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2005/10/30(月)

魚のことについて色々書かれた本に、「カツオはタレに凝ると良い」とあったので、凝ってみた。 豆腐を擦りつぶしたところに醤油、酢、ゴマ油、とうばんじゃん、にらの微塵ぎり。
お酢が利いていてうまい。 今までかつをというとタタキばかりで、刺し身は敬遠してきたが、やっぱりうまいじゃないか。ものによるんだろうな。

 

2005/11/01(火)


昨日から引き続き、交換レンズの分解、組み立て。
情熱的に部品が多く、芸術的なほど複雑な作業。こんなに面倒で複雑で精緻なものが毎月何千何万本も作られ、そこらへんのお店で普通に売っていることは驚きに値すべきことだ。
しかし2日間の格闘の後、自由に分解、組み立てができるようになった。手順を知るのに1日かかるが、覚えてしまえば十数分。何だって慣れるものだ。

 

2005/11/02(水)

今日はシンプルな料理というのがテーマ。切るだけとか焼いて醤油かけただけとか。

友人の写真展を見てきた。
作品作りもさることながら、人を集めるのって大変だというような話題について話す。彼は葉書一枚一枚にわざわざメッセージを書くらしい。相変わらず真摯な男だ。

 

2005/11/03(木・祝)

休日なので、仕事に行く代わりに釣りへ行く。会社へ行く代わりに海へ行く。
今回はいつものように午後の半日船ではなく、気合を入れて早起き。イナダが良く釣れているらしい。
車を30分ほど走らせて、磯子の鴨下丸、7時すぎに出船。

釣り場は剣崎沖。東京湾の入り口、三浦半島の先っぽ。磯子からだと1時間くらいかかる。
沖合にものすごい大船団ができている。100は軽く越える。300隻くらいいるのではないか。それぞれに10人以上の釣り人がいるわけだが、その海面下にはそれ以上の魚の群がいるらしい。

釣り開始とともに、左右で頻繁に魚があがる。僕も何度かオマツリとバラシをした後、最初のいっぴきをあげる。型の良いイナダ。一匹釣れるとだいぶ安心する。
6号、6mのハリスを使っている。太目で、かなり長い。仕掛けを投入するときも引きあげるときも、気を使わないと絡まらせてしまう。餌もまっすぐつけないと、水中でスピンしてしまってからまりやすいということだ。 魚がかかるか糸が絡まるかのどちらかといった状態が続き、糸をほどきながらポツポツと釣りあげる。

たぶん船団全体が潮で少しずつ流されるのだろう。船の位置が船団の最後尾になると、仕掛けをあげて先頭まで走らせる。そのサイクルが1時間くらいだろうか。 日が高くなってくるにつれて仕掛けの扱いには慣れてきたが、食いが落ちてきた。イナダ以外にも、サバ、ソーダガツオ、シイラなどが混じるようになった。

14時終了。イナダが5本にサバが2本。良い人は30だか40だかで、僕は多分船の中では最下位に近いと思う。数の差は、
・指示ダナ(深さ)を守れるか
・魚がかかったら確実にあげる
・手返しのよさ(糸を絡まらせない これは慣れだろう)
・こませを頻繁に交換する(やる気)
というところだろう。


ツ抜けを目標にしていたが、それはならず。ツ抜けというのは10ぴき以上釣ることで、一ツ、二ツ、・・・ここのつ、とお、となってツをつけずに数えるから。
が、結果としては満足。おかずとしては十二分にあるし、初めて1日船で酔わなかった、イナダ船も初めて、それで釣果があったことというほうが重要だ。

このサイズの生き物をいっぴき屠って食してしまうというのは、なかなか大儀なことだ。 いっぴき駐車場の大家さんのところにお裾分け。いっぴき捌いて、寮の友人何人かに声をかけて振舞った。

刺し身も脂がのっていて旨い。肝はあんきもやかわはぎの肝ほど濃厚ではない。さっぱりとした中にほんのりと濃い旨味があって好印象。
特筆すべきはアラ汁だな。頭の中身をほじっていくと、目の裏っかわのところにとろーっとした部分がある。不意に食べると声をあげてしまう。日常的に味わう旨さのレンジをオーバーしていると思う。
いっぴきあれば、壮年男子2,3人分が満腹になる。30匹も釣れたら処理に困るんじゃないか。

 

2005/11/04(金)

釣り船に一日乗ると、大雑把に言って1万円。万物換金主義者からは、よく「それで元が取れるの?」との質問を受ける。

今回僕が釣ったのはイナダ5本にサバが2本。いなだは、このくらいのもの丸々一匹だと、スーパーでは4桁の値段がついているので、僕が釣ったものはスーパーの魚と大体同じくらい、うまい人だと僕の3倍も4倍も釣るので、その場合はスーパーで買うよりもずっと安くなる。
ほかにも、釣った魚でしかも血抜きをきちんとしたやつだからスーパーのより高値なはずだとか、人件費分を計上しろよとか、いや釣りは労働ではなく遊びなのだから、遊んだうえに食費にもなって得だとか、意見は色々ある。
まぁ高級魚が1ぴきあたり500円になろうが300円になろうが、一人暮らしの男が魚を1万円分も買うことは無駄使いでしかないので、金額換算してもあまり意味はない。

しかし、うまい食材を何日分も貯えてあるというのは、何だか豊かな気分になれる。
とうてい一人では食べきれない量だ。傷んでしまうからな。誰かにあげるとか、ご馳走するとかしなければならない。料理するのは面倒ではあるが、とてもおいしい魚だ。喜んでもらえるだろう。

基本的に昨日と同じメニュー。

肝は今日くらいなら大丈夫だろう。イナダの肝なんて、釣り人の特権だろうな。 昨日は胡麻油+酢醤油なんてものを試してみたが、今日はオーソドックスに大根おろし+レモン汁+岩海苔。その方が旨いのは予想通り。

刺身、アラ汁も昨日とほぼ同じ。2度目のほうが手早くできる。
今日連れてきた友人は、何も手伝おうとしない。逆にそっちのほうが作業がはかどるので、その姿勢は正しいのかもしれない。焼酎は買ってもらったが。

自分で云うのも何だが、相当うまいぞ。すべての皿が、完全にうまい。焼酎もうまい。そのへんのお店入って、この料理出されて5000円とか取られても、十分満足するだろう。

特にアラ汁はやっぱりうまい。口に含めると、体の芯が緩んでくる。何だか幸せになる。
いやまったく、うまい魚は人を幸せにする。


たとえ山本君といえども、人間は学習する生き物だ。今日はたぶん帰れただろう。

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