■Back ■Next ■Home
 

2006/1/28(土)

不思議だ。
京急乗って羽田空港へ行き、2時間強飛行機に乗る。港から船に乗り変えて1時間強。 それだけで着いてしまうのが、とても不思議だ。

化かされているのではないかと疑ってしまうような暖かさ。美しい海。人工物はほとんどない。人も少ない。流れている時間が緩やかだ。

沖縄は座間味島へやってきた。バースデー割引を利用、僕以外の二人が誕生日で、しかも旧正月まで重なるというめでたいツアーだ。

座間味島は那覇の西40km、前述のように高速艇で約1時間。
けらま諸島の一つ。そのうち、人が住むのは渡嘉敷島、あか島とその属島、そして座間味である。島の大きさと人口はだいたい同じくらいではないだろうか。歩くのは大変だが、車で端から端まで30分程度の大きさだ。

民宿に着いて一息ついたのち、散歩に出る。ちょっと歩くとすぐに美しいビーチとなる。誰も居ない、静かなビーチの夕方。ただ飛行機、船の椅子に数時間座っていただけなのに、こんな場所まで来てしまう。
座間味島と対岸のあか島で、ちょうど「こ」の字のように海を囲んでおり、囲まれた海域に小さな無人島が点在している。遠浅の静かな海で、どの島も白い珊瑚礁の海岸を持っている。カヤックではしごしていくのがいかにも面白そうだ。向こうの島にも人が住んでいるというのは、何か安心感がある。距離は3kmくらい、昔「マリリンにあいたい」という犬の映画をさかんに宣伝していた記憶があるが、あれはこの海峡を実際にシロという犬が犬かきで渡ったという話。宿の途中、マリリンの像が対岸を見つめていた。 対岸にはシロの像もあるらしい。

明日の予定について相談。カヤックか、くじらウォッチングか、島内観光か。1月でもシュノーケリングやってできないことはない。が、それほど天気良くないようだし、くじら見に行くかということがなんとなく決まる。
いや本当に便利な世の中というか、飛行機は速い。たった数時間、何の苦労もしていないのにこれほど美しく、静かで、暖かな場所に着いてしまう。不思議だ。体や皮膚ではそのことをきちんと認識できないし、もしかしたら頭でも理解できていないかもしれない。

魚の名前は沖縄名なので忘れた。
刺し身は座間味で養殖しているものだという。タイのようで、ブリのようで、豚トロのようだがやっぱり違う。脂がのっているがさっぱりしているという不思議な味でおいしかった。

泊まった宿は「ロビンソン」。メインの集落からほんの少し離れた静かな集落にある。 隣にカウンター形式の雑貨屋があるので不便はまったくない。
久米島の久米仙買ってきて呑んだ。ずいぶんたくさん呑んだ気もする。

 

2006/1/29(日)

くじらウォッチングの船は、一応午前と午後の2つある。午後船を申し込んだが、天候のため本日は2回出られないかもしれない、午前に変更できないかという連絡を受ける。こちらとしては条件の良いときに乗りたいだけで、どちらでもかまわない。 というわけで朝食後くじら船へ。天気は雨という予報だったが、崩れることもなさそうだ。時折日がさし込むことさえある。 客は15人くらい。阿嘉島でさらに数人加えて30分ほど走らせる。

先に到着している2隻のウォッチング船の周りに、あっけなく鯨発見。2,3頭、潮を吹いている。動きがとてもゆったりとしている。鯨はほ乳類といえどさすがに海洋動物、潜水能力は高く、一度深く潜ると容易に見失うくらいの移動能力はあるはずだ。が、遠くへ行く気配はない。船の近くをゆったりと、のんびりと泳いでいる。そのうちにもう数頭合流し、船の真下まで泳いでくる。船上の我々は、あっちにでたぞこっちに出たぞ、二ついっぺんに出たぞとモグラたたきのような対応に終われる。

一体こいつらは何をやっているのだろう。明らかに遊んでいる。背泳ぎして胸ビレ水面に出してパシャパシャやっているんだぜ。ローリングしながら泳いでみたり。意味分からない。実利的な理由や必然性は感じられない。やっぱりただ遊んでいるだけだと思う。
僕にくじら語の教養はないが、しかし彼らがリラックスしていることは良く分かる。動きがとてもおおらか、ゆったりとしている。 人間に見られているのがわからないはずはないと思うのだが、ウォッチング船は無害だと認識して、もう気にも留まらないのだろう。


船の真下をくじらが通る。お腹は白いので、くじらが背泳ぎするとエメラルド色に反射する。

座間味ホエールウオッチング協会

2時間の行程を終え、下船。どうしても停船すると船は揺れるので、酔わないにしろ疲労は大きい。 昼飯くいながらゆっくりする。 タコライスというのは、蛸ごはんではなく、タコスに近い料理なのだろう。ごはんにチーズ、トマト、スパイシーな挽肉がかかっていた。

午後は島内観光。あるいは昼寝の場所探し。
民宿で借りた車でうろうろする。徒歩や自転車では大変だが、車でならば全部周るのにさして苦労はない。始めて訪れる場所は、やっぱりざっと周って概要を掴んでおこうと思う。


古座間味海岸。
白い珊瑚礁、宝石色の海が広がっている。波音が静かに繰り返される。誰も居ない。
あぁ、何だかもう、なんでこんな場所があっけなく存在しているんだろう。


島の北東部まで行くと、なんの変哲もない場所で車道が終わっている。脇にあった踏み跡をたどっていくと、猫の集落があった。

海を見渡す展望台。くじらを見つけろ。

高月山展望台。集落や島々を見渡す。 古座間味海岸から波音が運ばれる。原チャリが集落へ向かって、小さくエンジン音を響かせる。

空は曇り。水彩画のようににじんでいる。とても静かだ。

宿に戻り夕食。
の前にオーナーが三線の演奏を聴かせてくれることになった。沖縄の言葉は意味が分からないものの、雰囲気に浸れる。 そのうちに、俺が弾くから君たちは歌いなさいということで、「島唄」などを唱和する。全員が曖昧な記憶で、なんとなくあやふやに。

さらに、練習するようにということで三線を渡された。
弾いてみる。これは結構とっつきやすいぞ。ギターみたいに忍者の印形のような形を覚える必要がない。3本の弦はド、ファ、ド、その中間の音程はそれぞれ弦を押さえる指の場所を調節すれば良い。 楽譜は老とか元とかいう、ドレミファソラシドをあらわす漢字で書かれている。最初は混乱するが、もともと5線譜だってちゃんと読めないのだから問題はない。いくつか覚えれば、かえるの合唱くらいは弾けるようになる。3本の弦を、適当にちゃんちゃんやると、なんとなく沖縄っぽくなって楽しい。

 

2006/1/30(月・有給休暇)

島の雰囲気を説明するのは難しい。ほぼ不可能な気もする。
昨年、伊豆諸島を中心に、5、6島訪れたが、座間味はどの島とも違うし、昨年訪れた島もそれぞれまったく違う雰囲気である。どの島だって、都会と比較するならば「海がきれい」「魚がおいしい」「大自然の中の時間」などというのは共通している。 が、それぞれの島同士を比較する言葉がない。それぞれの海は大変美しいのだが、どの美しさも「キレイ」と一言で表現してしまって良いものなのか。

白い珊瑚のビーチ、エメラルド色の海などと書いてみても、経験してない者にとってはイメージ映像のようなものを想像するしかないだろう。で、実物はそのイメージどおりの美しさ、あるいはそのもうちょっと上なのだが、実物はちゃんと具体的なデティールを持っている。触れるし聞こえるし感じられる。想像以上の素晴らしさがある。想像できないものは、言葉で他人に説明できない。その空気感はやっぱり行ってみないと分からない。
それぞれの島の違いを一生懸命さがして、「座間味にはくじらの動きのようにゆったりと時間が流れていた」とか「お土産屋さんのセンスが良かった」とか説明してみても、やっぱり言葉が足りていない。
行ってみないとね。

オフシーズンの沖縄はとても良かった。
他人に「沖縄行きます」と言うと、たいてい「何しに行くの?」と問われる。確かに泳ぐのに良い季節ではないし、島には特に何があると説明できるようなものはない。 今回はとりあえず鯨見たからそのことを説明すると納得してもらえるみたいだが、別にくじらを見に行くことを目的で行ったわけでもないのだけどなぁ。鯨が見れたのは満足だが、見に行かなくても多分満足した。ただ単に行きたいから行ったのだ。(誘われたから行ったという方が正確だが)
こういうところは、必ず何かが起こる。やっぱり選択肢はこれしかなかったんだと確信する瞬間がやってくる。 美しい海は夏の間だけ存在しているのではない。誰も見に来ない時だって、これを書いている今だってそこに在る。自分たちだけしかその美しさを享受していない状態というのも悪くないと思わないか?
どちらかというと人ごみに埋まりに万博にでも行くほうが、行く理由が必要なのではないだろうか。

午前中のうちに那覇へ。1年ほど前に移住した、友達の両親に会いに行く。
まだ自分の名前もろくに書けないころからお世話になっている方々だ。遥か南西の島だろうと、友達本人を介さなくても、このように気軽に会いに行けるというのは、何か安心感がある。

那覇は、どうも日本の街とは思えない。上海あるいは台湾あたりにいる気になる。道の雰囲気、街や建物の造りを一見すると、日本語や日本円が通じるのが不思議になる。 気候がそうさせるのかもしれないし、占領時や基地のアメリカ文化がそうさせるのかもしれない。あるいは、長い間日本本土からは独立した王朝をもっていたことの影響かもしれない。

まずは沖縄の楽器屋さんへ。同行者が、三線を買いたいという。
お土産用ではない、ちゃんとした三線は3万円前後。そのくらいは覚悟しているらしい。もともと三味線を始めたい気持ちがあり、昨日の演奏が良いきっかけになったという。 思いきった買い物するなとも思ったが、確かに数千円のおもちゃみたいなものを買うよりも、立派なものを買ったほうが練習するだろう。安物買っても何も残らなそうだ。彼女の選択は多分正しい。


首里城を案内してもらった。
確かに琉球王朝の歴史なんてほとんど知らんなぁ。
地理的環境からも、文化的背景からも、面白い物語がたくさん眠っている気もする。

首里城側の素敵なお店で。石庭なんかがある、古い民家調のところ。やっぱり地元の人に案内してもらうと、すげぇなぁというような場所につれてってもらえる。
確かに泡盛の瓶が並んでいるのも気になる。

引き続き茶店に連れていってもらい、沖縄のぜんざいというものを食す。
あずきあんを凍らせたものをかき氷のように削り、そこに白玉などを混ぜる。お店の雰囲気も、これぞアジアという感じ。

那覇では慌ただしい滞在にも関わらず、充実した時間だった。今度は泊りに行かないとな。
ごちそう様でした。

夫妻はやっぱりダイビング三昧の生活しているようで、うらやましい。 実際に移住してみて特に不便や困難はないという。そうなんだろうな。実行する前は色々心配ごともあったのだろうが、きっと人生なんて難しく考える必要ないのだろう。やりたいことをやれば良いだけだ。

旅に行かなかった友人を何人か呼び出し、沖縄旅行の報告。
周囲は仕事帰りのサラリーマン。沖縄帰りのバックパッカーとして、申し訳無さと優越感をちょっとずつ感じる。まぁ僕の場合服装は仕事帰りでも大して変わらないが。

 

2006/1/31(火)

 

2006/2/1(水)

同時進行で、いくつもの旅行計画、登山計画などを練る。その上、先週の旅行記をつけてみたり。
座間味、浅間山、丹沢知床小笠原八ヶ岳八丈島・・・。何個やっているか自分でもよく分からなくなる。それぞれは把握できていると思うのだが。

 

2006/2/2(木)

完全なる菜食主義者の食卓。
今日の新規開発メニュー。にらとぶなしめじをゴマ油で炒め、かき混ぜた納豆と合わせたおつまみ。なかなかの味。

 

2006/2/3(金)

週の半ばに南岸性低気圧がやってきて、雪を降らす。
週末に向かって冬型が強まり、太平洋側は晴天。
良い傾向だ。

『本当の戦争』クリス ヘッジズ


・戦争とはなんですか
・戦争にはどれほどのお金がかかるのですか
・ホモセクシャルでも軍隊に入れますか
・戦争中、自宅に電話できますか
・弾丸が当たると体はどうなりますか
・化学兵器はどれほど有効なのですか
・人を殺すのはどんな感じでしょうか
・殺すのが楽しくなる恐れはありますか
・死ぬのが自分でわかるでしょうか
・配偶者との再開はどんなふうでしょうか

以上のような437の質問に対し、簡潔に、はっきりと、わかりやすく冷静に説明される。
「おそらく無理だろう」とか「公言しなければ可能だろう」とか「まず間違いなくそうなる」とか。そのあとに続く、データに基づいた説明の中に、人間の狂気とか他愛なさが見え隠れする。これこそがジャーナリズムだよな。

■Back ■Next ■Home