一緒に泳いでしまったら、今度は食べたくなるのが人情だ。
ここのところ真面目に釣りしていないし、この連休は釣りしよう。
明日からは台風がくる。伊豆諸島へは行けそうにない。チャンスは今日だが、いきなり早起きもできない。というときに便利なのが午後出船の乗り合い船だ。自分で船を運転したときの参考にもなるはずだ。
渋滞に巻き込まれたり、迷走したりして当初予定した船宿には間に合わなかったが、なんとか金沢八景、一ノ瀬丸の出船に間に合う。時間もガソリンもギリギリ。
釣り物はライトタックルアジ。アジは「ビシアジ」というのが東京湾のメジャーな釣り方だが、錘が重すぎて釣趣に欠ける。仕掛けを軽くして、引きを楽しめるのがライトタックル、自分で船を運転するときの釣り方はこれが近いだろう。
魚信はそう頻繁にはない。たまにサバがひっぱってくる。
なんとしょっぱなから3連続バラシ。今日はちょっと数にこだわろうと思っていたのに、落ち込んでしまう。
不満気な顔をしていたら、船長が一匹分けてくれた。もらうの悔しいが、断るのもしゃくだからな。
お土産を確保した余裕からか、その後はとりこぼさず、ポツポツ釣れた。
1.中の瀬 八景島256°、本牧の5本クレーン310°、根岸の煙突260°、水深17m
ここが一番釣れた
2.金沢緑道公園そば 市立大の角201°、煙突305°、排水口正面、水深20m
自分で操船するときもよくとおる場所。こんなところでも釣れるのかと思ったが、全然釣れなかった。
アジやイシモチが入ることもあるのだろう。
3.中の瀬 八景島角のクレーン232°、本牧のクレーン325°
船長としてはアジを釣らせたかったのだと思うが、船中でも10匹程度。僕はサバ1ぴき。
どうも今現在は、東京湾のアジの魚影は薄い気がする。各宿のちょうか情報見てもそれほど数は出ていないし、釣れるときはもっとパカパカ釣れるもんな。
サバはある程度いる。よく引っ張るので面白い。アジも食べたかったが、サバだってけっこううまいからまぁいいや。中の瀬のサバといえば、築地持っていけば邪険には扱われないだろう。多分。
船からあがったのち、隣で釣っていたお父さんが「このサバ傷んでないですか、食べられますかねぇ」などと間抜けなことを聞いていた。さっきまで力いっぱい泳いでたんだぜ。
いや、彼だけでなくなぜ皆自分で釣ったサカナに警戒心を抱くのだろう。
抱いてもかまわないが、スーパーで売ってる魚、飲み屋で出てくる魚は安心して食べているのに。
採ってから飲み屋で出されるまでには、3日はたっているだろう。チェーン店ならば、まぁ冷凍物だろうが、1週間くらいはかかりそうだ。反面、3日前に釣った魚を出すと、いやがる人は多い。
前述のお父さん(僕より釣ってた)が「サバの捌き方は?」などと質問していた。サバは、典型的な捌き方をすれば良いのだが、ここにちょっと書いておこう。
3枚おろしくらいできないと女の子にもてないぞ!お嫁にも行けないぞ!
できたからといってもてるとも限らないが!!
1.エラ、内臓をとる |
エラをむしる。腹を裂いて臓物をほじくり出す。うまくやるとエラと内臓と、するっととれる。 もっともグロテスクな工程。家でやると生臭くなるので、帰港途中にやってしまった。 |
2.鱗を落とす。頭を落とす。 |
両サイドから半分ずつ切って、背骨をポキッとやる |
3.半身をきる |
まず一枚目。背骨と身の間に包丁を入れていく。 |
4.もう半身をきる |
逆サイドも同じ要領。背骨、左の身(+肋骨)、右の身(+肋骨)で、3枚おろし。 |
中骨は味噌汁の出汁にしちまおう。 |
5.皮を剥く |
刺し身などは皮を剥く。スーパーで買った魚だと、この作業でがっかりする。スポーツマンとひきこもりというか、16歳と60歳というか。 肋骨も抜いておくといいのだろうが、自分しか食べないのにそんな面倒なことはしない。 |
サバにも魚体に見合っただけの肝がついていたので、もって帰った。岩塩と食卓レモンかけて、絶品だった。
サバは5匹釣れた。昨日のように、一人で一匹平らげると、血を吸いすぎて飛べなくなった蚊のような状態になってしまう。半身ずつ食べると、あと8日で食いきる計算になる。さすがに飽きる。
じゃあ誰かに食わしちまおう。
というわけで、久しぶりに実家に帰った。父親への誕生日プレゼントがサバ、ということになる。
昨年もサバを釣ったが、基本としては強い味付けをしたほうがサバには合うということが分かった。ステーキが一番おいしかったので今年もそれをやる。キヤムラ君も認めた味だ。
実家の食卓は、飲み屋のようにつまみがたくさん出てきた。前日も姉が帰ってきて酒盛りやってたらしいし、よく飲む人たちだなぁ。
今月号の「山と渓谷」は面白い。紅葉特集や食べ物特集も良いが、秀逸の冒険報告がいくつか載っていた。
山野井泰史は、数年前にどっかの高山登って遭難し、奇跡の生還を果たした先鋭的なクライマー。そのときにかなりの数の指を失ったが、その彼が再び生死をかけた登攀に挑戦したという記録。
「あしたのジョー」はまっしろに燃え尽きたあとどうなったのだろうというような疑問に対する一つの答えを、自分の人生でもってあらわしている。あ、もちろんマンガの研究の話でなく、男のひとつの生き方の、もっとも純粋な一例。
HP「山野井通信」に、「今回はかなり気合も入れてましたし、ある程度の覚悟もして挑戦しました。」と書いてあった。 その覚悟って、自分が死ぬ確立をかなり冷静に何%って計算していて、それはあまり低くない数字で、怖いことは怖いけどそれでも挑戦しますっていう覚悟なんだろうな。
安東浩正は数年前、厳冬期のシベリアをヨーロッパからオホーツク海まで自転車で横断した人。 今回はオホーツク海からさらに北東を目指した冒険。たしか何かの社長をしていたのが、仕事辞めて冒険に転向した人だったと思う。長距離トラックの運ちゃんとの交流、大自然の荘厳、文章も面白い。
あぁ、そんなことをやられてしまったら、僕は今後一体何をすれば良いのだろう。
これも面白かった。50歳だろうが60歳だろうが、人間鍛えておかんとな。
台所で友人がうろうろしていたので、サバを振舞った。結構ちょうどよいペースで消化している。
塩焼きも旨いな。簡単だし。
なんだかあまり生産的な仕事はできなかったが、上司と議論したので疲れた。
僕の主張も、「非線形領域に入ってしまったらいろんなことが起こるのでこういう結果だってあり得る」というようなものなので、これもあまり生産的でない。納得できない点はそのままにしてはいけないっていうのも確かだが、細かくて訳わからん議論するのも良くないよな。
今日の献立で決まっていることは、「挽肉を使う」
肉団子にしてスープにするのが一番おいしくて簡単だが、最近そればかりな気がする。
ハンバーグの気分でもない。
金沢の料理、冶部煮に近いものをイメージして、適当に煮てみた。挽肉がだいぶ参加していることもあってか、それよりもだいぶ下品なできばえ。肉体労働者の集まる飲み屋とか、そういう雰囲気。
食ってみると、結構うまかった。こういうぐちゃぐちゃ煮って、味は結構どうにかなるものだな。
よくわからない結果の出たシミュレーションの検討、バグだらけのソフト、雑多な相談ごと、昔かいた未熟な特許案、いろんなところから声がかかって、非効率的に足突っ込んで手入れて頭かかえて、何だか混乱した一日だった。
ぐちゃぐちゃに披露した頭で自転車をこぐと、何だかすーっとする。別に問題が解決したわけでも整理されたわけでもなく、ただ単に忘れていくだけだろうが、明日になればもうちょっとちゃんと対応できるのではないか、という気にはなる。
塩野七生「ローマ人の物語」とりあえず今出ているところまで読んだ。
1年に1冊ずつ出版され、全15巻のうち今は13巻目まで出ている。人間の豊かさ、文明、文化などは時間が立てば立つほど進歩するわけではなく、けっこうあっさり退化して愚かでつまらない生活を強いられるものらしい。自分との違いを認められない、一神教の持つ恐さ、うさん臭さ。
昨年のイタリア旅行前から読み始めたので、塩野七生が13年かけて書いたものを1年強で読んだことになる。約10倍のスピード。最新巻に限っては、一週間足らずだったので約50倍。
読むのにかかる時間と書くのにかかる時間の比率って、そんなところだろう。僕が毎日書いているこの日記の駄文だって、あなたはきっと1分足らずで読んでいるだろうが、書くのにはその数十倍の時間がかかっている。
今年の休暇のための航空券確保。NZ、CHCH14万。