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2008/2/9(土)

先週人をたくさん呼んだ反動からか、今週はあまり人に会う気がしない。それでいてなんとなく寂しい気もする。疲れが溜まっているんだろうか。
疲れが溜まっているかどうかはともかく、とりあえず家事は溜まっている。それをやろう、ということで、夕方まではだらだら家事をする。

一人で居たいのと同時に、一人で居たくない。そんなときは。

久しぶりに図書館へいく。
やっぱり良いなぁ。「ナントカの本を探す」っていうような明確な目的があるわけでなく、ただ漠然と本を借りるために来る。小説でもブルーバックスでも地図でも料理本でも、目についた順に引っ張り出し、悪くなければ借りてしまえ。外れなら外れでかまわないが、もしかしたらこの気軽な一冊が新たな世界の扉になるかもしれないのだから。

横山 秀夫「クライマーズ・ハイ」

これは先週古本屋で見つけた。
昨年谷川岳へ行ったときにガイドを頼んだ長岡さん。彼が映画版「クライマーズハイ」の登山指導に携わり、大変に良い作品ができたと自負していたので、興味を持っていた。

題名から予想されるような登山小説ではなく、むしろ会社での生活、そこでの人間関係、家族との人間関係、っていうようなことがテーマのお話。
面白かったが、もうちょっと年齢重ねてから読むと印象違うんだろうな。息子との関係がギクシャクしてどうしたらいいか分からない、なんて悩みはまだ僕にはあまり実感が沸かないな。

普通の会社はこんなに子供っぽい人たちが足引っ張りあってるのだろうかとか、この主人公何かしでかしそうでいながら、けっこう何も起こさないなというあたりが軽い突っ込み。

2008/02/10(日)

雪が降って、止んだ。
連休の中日。こういう日は、婆ちゃんちだとかおさななじみだとか、そういう気のおけない人たちと会って、あまった時間は家事だとかHPのメンテナンスだとか、そういうことやってダラダラ過ごすのも一案。

せっかく雪が降ったのだから、雪山行って一人の夜の純度を高めるのも一案。

僕が選択したのは後者。今年の初登山となる。
テント泊で寒さを我慢するのも嫌だが、ワイワイやってる山小屋もあんまり気が進まない。避難小屋とか、冬季開放の小屋とか、そういうところで手頃なのはないか。

そんなことを考えていたときに、先週まっちゃんからもらった多摩川地図を開いた。
多摩側の源流、笠取山が目に入る。

あ、いいんじゃないか。標高も手頃だし、冬季開放小屋がある。
僕は幼少より荒川流域の人間だったが、このところは会社も家も多摩川のお世話になっている。源流の神様には挨拶行かねばなるまい。

予想していたよりだいぶ大変だった。久しぶりに登山記詳しく書こうかと思ってる。
新雪フカフカの状態で、なかなか先へ進めない。日暮れが近づき、途中で緊急野営をする。こんなことならテント持ってくりゃ良かったが、まぁ寝袋もシェラフカバーもあるし、風もないし、厚着すれば眠れるだろ。実はビバークするのって人生初だが、似たようなことは何度もやっているし、判断は間違えなかったな、と思う。

コンロの着火装置が壊れる。こちらに関してはたいへんにあせった。

2008/02/11(月・祝)

今日もやっぱり、だいぶ大変だった。ラッセルの一日。何の修行しに行ったんだか。
笠取山の頂上までは行かず。雁峠の稜線まで出たところで引き返した。やっぱり詳細は後日。

温泉入って帰宅。

2008/02/12(火)

目を覚ました瞬間は、ほとんど認識できていない。
ああ今は川っぺりの自室で寝ていたのか。そうか今日は会社へ行く日か。昨日山登ったから、疲れてよく眠ったのだな。 眠っている間、夢を見ていた気もする。しかし何が夢で何が現実に起こったことなのか、はっきりと区別ができない。どんな夢だったかもはっきり思い出せないにしても。

ああそういえば自転車会社に置きっぱなしだ。電車で行くなら、ちょっと早くでないと。今日は生ゴミの日だ。マンションの管理費引き落とされるから、昼休みに口座に入金しなきゃ。
現実世界のことは徐々に思い出してくるから、時間とともに忘れていくやつは夢だ。

会社では今こういう状況だった。今日は部品メーカーと打ちあわせして、明日からまた出張だ。
今週末は、文字どおり頭の中がリフレッシュされた、という見方もできる。

会社につくと、僕の席に違う人が座っている。
知らないうちに左遷された、というわけではなく、そういえば僕が出張している間に席がえがあった。
そして僕の新しい席には、接続されていないPCや書類のたぐいが山積になっている。

そんなのを片付けたりなんやかんやしてるうちに慌ただしく一日が終わる。
目を覚ました瞬間はほとんど何もわからなかったのに、ちゃんと思い出して会社での生活を送れるものだから不思議だ。まさに朝に生まれて夕に死んでいく感じだ。
いや、多分忘れていってるものもたくさんあるのだろうけど。

2008/02/13(水)

今週は水曜から金曜までが出張。朝から新幹線。
今日は出張先の拠点も残業禁止、新幹線のって川崎戻って飲み会に参加。明日の朝も新幹線だ。

仕事以外の時間をどうするか、熱中できる趣味が欲しい、というような話題が出た。
僕は多趣味だ、と周囲から思われているみたいだ。まぁ確かに多趣味なのかもしれない。自分が好きなものは昔からわりあいはっきりしているし、自分がうちこんでいるもの意外に気をとらわれることはあまりなく、だいたい長続きする。
が、あなたの趣味は何?って聞かれると、それはそれで困る。

高校時代は部活でサッカーをしていた。あれは趣味っていうより生活そのものだったが、あれに比べれば今やってる写真撮影、登山や釣り、料理、その他なんかは趣味って言える範疇かもしれない。
しかしまず、どの趣味がどこまでか。分けるのも難しい。自転車旅行が趣味って言っても、僕の場合はその中に釣り、料理、登山、星の写真撮影、HP作り、野宿、シュノーケリング、飲酒、などが含まれる。他の人が「自転車旅行が趣味」って行った場合、その中身はまた違ってるものになるかもしれない。

僕はたぶん、分けたくないのだ。そもそも、仕事とアソビっていうわけ方をしたくない。給料もらえるかもらえないかっていう違いはあるが、どちらの時間も安田悠の人生の一部、アプローチはちがえど、大きなところでは同じ目的を目指したいと思っている。どんな目的か、はっきりとは分からぬが、会社で図面ひいてるときも、家でキャベツ切ってるときも、雪山で震えているときも、何か共通の目的があるのではないかと思うので、どれが趣味、どれが仕事って区別せずに、同じ好奇心でもって生きていきたい。

こんなこと言ってると上司に怒られてしまいそうだ。「これは趣味じゃねえ。仕事だ。きっちり成果出せ。」とか言われて。
いやもちろん仕事なら期日とか成果とか守らねばいけないものはあるし、趣味ならば自分の好きなように好きなペースでできるが、趣味としている以上時間や資金の面で諦めなきゃいけないところがあるという違いはある。
だがまぁそういうことではなく、自分の人生の時間を仕事、遊びって分けるよりも、すべて一生懸命、面白がっていきたい、というようなニュアンス。

宮本輝「にぎやかな天地」

「もやしもん」の宮本輝版、っていう感じのお話。
僕もサラリーマンぬかづけ愛好者の一人として刺激を受けた。

この小説を含む、宮本輝のお話の印象。

・女性が美人。
小説なので、とにかく「美人だ」と書いておけばいいのだろうが。あとは登場人物たちが彼女に、美人に対する態度を取らせれば、こちらとしては一生懸命その姿を想像する、ということになる。
宮本輝の登場人物たちは、女性に限らず、品が良くて業が深いかんじなので美人も想像しやすいが、「器量はいま一つ」などと描写される人物はほとんど出てこないよな。

・食べ物の描写が細かい。
食べ物っていうより食べ物屋の描写かな。ちょっとした話をするにしても、小腹を満たすにしても、いちいち喫茶店の雰囲気だとか、蕎麦屋の小物なんかが描写されている。だいたいどこも店主と客の距離が近いような店で、ファミレスとかファーストフードは出てこない。京阪の小奇麗な、高級そうな焼き鳥屋さんだとか、港町の小さな飲み屋だとか。行ってみたいよなぁ、という感じの。

・絵画的な場面
絵としてイメージ化しやすい、美しい場面が何回か出てくる。 彼の小説はだいたいどれも運命とか、生と死の違いとか、そういうものがテーマになってるが、そういうテーマを絵画的な場面で表現していると、格好いいなぁ、と思う。

2008/02/15(金)

ここ数日、昨年まで居た部署のところで大トラブルが発生しているらしい。
夕方の会議中、とつぜんその対策のための部品の運搬を頼まれたので、本社へ戻る。

部品を実験室へ持っていく。もう「緊急対策室」みたいな雰囲気になっている。
かなりいろんな部門を巻き込んだ問題になっちゃってるみたいなのでこんな表現は不適切かもしれないが、何だか皆楽しそうだぞ。実際にはトラブルで大変なんだろうけど、活気があってお祭りみたいな雰囲気だ。味わってみたいような、ご免こうむりたいような。

とりあえず小手先で手伝えることを1時間ほど、無責任な感じに手伝ってきた。

松本 圭介「おぼうさん、はじめました。」

社内の古本市で買ったやつ。東大卒業後、飛び込みで僧侶になったという若者のブログをもとにした本。
いや面白かったなぁ。坊主って言う特殊な世界を紹介しているだけでなく、毎日のブログなのに文章がしっかりしている。 意気込みとか、迷いとか、日々考えていること、どのように生きていきたいか、彼の熱意が伝わってくる。実際に会って、酒飲んでみたいなぁ。

広告代理店にも関心があったというだけあって、なんだかすごく時代を捉えたイベントをいくつか成功させているようだ。 お寺に無線LAN引いてカフェにしたり(この本を会社の後輩に貸したら、カフェを見に行っていた。気に入ったようだ。)、本願寺主催のライブやったり。

どうも仏教というのは宗教というより哲学にちかいみたいだ。いや前からそんな気はしてたけど、この本を読んでもそう思った。新たに知ったのは、同じ仏教なら宗派によらず、思ったよりも共通した教義があるみたいだ。まぁイスラム教とキリスト教、どちらの聖書にも同じ話は出てくるというくらいだから、禅宗や密教や浄土真宗にも共通点あっても不思議はないが、もっと中悪いのかと思ってた。

彼の「仏教を見直そう」という主張は期待できる。
戦後、我々は「民主主義」「お金が大事だ」「アメリカ偉い」みたいな価値観で50年以上やってきたが、そろそろそういう時代も終わるんじゃないか。だんだんほころびが出てきて、モラルが低下しているっていうのは昨今のニュース見れば誰もが感じることだろう。
で、新たな価値観が必要になってくるだろうが、そういうときに宗教や哲学は役立つはずだ。二千年以上の歴史を持つ仏教を、現代の感覚できちんと租借してくれる彼のような存在は、心強い。

彼岸寺|超宗派仏教徒によるインターネット寺院

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