姉が、友達とその子供たちを連れて遊びに来るという。
何だか、この「今日のごはん」をよく見てくれているそうで、料理を作るときのモチベーション向上に利用しているらしい。
僕のくだらない試みが、どこかの誰かに何か刺激を与えられているとしたら、それは随分と嬉しいことだ。
そんな状況なので、少し頑張って何かを作らなきゃ、ということになる。
夏、暑い、子供もいる、人数もある程度集まる、クーラーも無い部屋、外で食べるか、という条件から出てくる答えは、必然的に「流しソーメン」しかあり得ない。
流し素麺、初めての試みだが道具はどうするか。
必要な設備は、筒状のものと水。
筒状のものは、とりあえず塩ビの雨どいか何かが安くて扱いやすいだろう。がここはやはり情緒的に、竹が欲しいところだ。 しかし残念ながら、竹やぶは持っていないし地主の知り合いも居ない。でも資本主義社会の便利なところで、手ごろな竹筒もお店に売っている。ホームセンターで1本1000円くらい、2本購入。節をとるのは面倒だったが、どうにかなった。
河原でやるので、水道が無い。電気も無い。多摩川の中流、水質改善されつつあるとはいえ、さすがに川の水は使いたくない。
ホームセンターで手ごろなものを探したら、これもイメージどおりのものが見つかった。ポリタンクと組み合わせて、手動ポンプで水圧を加えてシャワーにするもの。
あとは橋の欄干、カメラ三脚、ダンボールなんかで適当にソーメン道をこうせいすればOKだ。
さぁ、うまく行くのか。
料理を楽しみにしているといわれて、そうめんだけ出して終わりというわけにも行かない。そして手元には、卸したての出刃包丁がある。
となれば、夏だイサキだアライだ!というのが唯一絶対の答えである。イサキくらいなら、頑張れば100円ショップで買った文化包丁でもおろせるけど。
3枚におろしたイサキを、薄くそぐ。皮をとるのが面倒だったから、皮に熱湯かけたのちに冷水で冷やすという手法で、食べやすくしておいた。 薄くきった身を、氷水、醤油、お酢、シソのみじん切りに胡麻油を加えた冷水の中に浮かべ、キンキンに冷やす。 身を硬くした食感を楽しむ一皿だ。
流しソーメン楽しいぞ!
子供に受けるかなと思ったが、むしろ大人にも受けた。というか、僕自身が楽しかった。
けっこうどんどん流れてくるので、食べるのに忙しい。流しソーメン自体はイベント的要素が強く、そんなにそうめんの量は多くくてもいいみたいだ。
子供引き連れて移動して、世話して可愛がってたまに力抜いて、母親は偉いなぁ、と思う。
僕の同居人たちもよく子供の相手して、偉いなぁと思った。
風のよく通る夕方。姉は帰ったが、別の友人が遊びに来てだらだら飲む。 夏休みの終わり方としては最高だ。
実際にやるときの負担よりも、やんなきゃいけないって考えることの負担の方が大きい。
宿題とか勉強とか、そういうものの話だ。