ることができない。

そんなときに、高速道路の入り口が出てきたので乗った。3年ほど前の地図には乗っていない、できたてのやつだ。これを使って、ずいぶん時間短縮ができた。北海道でも高速道路は有効だ。
海の向こうに見えていた羊蹄山も、ぐっと近くなる。


急いで支度

いくつかある登山道のうち、真狩コースからのピストン。 富士山型の独立峰なので、最初から最後まで単調な登りだ。

道はシラカバの林の中からスタートし、やがて紅葉の広葉樹林帯に入る。標高はどんどん上がり、景色を眺める視点はどんどん高くなる。




青い空と盛りの紅葉。
1年のうちで、一番鮮やかな日なんじゃないかと思う

連休最終日の行楽日和。すれ違う登山者は多い。
みな、我々を「重い荷物で大変そうですね」というような視点で見ていく。 確かにテント泊に必要な道具を詰め込めるザックを使っているし、三脚やらお酒やら背負って、それなりに重い。でも避難小屋宿泊となると、極端に大きな荷物ではないと思うのだが、確かに周囲の登山者はだいぶ軽装だ。
しかも案外早い時間だ。頂上を回るとなると10時間くらいはとっておきたいと思ったが、案外時間はかからないのだろうか。


存在感のある5合目の樹。

スタートが0合目で小屋は9合目の近く。10合目がお鉢回り。
間隔はややいびつだが、目安になる。

4合目付近から7合目くらいがつづら折りの道。長い波長でつづら折っている。
8合目から9合目は、道がトラバースぎみになる。そう遠くない距離だろうが、かなり長く感じられた。疲れてきたのだろう。木屋着は夕日の時間に間に合う。



17時過ぎ、小屋着。
連休の最終日、同宿者はほかに関東からのおっさん3人組、管理人のお爺さんとイヌ。


世界が茜色に染まる10分間。

標高差1500mあるコースでこの献立はなかなかのものだろう。
函館の朝市で買った、今が旬のイクラ醤油づけ。もって帰りたくないので、1パックまるごと食べきってしまおう。

味噌汁がおいしい瞬間。
1日がんばって登山して、夕日と夜景を見て体を冷やしたとき。
口にした瞬間に暖かさが伝わり、身体が弛緩する。みそ汁とかいて、「安心」と読もう。
鹿角の手作りみそは秀逸。

ほっけも旨い。携帯用の網は小さいので、半身をさらに半分にして食う。
日本酒が進む。お酒は富山の若鶴酒造、純米吟醸雄山錦。

登山中のごはん=フリーズドライやインスタント食品 という概念からは別次元の境地。そこに手が届きつつあるな。
登山後に雲の上で食べるごはんは、インスタントラーメンでもおいしさが数倍される。 そんな場所で、どこで食べても幸福を感じるようなメニュー。満足感は掛け算となり、ダブルクロスカウンターのように強力な破壊力となる。

宵の時間はガスる。ときおり明星が薄雲ごしに確認できる程度。
明日に備えて眠っておけということだろう。


夕方はキレイだった

2009/9/24(木)

夜は静寂である。
巨大な熱源は大地の裏側に隠れ、空気は安定する。

明け方になれば雲は大地の底に溜まり、山の上では星空が広がる。
ときおりもっと高い層の薄雲に阻まれながらも、美しい夜空を堪能することができた。

この空ならば日の出も期待できる。
小屋からは日の出は見えないので、頂上に行こうか。なんなら、日の出前の鮮やかなグラデーションも楽しみたい。暗いうちから出発する。


夜の町は、朝の光に沈んでいく


日の出の前の序曲。いちばん繊細な時間

静寂が破れる。
惑星に棲む者にとって、日の出の瞬間は劇的だ。
闇の世界に光が当たる。すべての物体が運動を始める。空気は動き出す。

まぁ言ってみれば皆既日食と同じ現象だ。隠れていた太陽が姿を現すのだから。
毎日周期的に起こるので天変地異ではないが、毎日でも感動に値する現象だ。

頂上にて。
朝焼けの大スクリーンを見ながら。
そりゃ長居するでしょ。

空気の対流が始まる。朝の光を浮けて、雲は一気に上昇する。お鉢回りをしている30分程度の間に、山頂部はガスに包まれた。太陽は、あっと言う間に雲を1000mもち上げる。

朝からがっつり。
全般的に飲み屋風の献立なのは、ご存じのように昨夜に食べ切れなかったものを片付けようとしてるからだ。
満腹になったが、きれいに片付いた。


朝日に引き金を引かれたのだと思う。予想よりも早く、朝ごはんを食べている際に雨は本格的に降り出した。
気圧だか湿度だか、雲が生まれる条件が整いつつあるところに朝日が射し、気温が上がって一気に天気がくずれた感じ。わずか1時間でこうも変わるとは。体で覚える気象学だ。


まぁ出発前に天候がくずれたのは、都合が良いと言える。
乾燥した小屋の中でできるだけの雨対策を行ない、出発。この分じゃ途中で休憩もあまりやらないだろう。一気に下って温泉に入ろう。

昨日の青空に紅葉はもちろんきれいだったが、霧雨の中の鮮やかな紅葉もまた違った魅力。幻想的で、しっとりと潤っている。何を着ても美しい、お年頃の美人さんなのである。
案外雨も激しく、防塵防滴構造のないカメラなので写真に収められなかったが。

2時間強で下山。下山したら雨は上がったが、標高の変化もあるだろう。中腹が一番激しかった。 この雨でも数人登ってくる人はいた。そんなに山慣れていなさそうな人もいたが、安全に楽しめただろうか。

僕にとっては、非常に充実した登山だった。紅葉、夕日、星空朝焼けが楽しめたというのはもちろんだが、それらを味わうために、環境の変化に応じて適切に行動出来た。
ぼーっとしていたらあの朝日は誰にも知られないままだ。実際、小屋の老管理人は、朝日見れるとは思わなかったようだが、我々はそれに備えて行動し、ほかの誰もが見ていない美しさを確認することができた。 ぼーっと酒飲んで寝ていたのはガスがでている時間だし、お酒もご飯もおいしかった。
与えられた幸運を、ちゃんと全部生かせるように行動できたと思う。


下山後の温泉は、車で30分ほど走って「ニセコ温泉 雪秩父」というところへ。
温泉を選ぶ基準として「露天風呂があるかどうか」というのは大きいと思う。が、そればかりを重要視するのも良くないかもしれない。

芋洗い状態のカルキ臭い露天風呂よりも、内風呂でも静かな温泉の軟かいお湯のほうが快適だ。 今回の「雪秩父」は、2つの源泉をかけ流しにして、露天風呂も10個くらいあるという触れ込み。それは実際その通りで、しかも全然混雑していなかったにも関わらず、印象はとても悪かった。 今回の旅は温泉の巣とでもいうべき土地を通っているのに、なんだか毎回ハズしている気がする。

一言で言うと、すさんでいる。
硫黄泉は、どれも半分くらいタイルがはがれている。 白濁して底の見えない湯船に浸かると、ケツにあたるのははがれた後のコンクリートだったり中途半端に残ったタイルであったり。ポンペイの廃墟の湯に浸かっているような感慨というよりは、往時はバブル前くらいかなぁ、修繕費もでないような経営状態なのかなぁ、などと、そんなに楽しくない感慨に浸ることになる。 硫黄に弱い材質なのだろうか。そんなもの使うなよ。

数少ない非タイルの「星見の湯」といったかな、木を使った寝転がれる湯船は不快感少ないが、寝転がって浸かる想定にしては枕が高すぎて、落ち着きが悪い。水位が下がっているのではなく、もともとそういう設計で、製作者の神経を疑う。普通に当たり前に作ればこの高さにはならないはずだが、どこで間違えたのだろう。
テキトーに作ったのだろうか。

湯船の底に溜まった堆積物も、湯花の野趣というよりは、よどみに思える。なんだか新鮮な感じがしない。

全体的に、露天風呂がどうこう、泉質がどうこういうよりも、メンテナンスがされている印象がまったくないのだ。
これじゃまずいだろというレベルの状態だと思うのだが、責任ある人たちはなんとも思わないのだろううか。 ネットで見てもそんなに悪口見当たらなかったが、近年急に悪くなったようにも見えないのだが。



ニッカウイスキーの余市工場を見学。昼飯は同工場に併設されたレストランにて。
北海道と言えばウニ、カニ、イクラ。前日にイクラを食べたのでウニにしたが、今は禁漁期のようだ。生のウニをあまり見かけない。この丼も蒸してあるやつで、生のウニほどの喜びはない。 旬の食べ物を食べた方が賢いか。

余市工場は、同社のブランドにもなっている看板的な工場だ。実際に生産もされてるが、テーマパークのようにきれいに整備されている。

同行者はお酒が大好きで、その中にはウイスキーも含まれる。 ここではウイスキーの試飲ができる(普及種は無料、高級品は格安で)ということで、目がハート型になり、涎もたらさんばかりである。

僕もお酒は好きだが、ウイスキーの教養はなく、思い入れは小さい。彼女に対して車の運転係を命じるのは余りにも不憫なので、僕が運転係。

彼女は閉館ギリギリまで試飲コーナーに張り付いて、ずいぶんと飲んでいたようだ。格安とは言いながらも、かなりの金額を使っていた。

ウイスキーについて理解したこと

○原料はビールと同じく麦芽。ホップは使わないのと、麦を燻すことが違う。

○麦の糖化はビールと同じ。酵母はなんだっけな。

○それでできた蒸溜酒(ビールに似ているらしい。8%くらい)を蒸留して40%くらいにする。 蒸留方法は、単ポットを2段階が主流、焼酎と違って、連続式の蒸留は高級酒を作る優れた方式のようだ。

○ここからが重要。出来た蒸留酒を樽に詰め、寝かせる。樽の種類と寝かせる期間、周囲の空気によって、酒の風味が決まる。寝かせれば寝かせるほど良い訳でもなく、どういう性格にするかというのが決まってくる。

○ウイスキーは普通、合わせ味噌のようにブレンドして出荷される。複数の性格の樽を、どう組み合わせるかが重要らしい。原酒の出来栄えも当然重要だが、最終的にはブレンダーの腕で出来具合が決まる。
組み合わせの妙でいろんな味を表現して、なんだか芸術の分野のようになっているらしい。

紹介されていた製造工程を見て思ったこと
●かなり人手を使ってやっている。それを、「昔ながらの伝統的方法でおいしいお酒を作っています」と紹介していたが、少し詭弁も入ってると思った。樽への貯蔵以後、ブレンドなんかは名人芸が必要なのは理解出来るが、蒸留工程の炉の管理なんて名人芸を使う必要ないのでは。蒸留なんだから、暖めて冷やすだけだ。温度と燃料のコントロールだから、名人芸よりも現代的な装置導入した方が安く正確にできそうだが、懐古的な装置を人手を使って運用していた。
まぁ、高級品の嗜好品だから、コストダウンの意識低くても大丈夫なのだろうと理解している。
●樽と外気によってお酒が変化するというのはイメージ出来る。
樽の表面の微細なデコボコはなんらかの化学変化を促しそうだし、香りもつくだろう。 密閉性の低い樽の中に何年もいれておけば(実際何割か蒸発する)、周囲の空気の香りもつくだろう。海辺で作るウイスキーには、磯の香りがつくらしい。
ならば、それをもっとコントロールできないだろうか。樽を高温高圧中にいれて熟成期間を数分の一に短縮するとか、樽と酒の接触面積を変えてみるとか。そのまんま熟成期間の短縮にはならない気がするが、それはそれで違うバランスになって、味の表現が広がるのでは。
まぁ、そのくらいは研究してるのかもしれないけど、昔は使えなかったいろんな手法が現代では使えるので、安易な伝統保持に止まらず、伝統を生かしつつ新技術を積み上げていく道はあると思う。


旅のスタイルとして、今回の旅はこれまでにニュージーランドやオーストラリアでやってきたのが一番近い。それを国内でやっている。期間も移動距離も、例えばニュージーランド南島旅行なんかに近い。 キャンプ道具やカメラ、食料なんかをすべて車に乗っけて、天候に合わせて行きたいところに行く。 衣食住すべてを運んで移動して、いざとなれば車中泊もテント泊可能。

しかし今や、ハイライトとなるべき最も登山らしい登山、後方羊蹄山1泊2日を終えた。あとはゆっくり過ごして、車を処分して帰るだけだ。
今晩は小樽に泊まって、街の飲み屋でも行こうということにする。

宿泊は駅前のビジネスホテル。グリーンホテルというところに飛び込みで入ったら、かなり安宿レベルの価格なのに、特に不都合のない普通の部屋で希望がすべてかなう。

東北では山の幸が中心だったので、北海道では海鮮系。おいしいお魚を毎日食べたい。
小樽には寿司屋通りというのがあって、十軒くらいの寿司屋が並んでいる。まずはお寿司をひっかけよう。 お店の善し悪しはわからんが、とりあえずカウンターかそうでないかの差は明確に分かる。カウンターに座れそうな店を選んだ。
北海の寿司、とてもおいしかった。大将とのやや噛み合わない会話を楽しみつつ、寿司をほおばる。

小樽の夜を歩く。
東北では山の中にばかりいたので、街を歩くのは久しぶりだ。 小樽はずいぶん観光地化されていて、こじんまりと手頃なサイズだ。

おいしい郷土料理のお店が、案外見つからない。だいぶブラブラ歩いたのちに発見したのは、お酒もおいしく素敵なおつまみを出すような、落ち着いた店だ。

が、この時点で僕はとても眠かった。
とぎれとぎれの意識で、焼き鳥だか馬肉だかを食ったような。残されたわずかな感受性では、良い日本酒も出す、かなりおいしい店だとは思っていたのだが、感受性は本当にわずかしか残っていない。抗い難い眠気に支配されていた。

早朝2時くらいから行動していたのだから無理はないと思うが、おおむね一緒に行動しているのに、この娘は元気だなぁ。


同行者からクレームが入った。この店もチョー美味しかったのだからちゃんとメニュー書いておけ、とのこと。
写真はイカの内蔵のルイペ。そういえばそんなのを食べた。鳥や馬は注文してなくて、食べたのは根室のエゾシカ。 他にヤナギガレイの焼いたのを食べた。
確かにそれぞれは、朦朧とした記憶の中で美味しかった記憶はあるが、やっぱりとても眠かったという印象が強い。

2009/9/25(金)

翌日は早朝に飛行機乗って帰るだけなので、実質最終日。最終目的地である札幌の車屋さんはもう遠くない。

さて今回の旅は、8月に恋人関係となって以来のデートということになっているはずだが、テントに泊まったり湯治宿に泊まったりと、デートと言い張れるのかどうか怪しいところである。
小樽には水族館があり、そこに行けばデートしてカウントしても咎められることはなかろう。

土産を買って荷物整理して、魚市場へ。小樽の観光市場はこじんまりとしていて、問屋さんは5軒ほど。スレていない素朴な感じが好印象。 各店舗でのイクラの醤油づけを食べ比べ、気に入ったのを買った。

市場のおとうさんの熱演したイクラ丼のイメージが頭から離れず、昼飯は市場に併設された食堂で、鮭イクラ丼。 美味いことは美味かったが、もしかしたらこれはイクラにも何段階かランクがあるという、下の方のやつかもなぁ。市場で味見させてもらったやつのほうがおいしかったと思う。

小樽水族館。 これが非常に楽しかった。

人集め的なアシカやイルカのショーは確かに完成度が高く、エキサイティングだったが、それ以外の展示も飼育員の思い入れが感じられ、とても良かった。

入り口すぐに展示されたサケの死骸。死は否定的な、単なる終わりではなく、自然の中での一形態、だということを伝えようとしている。


まったく芸をせず、逃げ回るだけのペンギンショー。何もしなくても可愛いのだからずるい。


アシカやトドの海獣類は、すごく慣れていて、そして器用だ。

大きい生き物を見るのって、それだけで無性にゾクゾクする。 自然界の中では、そのへんでナヨナヨしてるお姉ちゃんだって相当な大型生物で、実は人間よりも大きい生き物を見ることって余りないからな。自分たちの種族よりも大きな生き物を見るのは相当な非日常体験だ。

芸をするトド(♂)。こいつはボスではないので、もしかしたら異性に相手してもらえてないのかもしれない。頑張れ。吠えろ。

現政権を樹立しているボスは、海の外から水族館に乗り込み、ボスの座についたらしい。 自由なる野生を捨て、水族館の中の女たちを我が物とし、人間の見世物となって、食事を用意させる。 すごい人生だ。

セイウチはすごい迫力だった。カタチはオットセイ型だが、むしろクジラに近い印象。 大自然でこんなのと遭遇したら恐いぞ。総毛立つぞ。 自分が北極海を冒険していると想像してみよう。目が離せなくなる。 温厚な生き物だが、だいたい白熊と同程度の攻撃力持ってるらしい。

様々な海域の生き物が展示されている。 広い海の中の、多様な生き物だ。限られたスペースで展示するのは大変なことだと思う。 それぞれ一つ一つ、ゆっくり見てみたいと思った。

夕方札幌へ。駅前のビジネスホテルの部屋を取って、そのまま自動車屋さんへ向かう。
廃車の手続きは、拍子抜けするほどあっさりと済んだ。まぁ、何はともあれ順調に済んだ。

あんまり車に対しての思い入れはない方だと思うが、改めてみると感慨深いものがあるなぁ。
今回の旅での1000km超は非常によく働いてくれた。
姉のお下がりとしてもらった5年ほど前からも、釣りやら天体観測やら登山やら、何度もお世話になった。チャリンコ運んでカヤック運んで望遠鏡運んで、何泊も泊まった。50泊くらいは車中泊したんじゃないかな。

ごくろうさま。

旅の打ち上げ。
同行者の希望を聞くと、

「カニとジンギスカンとサッポロクラシックがあって、地元ながらの通好みな感じのところ」
と、のたまう。

どうもそれじゃ条件が厳しすぎるようだ。 カニとジンギスカン食べ放題なのは表通りのでっかい観光客向けのお店のようだし、地元向けの飲み屋さんじゃ案外そういうメニューはなかったりする。いや、あるのかもしれないが、こう店が多くちゃどこにあるかわからん。

で、選んだのは裏通りの地元っぽい店で、「遊食館 えんや」というところ。
毎度のごとく、これまた良い店だった。 にこやかな主人が、いろいろ食べ物の話をしながら出してくれる。


ししゃも。生と軽く干したの

あとは何食べたっけなぁ。つぼ鯛塩焼き、さつま揚げ、どれ食べても美味しかった。 いろんな日本酒があってどれも美味しかったが(特に書いてある訳ではないが、聞くとお勧めのを出してくれる)、こういうお酒はでかいお店だとあんまり出てこない気がする。 あと、バイトの姉ちゃんたちが妙に美人だったような気が。


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