築地に買いだし。
居並ぶすし屋はやめておいて、あえてパスタ屋さんに入ってみたが、正解だったと思う。質の良い魚介類に、長ネギなんかをあつらえて、ちょっと和風を感じさせる優しい味だった。
場内の店が閉め始めた時間に到着した。季節的には、アナゴ、イサキなんかが目につく。
マグロ、アナゴ、タコ、わさびを購入。青果市場へ行って、トマトも箱買い。
場外ではかつぶし、シラス、カマスの干物を買った。
誕生日プレゼントとして、せいろも買った。
結婚宴の料理は、和・洋・中から選べると言う。中華を選んだが、周囲の人たちは9割がた洋食だった。 同期入社の新郎は中華だった。
結婚のめでたさもさることながら、長いこと体調不良で苦しんでいた友人と久しぶりに会えたのは、非常に喜ばしいことだ。
部署内の独身者が減った。後輩もだいぶ結婚しているし、残りは元同居人も含めて3、4人程度。
また風当たりが強くなってしまう。
第7回日本酒研究会は、日曜の昼間から開催する。
いつもより準備に使える時間が短いが、料理人が増えて効率は上がった。
今回から、新たなテーマとして「だし」の研究を始める。
科学の発達は、ある現象を単純な要素に分けていく、要素還元主義によって進められてきた。
近年は、要素還元主義では理解できない、複雑なシステムもたくさんある、なんてことも言われている。
おいしい料理なんて、もしかしたらそういう複雑で複合的なものなのかもしれない。
が、伝統的な要素還元主義による分析方法が、あまりにも適用されていないと思う。(一般家庭の話。大企業ではやってると思うが)
何をやりたいかというと、理科の実験のように条件をちょっとずつ変えて、それがおいしいかどうかを比較してみよう、という方法で、一つ一つの要素を理解していこう、というアプローチ。
まずその対象に選んだのが、「だし」。
単なる塩水は料理ではないが、熱湯にカツブシかけて、醤油いれてネギでも散らせば、立派にお吸い物だ。
その料理と非料理の差を比較してみたい。
塩分とうまみ成分あたりが、料理の基本要素なんじゃないかと思う。
仮説:
●だしがないと、より塩分濃度の高い味を求めがち。だしによって、薄味でもおいしく感じるはず。
●味の素でもそれなりにうまいが、風味が単調になりそう。
●だしの味わいも塩分濃度で変化するのでは
方法:
・塩分濃度をコントロールして、吸い物作って味見してみる。
・一番だしに塩を少しずつ入れて調整。
・塩分濃度は濃度計で測定。
結果:
●だし汁
・とった段階では、0.3%程度の塩分濃度。
・0.7%〜0.9%が最もおいしかった。0.7だと関西風の薄味、0.9だと関東風、という感じ。
●アジシオ水溶液
・びっくりするほど味が出る。
・香りはまったくない。
●比較
・カツブシとアジシオは違う味。一口目でわかりやすく味がついているのはアジシオのほう。カツブシは自然な味。
やはり、パラメータを少しずつ変えて比較するというのは、非常に面白い。 より手際よくしながら、今後も続けて行こう。
反省点としては、温度管理をしなかったこと。塩分、うまみ成分だけに目がいって、温度計や保温槽を見落としていた。
味の素は、ありやなしや。
今回の研究で一番驚きが大きかったのは、「味の素おそるべし」ということだと思う。
市販のアジシオを1%に薄めるだけで(1Lにつき小匙2杯でだいたい正確)、出前の寿司についてくるインスタントのお吸い物の、ほぼ正確にあの味になる。あとは油揚げでもベランダのシソでもちぎって乗せれば、なんとなく料理になってしまう。
香りがない、というのもまさに要素還元主義的だ。味の素でうまみだして、何か適当な香料で香りつけてしまえば、万人受けする人工的な料理が、わりと容易にできてしまう気がする。
世の中には、反味の素派が存在する。その中には「化学調味料なんて添加物だらけで健康に悪い」と主張する人もいるが、たぶんこれは偏見だ。
砂糖だか何だか、自然にある食材からうまみ成分だけ精製して抽出して、誰にでも使いやすく保存も効く形にして、安価で大量に流通させてるのだ。
科学の精神にのっとった理想的な成功例であり、お酒や漬物が素晴らしいのと同様、人類の素晴らしい文化だと言える。
一方、馬鹿みたいに味の素を使用するラーメン屋なんかも世の中には多いらしい。それはそれで危険な行為で、料理の多様性を殺す醜い手段だと思う。
結局はバランスと好みの問題だと思うが、僕は味の素よりもカツブシ使いこなした方が格好良いと思うので、わざわざ削り機まで買った、というところかな。安易に使えるものに頼ってしまうと、その後の発展が狭くなりそうだ。複雑で微妙な味が分からなくなる。
「南」は高知のお酒。夏に合う、しっかりした味。苗加屋と勝駒は富山。料理に合わせやすい どれが好きっていうとどれだろうなぁ。どれもタイプが違って、それぞれおいしかった。
今回は、僕はあまり気合入れた料理はしていない。メインは他の人たちがたくさん作ってくれるので、裏方に回っていたつもり。
だいたいすべてがおいしくて、箸休めがなかった、というくらいがわずかな反省点。もうちょっとメリハリつけてもよかったかな。 日本酒研究会は毎回料理のレベルが相当高いと自負しているが、今回は白眉だったんじゃないかと思う。
14時ごろから開始したが、明るいうちに終わらないというのはある程度予想どおり。
最後はT姐にお茶たててもらってお開き。
終電にはけっこう余裕があるが、22時くらいまで続いた。よく食べたなぁ。
入社以来、弁当作ったのは初めてなんじゃないかと思う。
朝、昨日の残りの穴子を煮て、焼き鳥の残りを炒めた。弁当であることを意識して、濃いめの味付け。 それなりにうまかったが、カリフラワーはちょっと痛んでいた。だいぶ前の残りものだからしかたがない。
まだまだ良い食材がたくさん残っている。特に、だしがたくさん残っている。豚の煮汁、昆布のだし、カツオの二番だし、とにかく全部混ぜてスープ作った。
食材残ってるが宿泊で出張。
また野菜ばっか、ほとんど僧侶の献立だ。卵とカツブシがわずかな例外だ。 僕はやっぱり野菜が好きなんだろうか。
ごま豆腐は自作。試してみたら簡単においしくできた。豆乳+にがり+すりごま+熱。
夜、同居人嫁の訪問。3人分で、ほとんどの食材を使い切って、気持ちがいい。
同居人は、先週末は北海道へ登山にいってきたことが発覚。お土産の日本酒がおいしかった。
卵豆腐に挑戦。使いさしの豆乳が少なかったので、卵で増量。
意外なことに、とてもおいしくできた。
二人が見ているテレビが宮崎映画っぽかったので、聞いてみると、果たして「千と千尋の神隠し」だった。見たことがないので食卓で見る。
ポニョと同様、話の筋に脈絡がないのに、どの場面も美しく魅せられてしまって面白かった。凄いなぁ。