ルームシェア生活を始めて約1年が経ち、同居人Aが引っ越すことになった。雨も降ったことだし、その手伝いをする。
車で下流へ向かい、割とあっさり終わったのでそのまま会社へ。休日出勤。
同居人Aとその彼女の新居も、それなりに広くてうちより新しい。まだ家具の置かれていない空間は、存在としては白紙のキャンバスのようだ。
やっぱり新生活って色々夢が広がるよな。
1年という期間では、住居関係において思ったよりも色々なことが起こったな。同居者の数が、僕含めて2人→3人→4人→3人→2人と変わり、さらに家自体が競売にかかって購入の話までもちあがってくるとは。
今後はどうなるんだろう。
今日の料理も自画自賛のできばえ。
ハンバーグはフードプロセッサーでたまねぎとえりんぎを細かく刻み、豆腐と挽肉は半々くらい。ゆずこしょうと味噌で味付け。 片栗粉とパンのきれはしがつなぎ。柔らかくて焼きにくかったが、ほわっとした口当たりで驚きの味だった。
戻りかつおも美味しい季節。サンマだけが秋ではないぞ。
トロトロに熟したアボガドににんにくすりおろし、豆腐を混ぜる。酢とラー油、醤油をベースの味とする。
その他、適当に薬味があれば入れちまえ。
単独でもおいしいソースだが、かつおとも仲良しだ。
同居人として食べる最後の夕食だから、いろいろ話し合っておかなければならない。
3人で話し合った結果、以下の3点の結論を得た。
・周りの女性はビキニにならない。海水浴には良く行くが、だいたい皆ラッシュガードを着ている。ビキニの色が何色であっても、それ以前の問題だ。
・前世、来世というが、それは個体単位で決まる。(そうすることに決めた。ただし植物はクローン作ったりしてワケ分からないから、別体系とする)この世のほとんど生き物は、単細胞生物とか細菌とかの微生物だろう。となると、ほとんどの人間の前世はミジンコのたぐいで、来世も細菌とかすごく運が良くてもクワガタとか、そんなかんじだ。
・AZMちゃんは百獣の王。たぶん一番強い。来世で運良くクワガタやゴキブリになっても、きっとAZMちゃんにやっつけられてしまうぞ。
朝、引っ越しの手伝いの続きはやはりあっさりと終わり、夕方からは自室の模様がえ。
思ったよりもはかどったが完全には終わらず。終わらなかった分は、多分しばらくそのままだろう。
模様がえに手間がかかり、夕飯作っていられない。久しぶりに外食しようかと思ったが、同居人Bがカレー作ってくれた。
日本のアニメ・マンガ文化は今や世界に広がっている。ことにアジアの若者なんか、日本のオタク文化に夢中で、日本語を勉強している。また、日本メーカーの科学技術を学ぼうと、たくさんの留学生も来ている。
彼らも当然アニメのとりこだ。
で、そんな彼らも発表の場が欲しいらしく、大好きなアニメの歌なんかを流暢な日本語で発表する会を開催したりする。
台湾あたりから来た女の子は屈託なくオタク文化への憧れを表明するような発表会。
チベットだかミャンマーから来た誠実そうな留学生たちからは、明らかに商標権を侵害しているが、努力して作ったんだろうなぁというようなデジタルカメラの試作品を見せてもらう。エレクトロニクスを一生懸命勉強しましたとか言いながら、彼らの唄う演歌調のブルースを、やや退屈を感じながら聴く。せっかく頑張っているのだから、きいてあげなきゃ悪いかなとか感じつつ。
いやそんなことをしている場合ではないだろ!
なぜならこれは夢なのだから。
寝坊した!!
時計の針は8時をちょっと回っている。会社までは約14km、始業は8時半だが8時25分までに門を通らねばならない。自分の夢の中の留学生たちに同情している暇があれば、生ゴミ出して会社行けっつーの。
僕の時計はほぼすべて、数分進んでいる。時報に電話して正確な時間を聞く。
「ピ、ピ、ピ、ポーン ゴゼン シチジ ゴジュウハップンニジュウビョウをお知らせ…」
チャリンコ死ぬ気で漕いで、平均30km/h出せば1kmにつき2分、会社まで30分は切れるはずだ。
それだと数分足りない。が、人馬ともにコンディションが良ければ、40km/hで定常走行することは可能だ。平均速度40km/hなら1km1.5分、会社まで21分。そんなペースで10km漕いだことはないが、死ぬ気で漕げば、可能性はゼロではない。
いやどうしよう。人間ワザで出せるギリギリのところが出せれば、何とか間に合うかもしれない。が、8時25分に間に合う可能性はけっこう低い。このところ自転車も整備不足だし、人間のほうだってベストコンディションとも言えない。今から電話して午前休をとれば、とりあえず波風は立たない。
ゆっくりご飯食べて、警察に国際免許とりに行って、それなりに有意義な時間の使い方はできそうだ。
いや、とにかく迷っている暇はない。
可能性がゼロでないならば、その可能性を捨てるのは苦痛だ。半日休みをとっても、何だか腹立たしい。今日から一週間、上司が海外出張で不在だ。一日目から半休とって、気が抜けたと思われるのはしゃくだ。(寝坊しても気が抜けたって思われるだろうが)
とにかく、可能性がゼロでなければそれに向かって努力したい。
いやータチ悪いね。ギリギリの可能性って。ギリギリ何とかなるなら良いが、ギリギリでだめそう、でもひょっとしたら何とかなるかも、っていう可能性。
あきらめたら、その瞬間だめになる、っていうのは分かっている。迷ってもその時間でだめになる。
とりあえず半分くらいまで全力で漕いで、そこでダメそうだったら会社に電話して半日休暇とろう。 そういう判断で出発し、全力でこぐ。タイヤの空気がちゃんと入っていないようで、スピードが乗らない。ここのところあまりスピード出して漕がなかったものだから、体のほうもすぐに悲鳴をあげる。
半分くらいまで来て時計を見る。当然、余裕のある時間ではない。でも全力で漕いできたので、まだ絶望的な時間ではない。可能性はあるが、やや無理目な時間が続いている。ああやっぱりタチが悪い。
そんなわけで遅刻した。いや、8時半には間に合ったので遅刻ではなく、減給の対象にはならない。 25分には間に合わなかったので、あとで上司に報告が行き、小言を言われ、それでおしまい。 悔しいっちゃ悔しいが、落ち着きどころだったとも言える。家で妙な罪悪感を感じたまま優雅な半休をとるより、気分的には良い。
でも次は8時まで寝坊したらあきらめよう。
焼酎を飲むと、頭の働きが鈍る。
ノー残業デイでせっかく時間があるから、食後にいろいろ作業しようと思っても効率が鈍る。それどころか酒が回ることで友人に対して、よせばいいのにっていうような余計なメールでも書いてしまいかねない。
脳内矢吹がシャドーボクシング始めたがっているような状況なら、飲まないほうが良いに決まってる。
焼酎を飲むと、ごはんがおいしくなる。
新鮮な野菜切って、味噌をチョビチョビつけながら酒をついばむ。脂の乗った秋の魚をつっつきながら、建設性のまったく無いご高説をのたまう。
ワケわかんなくなった頭で、お気に入りのマンガを引っ張り出してニヤニヤ読みながら眠ってしまえば至福だ。
まぁ、そんな狭間に人生を置いてみたりする。
国内最大の家電展示会、シーテックを見てきた。
主に、自分の仕事に直結するような地味な分野の見学に時間と体力を割いたが、それ以外のハデなブースものぞいてきた。
毎年行ってると確かに驚くような展示は無いけど、やっぱりちょっとずつ完成度は上がっているよなぁ。
なんて言うか、10年前には実現不可能だったもの、概念が無かったものは多分ほとんどないと思う。が、使いやすさや安定性なんかはずいぶん進歩しただろう。世の中のすべての生活を大きく変えるものは無いとしても、専門化された細かい分野の要求をずいぶん答えられるようになってきているだろうし、高度な機能が使いやすくなりつつある。
我々のデジタル文明も成熟期を迎えていくのだろう。
技術の進歩なんて、ちょっとずつ進んでいく局面のほうが多いのかもしれない。いろんな人が様々な分野でちょっとずつ進めていく。僕だってたぶんそういうことをやっている。
ソニーの有機ELテレビが話題になっていた。まだ大画面のものは作っていないため、迫力には欠ける。
が、確かにきれいだ。自発光型ということだが、夕日やネオンサインなどが輝いて見える。これで星の写真展示したらきれいだろうな。
僕はあまり画面の美しさなんか構わないが、それでもきれいに見えたのだから実力あるのだろう。
NHKで立体テレビの試験放送をやっていた。眼鏡をかけるタイプで、新しい技術ではない。 僕はハイビジョンよりも3次元画像のほうが、迫力あってすごいと思うのだが。
休憩中でも家帰ってからでも、気象庁のページを凝視している。天気予報見て、気圧配置図見て、水蒸気の衛生画像見て、晴れないかなーわかんねぇなーとかつぶやきながら。
今週末は台風がらみで気象庁の人たちも予測しにくかったようだ。二転三転ののち、最新の予報は晴れ。とりあえずは山登り決行だ。
星は見えるか。まだ分からない。一晩雲に邪魔されずに撮影できるっていうのは、よほど幸運な条件だ。 衛生画像を見ていると、ほんの少し先の変化ならかなり確実に予測できる。が、2日先となるとずいぶんあやしい。コーヒーにクリーム混ぜるように、雲は沸き、流れ、渦を巻き、消えていく。
このあたりの雲の薄い部分が、もっと薄くなって明日の夜に日本の上空に来る。
なんとか自分の都合の良いように予想をこじつける。明日は晴れると良いなぁ。