甲斐駒は格好良い。不意に出てくると、おォっすげー、カッコイーと声を上げてしまう。
重量感のあるピーク。怒らせた肩には、摩利支天と暴走族が自分の愛車につけるような名前がついている。花崗岩が白く輝いている。こんなにも白かったっけ。
「南アルプス天然水」の広告を作るときに、夏だったので雪嶺が無く、甲斐駒を撮ってごまかしたという話をきいたことがあるが、その判断も無理ないなと思ってしまう。
山登りはレジャーではあるが、今回の場合は目的と結果がはっきりしているので、「勝負」って感じもするし、仕事って感じもする。
家を出発してから、すべて計画どおりに行動。早川尾根、この好天の秋の連休でもやっぱり人が少ないのも目論見どおり。本日の幕営予定地、栗沢山にもわりとあっさり登頂。
日暮れを待つ。狭い山頂なので、人が来なくなってからでないとテント張れないし。
天気には、やっぱり一喜一憂する。
青空を見るとやる気が沸いてくる。ガスってくると、まぁ気長に待つかとも思うし、絶望的に悲しく悔しくも感じる。秋の空に対する僕の細かい心の揺れ動きは、記述したいが読者には退屈だろうから省略。
結果だけ書くと、日没後に1、2時間ほど濃い霧に包まれたが、その後は快晴。かなり満足できる条件だった。
今回は、写真撮影に大きく重点を置いた山行。一日の行動時間も、各2、3時間ずつという軽いもの。天気の良い紅葉の季節といえど、有名な山には行かない。その代わり、山頂にテントはって晴れたらほとんど徹夜するという計画。
朝は寒いし、やっぱり眠い。筋肉の疲労は少なくても、脳と神経が疲労している。 デジカメは電池が無くなった。フィルムはまだ予備があるが、想定した本数を、切りのいいところで使いきった。 青い空にはほんの少し後ろ髪をひかれるが、満足しているし疲労している。それに、もともと2泊する準備はしてこなかった。さっさと帰ることにする。
甲府の駅ビルにて。
早川尾根はエアポケットのように人が少ないが、甲斐駒への道と合流すると、登山者の列が途切れなくなる。寝不足の脳味噌には、行列のおばさん達と挨拶するのも面倒に感じる。
帰り道は、晴天の連休でもまったく混雑に巻き込まれなかった。早めに帰る効果が期待していなかったところでも現れた。
元同居人とその彼女の新居に遊びに行く。
近所のマルエツの品ぞろえと、ヘルシオのすごさを力説された。
芋焼酎飲み乍ら、だらだらと何話したっけなぁ。いつもどおりのダラついたかんじだから大して覚えていないが、ガスコンロは是か非か、などと激論を交わした気もする。
ネットって便利だ、ということを実感。すごく狭い領域の、どこかのマニアが開発したコツなんかが、言葉打ち込むだけで出てくるんだから。
昔だったらそんなの本にも乗らないし、ごく一部の同好会みたいなところのみに共有されるくらいだっただろう。