日が昇れば海の上。目を覚ませば島の上。
僕にとっては4回目の式根島。毎回12月に来ていたが、秋に来るのは初めて。
宿は「潮風」さん。海も売店も温泉も近く、便利だ。
無風、快晴。天気予報は外れたようで、波音も陽光も柔らかだ。相変わらずの晴れ男ぶり。
パンや野菜を軽くあぶって挟んで食う。金網が小さいので、ちょっとずつ焼いてゆっくりと食う。
鎌倉ハムとズッキーニを買っておいたのは素晴らしい選択だった。
青空が気持ち良い。散歩するのに最良の日だ。
カメラとメッサーシュミット(ゴム動力のプロペラ飛行機、157円)を持って、島一周へ。
たらたらと、ゆっくり歩いていく。特に何をするわけではないが、美しい景色は随所にある。アイスを食べながら歩くのも大変似合う。
予想よりもだいぶ時間がかかったのは、ゆっくりおしゃべりをしてばしゃばしゃとシャッター押しまくっていたからだと思う。神引からの西周り、唐人津城やごみ捨て場へのコースはカットして、地鉈温泉へ直行。
地なた温泉は、結構広い。
ガイドブックで「潮によって入れない時間がある」という記述を見たことがあるが、実際には台風でも来なけりゃいつでも入れるようだ。熱い源泉が海水と混じって適温になる湯舟が、どこかしらにある。
多少は土嚢で調節するが、実際には適温になる場所はそれほど広くない。従って地元のおじさんおばさんと膝を突きあわせながら入浴することになる。彼らは結構フレンドリーに招いてくれ、その話を聞いていても結構面白い。昨年軽トラに乗っけてくれた老漁師も、元気に入浴に来ていた。
温泉から岩場を越えて沖に出れば、大海原が水風呂代わりになる。体を十分暖めておけば、そのまま泳いでいける。今年は夏よりも今のほうが水温が高いということで、海に浮かんでいるのも気持ちが良い。寒くなったらまた温泉に入れば良いのだし。
多分式根島ではどの宿に泊まっても魚はおいしいと思う。この潮風さんも、御主人が一本釣りの漁師ということで、魚は自慢。
今日のキンメはトロっトロに柔らかい。寝かせて二日目ということらしい。刺し身を出されると会話が止まって、皆食べることに熱中してしまった。
さて、秋の夜長には何をするか。 酒と釣り竿を持って、防波堤で糸を垂らすというのが一つの答えである。
久しぶりのカゴ釣りなので、竿が折れていたり、ケミホタルが劣化していたり、手際が悪い。暗い海に浮かぶ浮きの光を眺めてアタリを待つのは風流なものだが、ケミホタルが外れてしまった。13日の明るい月がわずかに照らす中に、微妙に確認できるが非常に疲れる。
友人が足もとで釣った、回遊魚の稚魚のような小魚を捌いたりしているうちに、明確なアタリ。
僕のやり方は正しかった。海がそう答えてくれた瞬間だ。
ずいぶんな力で引っ張られる。抜き上げたのはサバ。良いサイズだ。早速さばいて焼く。うまかった。
長い一日だった。やりたいことは、ほぼ全部できた。
昨日あれだけ色々やって、今日もまた丸一日遊べる。3連休をフルに使うと、すごく長い。
朝食後、釣り場へ。昨日残った餌を魚に交換するつもりだったが、今日の海はケチくさい。あたりすらない丸坊主。 そのかわり、今日は雨雲が気前いい。にわかに曇り出したかと思うと、呆れるような豪雨で釣り終了。
たまたま見回りに来ていた民宿のおじさんの車にのっけてもらって、さぁどうしようかと民宿でしばらく避難していると、さっきの雨が嘘のように平和に晴れてきた。 だからといって唐人津城方面へ歩いていくのは、にわか雨が恐い。今日のテーマは、「夕ご飯をおいしく食べる」ということに決まる。
旅行に来たからといって、特にあれをしようとイベントを決める必要はないのではないかと思う。
有名な観光地を回ったり、アクティビティに金と時間をかけたりせずとも、そこいらへんの砂浜で遊んでいるときのほうが実際に楽しかったりする。子供のときに行った旅行の中で、印象深いのは何の変哲も無いところで遊んだ記憶だったりするが、それは大人になってもそれほど違いはないようだ。
岩場登ったり、飛燕(主翼のプリントが違うだけ)飛ばしたり、木に引っ掛かった飛燕を救出したり。
誰かがやり始めると、皆つられて熱中する。「お腹を空かせる」という当初の目的を忘れて、手段そのものに没頭していく。
いくらくだらない遊びに熱中したって、オカアサンに叱られない。この点では大人になって良かったなと思う。
おいしい魚。おいしいお酒。幸福な時間の共有。
目論見どおり。
今日のメジナはプリっとした食感が魅力。
夜の部は、土産屋でトビウオの開き焼いてもらった。焼酎呑みながら写真上映会。
ずいぶん酒呑んだ気がする。
美しい朝。今日もまた美しい一日が始まる。
今日は移動日。たいしたイベントはないが、今日は海も御機嫌な様だ。船旅もまた楽しい。
午前中は、無目的に散歩。カメラ片手に、目に付いたものを撮りまくる。僕と僕の会社の友人たちは、毎度のことながら会社のカメラを借りてきている。最初は一眼レフのいかめしさにビビっていた他の同行者も、カメラを向けても動じなくなってきた。
何しろ我々ときたら、ブレーキの壊れた機械みたいにシャッターを押し続けるのだから、その所作も取るに足らない日常の風景になっていく。そして、けっこう撮ることにも興味を持ったみたいだ。
良い傾向だと思う。カメラなんて結局はオモチャだ。人が死ぬわけでも、生活がかかっているわけでもない。いじくって面白いかどうか、というものだと思っている。
この前夜発、式根島旅行の行程は、大変気に入っている。最初から最後まで、美しさにおいて隙が無い。東京ベイエリアの夜景に始まり、洋上の朝日、緑と青の島の景色、様々なバリエーションの海、島々に森に崖に温泉、魚・・・と続いて、横須賀沖の夕日、そして最後は横浜の夜景で締める。
その合間で、焼酎呑んで魚食って温泉入っていれば良い。
しかも島に上陸してしまえば、混雑とは無縁だ。。
誰が来たって気に入ってくれるのではないかと思う。
食べ放題と聞いて、「少しでも食べなきゃ損だ、より高価なものを食べなきゃ損だ」と考えるのは、愚か者、あるいはお子様の思考方である。(食べた金額/かかったお金)で評価するのはあさはかであって、(自分の満足感/かかったお金)の値を高くすべきだ。すなわち、おいしいものをおいしいと感じ分量に対して、自分の納得できる金額を払うのが正しい。
そういう持論を持っていたが、食べすぎて苦しくなった。まだまだ修行が足りないなぁ。
いかの塩辛はそれなりのできばえ。僕は市販品の塩辛は、塩っ辛くて好きではないが、これは割といける。もう少し塩分控え目でも良いかも。
何か料理にも使ってみるか。
今年は随分と暖かい。が、ようやくにして手袋をして自転車を漕ぐような季節になってきた。
月の明るい帰り道。街灯の作る影は後ろから追い抜いてきてすぐに消えて行くが、月の作る影はずっと隣に張りついている。そんなことを考えてまっすぐに自転車を漕いで帰る。
いかの塩辛エキスと牛乳でホワイトソース作り、焼いた鶏肉と絡めてみた。ソース自体の出来は悪くないが、鶏との相性は今イチ。というか、この鶏肉おいしくない。このソースでは、グラタンとかパスタとか作ると良いかもしれない。