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2006/3/2(木・有給休暇)

今日から知床旅行。羽田まで自転車で行ってみようと思う。会社よりもちょっと遠いだけなのだし。
だがちょっと調べると、想像できたことだが自転車で行くのには向いていないらしい。トンネル通らなければならないし、自転車おきばないし。羽田の一つ手前の、天空橋の駅に自転車を止めておくのがまで行くのが合理的なようなので、そうした。

12時過ぎ、雪の女満別空港へ着陸。手配しておいたレンタカーは三菱製、4日間で2万円弱。4人で割るとだいぶ安いぞ。

今回の旅行計画での一番の危惧は、悪天時のドライブであった。大雪に降られたら移動出来なくなるのではなかろうか。 天気予報を見ていても「時折吹雪く」などと出ており、最悪電車移動や目的地変更もあり得るかと思ったが、実際にはそれほどの雪ではない。除雪された後にうっすらと積もっている程度で、それも圧雪されているので、移動に大きな問題はなさそうだ。

空腹である。第一希望は北海の幸だが、それよりも早く何かを食べたい。ラーメンでもいい。
ということで入った網走市内の「ラーメン専門店 いしざわ」。店主におすすめを聞くと、ラーメンではなくウニ丼。意外な形で願いがかなった。
味はきっとあなたが予想している通りなので、詳しく記述しない。昨日今日水上げされたものらしい。

店主はおいしいコーヒーと長話で、おもてなしをしてくれる。旅先で一度くらい出会いたいような、飲み屋風の店。

網走監獄跡へ立ち寄った。必見というほどではないが、有名スポットだしな。
意外と広く、展示品が散在し、北海道の近代の開拓史や囚人の生活がわかる。全部真面目に見ると時間がかかる。雪景色の中の建物は北欧の小さな村の料理店とでも見えるようで、暗い感じはしない。

元警察官らしき解説員の話が印象的だった。現在の網走監獄は、軽い受刑者のための施設だとか。

雪のオホーツク沿岸の道路をひた走り、ウトロの町を抜け、岩尾別YHへ。YHから先は冬期通行どめとなっている。計算どおりではあるが、夕食の時間ギリギリ。危なく夜間交通どめにひっかかるところだった。
意外なことに、ほぼ満員状態。卒業旅行の団体2組とかちあったらしい。

夕食後、ウトロの町で主催しているイベント、オーロラファンタジーへのツアーに参加。部屋に荷物を置くまもなく、次々と状況がやってくる。煙を炊いてスクリーンとしたところにレーザーを当てることで、オーロラを再現してみたり、クリオネ出してみたりする。
思ったよりもちゃっちくない。それどころか随分ときれいだ。 確かによく出来たイベントかもしれないが、しかしこういう人の集め方は違うのではないかと思う。せっかく知床の自然の価値が世界遺産として認められたのに、ニセ物のオーロラ作って喜ぶなよ。この手のイベントは、都市部で行われるような金かけたものを越えるのは難しいのでは。
町長さんらしき人の演説やそれに反応するおばさんたちのライブ感は楽しかったが、世界遺産に登録→俗化 の前ぶれと見ることもできそうだ。

2006/3/3(金・有給)

午前中は流氷ウォーキングツアーに参加。ドライスーツを装着して、流氷の上を歩いたり潜ったりするツアーだ。 しかし一つ大きな問題がある。現在流氷はほとんどない。海は青々としている。が、ツアーは開催されるというし、クロカンツアーは募集人数の面からも装備の面からも参加できなそうなので、まぁ良かろ。

まずドライスーツを着用する。それだけでも結構おおごとで、大笑い。非日常的な服装、初めての経験というのはそれだけで笑ってしまう。
その格好でわずかに残る流氷の上を歩く。流氷って言ってもすでに海岸に打ち上げられたものなので、磯の岩と大した違いはない。その流氷の上で寝転んでみたり、掘りおこして海に投げ返してみたり。この説明のしにくい不思議な時間がなんともおかしい。
せっかくドライスーツを着たので、泳いでみる。これは面白い。ドライスーツの力は偉大で、水は冷たいものの、寒くはない。もぐってみたところで練習中のダイバーが見える程度だが、(この寒いのに体験ダイビングなぞやっている!)愉快だ。

入浴と昼食後、スノーシューを借りてフレペの滝へ。明るい森の中を歩く、気持ちの良いさんぽ道。
シカがたくさんうろうろしている。彼らにとって人間は珍しい存在ではないようで、特に関心を払うわけでもなくもりもり草や木の表皮を食べている。我々人間にはシカは珍しい存在だが、しばらく歩いているうちにこちらもいちいち反応しなくなる。 天気が目まぐるしく変わる。わずか30分程度の間に、青空の領域が広がっていくかと思うと雪が降ってきたり。かと思うと3月の陽光が雲間から射しこんできたり。

目まぐるしく変化しながらも、全体としては段々晴れてきている。今日も夕日は期待できるかもしれない。まずは好展望の岬へ向かい、まだ日の入りまで時間がありそうなので温泉へ。


温泉から夕陽は、微妙に隠れる。

そしてジャストタイミングで岬へ戻る。この人たちと旅行していると毎度の恒例行事のようにきれいな夕日を見るが、実際にはどの程度の確立でこれほどの美しさが見られるのだろう。 冷えこみが厳しくなってくるのにもかかわらず、かなりの時間無言で見つめてしまう。

そして帰路。
知床連山がにわかに出現する。どーんとそびえている。あんなに近くにあったのか。 これまで何度も視野に入っていた、雲に覆われた領域の中に、これだけの存在感のものがあったとは。わずか数十分夕日を眺めているうちに、きれいに全山出現するのだから度肝を抜かれる。

団体が抜け、我々以外には翌朝スノーシューで知床峠を越えていくチャリダーと、一緒に流氷ウォークに参加したライダー、流氷ウォークのガイドさん、合計7人で食卓を囲む。
だいたいこれくらいの人数を予想していたが、これくらいのほうが話をしやすい。


星を見た。風がほとんどなく、思ったほど寒くない。

2006/3/4(土)

朝っぱらから、世界が輝いている。青空に太陽が君臨し、そこいら中にある白い雪の一粒一粒を乱反射させる。羅臼岳を筆頭とする知床連山は、昨日は全然姿を見せなかったくせに、あたりまえのようにそびえている。視界に入るたびに、すげえなぁと声に出してしまう。

こういう日は何をやったって素晴らしいだろう。スキーでも借りて原生林の中をガンガン突き進んでも、見晴らしの良い温泉見つけて酒を飲みつつ文庫本読んでいても、素晴らしい一日になるのは間違いない。無敵の一日だ。

もちろんドライブをするにしても楽しい。YHに別れを告げ、車窓の景色は青と白。海のほうに目をやれば、昨日は水平線を白く縁取る程度だった流氷が、すぐそこまで流れてきている。何をしても、好ましい変化がむこうからやってくる。やっぱり無敵状態だ。
どうせならば軽いクルージングでもないかと探したが、それはないようだ。もともとウトロ側には流氷の時期に船は出せないようだし、船の出る網走には流氷は来ていないらしい。羅臼からの船はあるが、かなり回り道になる。氷の上の推定アザラシを発見してみたり、車窓から景色を楽しむくらいが丁度良い。

オホーツク沿岸を離れ、最初の目的地の屈斜路湖そばの川湯温泉。
無料の足湯につかりながらソフトクリームでも食べようというコンセプトだが、ソフトクリーム屋が見つからない。閑散とした観光案内所で聞いてみたが、ソフトクリームよりもやっぱり腹減った、昼飯にしようということでおすすめの店を教えてもらう。

店へ向かうわずか10分程度の途中、人目をひきつける山がある。独立峰がもうもうと噴煙を上げている。向かってみたのが硫黄山。
たまごたまごたまごたまご〜、と連呼する声がしばらく頭にこびりついた。


カナダの大平原のまんなかにでもありそうな、川湯温泉の鉄道駅。あるいは八ヶ岳山麓の、小海線の駅舎にも似ている。駅舎の左側に、これまた気の良いカウボーイでも入ってきそうな欧風レストラン。

甘いじゃがいもの入ったビーフシチューはえらいことおいしかった。
こんなところ絶対自分立ちでは見つけられない。やっぱり地元の人に聞いてみるもんだな。


駅舎の右側には無料の足湯がある。暖かな陽光を浴びながらトローンと料理が出来るのを待とう。
お姉さんが呼びに来てくれる。

食後のノルマはソフトクリームを!ということになった。それは次の寄港地、屈斜路湖畔の砂湯で達成されることになる。

温泉地ではあるが、旅館があるわけではない。駐車場と売店が二つある。湖畔の砂をほじくると、だんだんお湯が出てくるから砂湯。
そんなことよりも何よりも、とにかく白鳥に目を奪われる。というか耳を奪われる。うるさい。 がーがーぴーぴー鳴きわめき、観光客から餌をもらっている。 白鳥というより、でかいアヒルといったほうがイメージに近い。白鳥というと優雅で華麗なイメージがあるが、ここにいる奴らはもっと何だかいじきたない。興奮してダンスを踊る奴、おたけびを合唱してみたり、輪唱してみたり。後ろのほうでは無関心に昼寝を決め込んでいる奴がいたり、見ていて飽きないがとにかく騒がしいやつらだ。そんな奴等なのに写真に撮るとそれなりに素敵に写ってしまうのだから卑怯である。皆も気を付けよう

銀座のバーのマスターでもやっていそうなダンディーなおじさんが売り子をやっていた。
湖畔の足湯はちょっと熱かった。

次の指令 摩周湖へ向かえ。霧の無い姿を見ると、嫁に行くのが遅れるという恐ろしい噂を持つ湖だ。
今回の旅行は、未婚女性による30歳おめでとうバースデー割引というものなので、なかなか危険な噂と言えるがそんなことは気にしない。

実際着いてみると、やっぱりそんな噂は忘れ去ってしまう。結氷した湖面の複雑な模様と外輪山の白い斜面も見事だが、湖の反対側に広がる山麓の風景も気持ちいい。火山性の山に良くある、単純で広大な裾野の向こうに、これから行く土地や遠くの山々が見渡せる。

摩周湖は凍りついていたので湖自体は見ていないのでセーフ。嫁にも行けるはずだと女性二人は主張していた。ま、確かに凍っているのだから霧は出にくそうではある。嫁の件は、今後の結果でもって判断すれば良いと思う。

今夜の宿は国民宿舎野中温泉別館。ユースホステルが本館らしい。これまた冬期通行可能な道路のどんづまりにある。人里離れた、湯治場風の静かな宿。

夕食は部屋までお膳で持ってきてくれるのが嬉しい。色々とめずらしげな、土地のものらしきものも出してくれたが、宿のお姉さんは謙遜するばかりで説明してくれなかった。


阿寒湖冬華美と名付けられた花火。
きちんと花火大会を見に行くという行為は初めてかもしれない。
毎晩こんなに打ち上げるのは大変そうだが、凍った湖面に映える光はきれいだった。


風情のある内湯も良いが、星が見える露天風呂も良い。
洗い場はなく、湯に浸かるだけというのも面倒でなくて良い。

2006/3/05(土)

部屋でだらだら、ごろごろしながら最終日の朝があける。夜飛行機に乗るという意外に決まった予定はなく、どこかでのんびりと遊びましょう、という一日。


阿寒湖でスケートをやることになった。アイススケートをやるのは20年ぶりくらいだろうか。
いざやってみると、面白いほど滑れない。全然頭の中のイメージと違う。スピードを出せば強引に前へ進むことは出来るのだが、すべりどめのギザギザのところでガリガリ前へ進だけで、滑っているという表現からは程遠い。無駄なところに多大な力を使うため、非常に疲れる。数十mも持たない。色々なところが筋肉痛になりそうだ。 周りですいすい滑るがきんちょが格好良く見える。
おかしいなぁ。僕も幼いころはスイスイ滑れて、リンクをくるくる回っていた覚えはあるのだが。当時は確かもっと力を入れずに、軽い重心移動だけで自由に滑っていた気がするのだが。 リンクの中で最も年上の我々が明らかに一番下手くそだ。数年に一度は滑るという一人はまだ自分でコントロールして滑っているが、残りの3人はほぼコント。一人芝居のように転んでいるか、リンクのわきっちょでへたりこんでいるか、というていらく。 これは悔しい。何度か頑張っているうちに、ときおりこの一歩はちゃんと滑れているぞ、というのが出てきて、段々その割合は高くなる。まだ安定しないものだから、ちょっと凹凸につまづいたり疲れたりすると滑れなくなってくるが、確実に上達をしている自分を感じ、とても面白い。
だが残念ながら、リンクの状態が悪化していく。気温が高くなってガリガリになったというのもあるが、主に我々がへたっぴいな滑り方をしていたというのが原因だろうからしかたが無い。

どこにでもありそうな、何の変哲も無い味噌ラーメン。だがこれこそ僕の求めていたものだ。
運動後の疲れた体は、繊細な郷土料理よりもとにかく塩分。スケートの後は暖かい汁物。 おいしく頂いた。


旅の始めと終わりを同じ店で食べるという、粋な最終会。
紆余曲折があり慌ただしい夕食となったが、うにもおいしく、味噌汁もおいしかった。


昨年僕が行なった旅行のほとんどは1泊2日で、それらのほぼすべてで土曜の朝から日曜の夜まで、楽しくて濃厚な時間が続いていたと思う。今回は3泊4日の96時間、いつもの2倍の長さだ。長くなったからといって楽しさの濃度が薄まるそぶりを見せず、やっぱり濃密な時間が続く。

4日もそんな時間が続くと、時間感覚がなくなってくる。いつからこうだったのか、いつまでこうなのか、わからなくなってくる。その時間の渦中にいる間は、ずいぶん昔からこういう時間が続いているというような感覚に陥ってしまう。

今回の旅行の目玉は流氷を見に行くということだったが、それは結構どうでもいいことだ。確かに流氷が見られたら周囲の人たちには説明しやすい。今回は他人に説明できる程度には流氷が見れたのでその点は良かったが、流氷が見れたら楽しくて、見れなかったらつまらない、なんてことはまったくない。我々は子供と同じだから、どこで何しても面白がるんだよな。わざわざ観光地らしいところ行かなくても、そこらへんで雪合戦するだけで結構楽しい。(だから計画立案者としては、やや拍子抜けしないでもない。我ながら目の付けどころの良いルートだったと思うが、他の場所行っても楽しむのだろうな)


ダイビングの人たちは漁港に残った流氷の上で跳ねたり泳いだりしていた。
確かにこれは面白そうだ

冬の北海道に何しに行くの?と聞かれることもあるが、明確な目的はそれほど必要ではない。遠くにきれいな海ときれいな山が望めて、青空と夕日に恵まれて、あっちの温泉入ったりこっちの海鮮丼食べたり。混雑とは無縁で、素朴な人たちと素朴な会話ができる。僕はそれで退屈しないし、それ以上に求めることなど特に無い。

今回の北海道旅行の4日間で何が面白かったかというと、そういった旅全体の雰囲気が面白かった。特にどこそこで何をした、というように断定はできないな。

2006/3/06(月)

予想は外れ、またまた年賀状が来た。数日前の友人からの、ささやかなタイムカプセルだ。

ハンバーグ。片栗粉をいれすぎてもちっぽくなってしまった。ソースはたまねぎとまいたけを軽く炒めたものを、トマトケチャップと焼酎で煮たもの。

2006/3/8(水)

一人ぐらしの独身サラリーマンだって天ぷらくらい作る。
舞茸とほうれん草はわりかしうまくいった。衣を氷で良く冷やすこと、酒を入れることがカラッと揚げるこつということで良いのだと思う。

かきあげは難しい。サクサク揚がってはいるものの、ニンジンや玉ねぎたちが一致団結してくれず、各自が思い思いに独立独歩主義の気勢を上げる。そのそれぞれをおたまで掬い、つゆとともにごはんにぶっかけてしまう。こうなればほぼかき揚げ丼に等しい。ここに至って初めて、協調路線の美しい料理となって僕の腹を満たすのである。

2006/3/9(木)

挽肉と玉ねぎにカレー粉と片栗粉混ぜたものをほうれん草でくるんで蒸すという、 昨日思いついた料理。コンセプトも良かったし蒸したのも正解。蒸したほうがほうれん草は変色しにくいのだろうか。
ちょっと塩味薄かったというのが反省点。総合的にはなかなか良かった。

リクルーターをやれということで、学生たちに話をしに行く。
僕の身の上話など他人の参考になるのだろうかと疑問を持ちつつも、何度も同じような話をしたので大変疲れた。他に思うこともあった気もするが、とにかく疲れたというのが一番大きな感想。

そりゃ参考になるような話が出来れば嬉しいし、あかの他人といえど役立てれれば嬉しいが、別に他人の人生にアドバイスできるようなことは特に無いからなぁ。知っていることは言うし聞かれたことにも答えるが、それが彼らにとって役立つか、真実であるかは僕には知らんこっちゃない。だけど彼らは熱心に話を聞く。慣れないことするのは疲れるね。

2006/3/10(金)

今日もリクルーター活動。昨日よりも少人数を相手にしたので、質問もたくさん出てだいぶ話しやすかった。見ず知らずの若者に、自分の将来ビジョンまで聞かれることなんて滅多にないだろうな。

知床の旅行記を書いていて思った。
毎回旅行計画を立てるたびに最大限の期待をするが、毎回毎回その期待どおりの楽しさ、あるいは想像できなかった楽しさを感じられている。
随分と幸せなことだ。

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