海行きてぇな、と思わせるような暑い季節がやってきた。 が、今日の目的地は海ではなく山の麓。大学の研究室のゼミ合宿が軽井沢でやるというので、OBとして参加してきた。
車で行くつもりだったが、道は非道く渋滞する予報。そんなの精神衛生的にもチームマイナス6%的にも良くないので、電車にチャリンコのっけて移動することにする。
大宮で乗り換えた新幹線は大変混雑していて不快だったが、快晴の高原の中を自転車で駆けていくのは気持ちよかった。あやふやな記憶を頼りに行ったが、何の問題も無くセミナーハウスへ到着。学生の卒業論文の中間発表会が行われる。
本当に積み重なっていくものだな、というのが学生たちの発表を聴いたときに思った一番の感想。
数年前に僕たちのやった研究が、ちょっとずつ面影を残しながらずいぶんと進んでいる。当時は自分でも半信半疑で、「この技術にはこんな可能性があるのです」と吹いていたハッタリは、それほど嘘でもなかったみたいだ。毎日の積み重ねなんて微々たる物なので、普段は自分の成果なんて感じることはできない。でもやっぱり、ちょっとずつでも進むものなのだなぁ。
OBが全然参加していなかったのはつまらないが、先生夫妻、その他の知り合いとゆっくり酒を飲んだ。
学生たちはもう一泊するらしいが、僕は明日は仕事だ。
午前中は残りの発表を聴き、先生に蕎麦をご馳走してもらったあと、サイクリングをしながらゆっくり帰宅。
中仙道の旧道を走って、旧軽井沢を走って、旧道の碓氷峠まで行って、廃線となったナントカ線の脇の国道を乗用車と同じ速度で下っていった。
カルイサワかと思っていたが、カルイザワと濁らないと変換してくれない。中心部にまともにきたのは初めてだと思うが、あぁこういうところなんだと納得。街のつくりはちょっとヨーロッパに似てるかもしれない。
宮本輝の軽井沢を舞台にした小説を何となく思い出した。宮本輝ってエロい場面書くよな。
旧碓氷峠は、苦労した割には、まぁ悪くないなという程度。今日はガスっちゃって展望無かった。昨日は良かったのだろうが。 そこから下る途中、何の変哲も無い住みにくそうな林道脇の斜面に、無理やり作ったお洒落な別荘がたくさんあってちょっとシュールだった。
横川から18きっぷ買って横浜まで。大して安くならないが、残り2往復を何に使うか、想像にふけることが出来る。
御蔵島を舞台にした、社会派の小説。伊豆諸島愛好家である僕には必読の小説だった。
豊かな地域社会と、島の抱える問題がよく書かれている。それがいちいちいったことのある場所だから、ありありとその場面が想像できる。
今まで、何気なく通り過ぎたところにはこんな経緯があったのか。新島のロケットとか、御蔵の森の所有者とか。
ガーデン荘のおばちゃんを思い出しながら読んだ。 何だか、何の変哲も無いような場面でも涙ぐんでしまった。
必読の書だが、絶版。こういうものが神田を歩き回らなくても、クリック一つで簡単に買える。便利な世の中だ。文化だ。
床屋行った。
かつおに薬味たくさんかけて頬張るのは夏らしく、うまい。
素朴でシンプルなカレーも夏らしく、うまい。
それは確かなことだ。
自転車は、やっぱり早い。たぶん、普通の人が想像しているよりだいぶ早い。
会社から祖母の家までは約25km、電車ならば乗り替え1回、通過する駅も数えて25駅くらいだろうか。さすがに電車のほうが早いだろと思っていたが、そうでもなかった。自転車のほうが、やや早く着く。
最大速度は燃料で動く移動手段に劣るが、止まっている時間が少ないのが良いのだろう。慌てなくたって、休まなければ早いのだ。北海道の原野ならばともかく、人間であふれかえった街なかでは、自転車は最速の移動手段だ。
でも自転車のほうが暑いし疲れるじゃん、などと反論を受けることは多い。だが電車だって疲れる。渋谷の人ごみの中を歩いて乗り替えしなきゃいけないのは大変疲れるし、電車についてくるのは冷房だけではない。
ま、どっちが良いかは慣れの問題なのだろうけど、自転車に慣れてしまったほうが便利だし楽しいのではないかと思う。