写真を撮ってみよう

どうも星の写真を撮るには特別なカメラが必要だと思われているようだ。 確かに写るんですで撮るのは難しい。 だが、基本的に次の条件さえ満たしていれば、星の写真を撮る事が可能だ。
長時間露光ができること
具体的には、B(バルブ シャッターを開けっぱなしにするモード)のついたカメラということになる。ほぼすべての一眼レフカメラ、20年くらい前のレンズシャッターのカメラなどがそれに当たる。

コンパクトカメラでは、夜景モードがついていてレンズが明るいものであれば、三脚につけて何とかなるかもしれない。30秒間の露出ができるならば見こみがある。マニュアルで確認してみよう。

近年人気のデジタルカメラでは、長時間露光をするとノイズが増えてしまうという欠点があるため、一部の上位機種を除いて今のところ現実的ではない。ただ年々性能が向上しているため、今後には期待できる。

カメラを手に入れる

家族から奪う

どういうわけだか、家の倉庫には古いカメラが眠っている。うちの父ちゃん写真なんか撮らんよという場合でも、立派な一眼レフを所有している場合が多い。田舎のじいちゃんのところもチェックしよう。もうこのカメラ使ってないけどまだまだ動くんだね、などと喜ばれたりする。

カメラの略奪に成功したら、ここをチェックしよう。

露出ダイヤル

長時間露出ができればOKだ。具体的には、シャッターダイヤル(500,250,125,…,1,Bなどと書いてあるところ。シャッターの開く時間を変えられる)にBとかTとかいうのが使えれば良い。結構簡単な構造なので他の所が壊れていてもBは使えたりする。

絞り

レンズの明るさを示す。レンズの所についている16,8,3.5,…という数字。少ない方が良い。

電池

古いカメラでは、電池が無くても動作するものが多い。完全メカニカルカメラというやつだ。 電池をはずしてみて、シャッターが切れるかどうかチェックしよう。 問題無く動作するようだったら、君はラッキーだ。 電池消耗や低温での動作に対する不安から開放される事になる。

レンズ

一眼レフでレンズが交換できる場合、レンズをそろえれば色々な写真を撮れる可能性を秘めている。どんなレンズだって写ることは写る。好みにも夜が、固定撮影用に一本だけ選ぶなら28mmくらいの広角レンズが使いやすいと思う。ズームレンズよりも固定焦点のほうがF値が明るく、天体向きとされている。ズームでも撮れるが。

中古カメラ屋にいく

一眼レフカメラを買うにはいくらぐらいかかるのか。

中古カメラで星の写真、一般写真友に問題なく写せるもの…レンズつきで一万数千円。

恐らく想像しているよりも安いだろう。

新品

もちろん最新のカメラでも撮れる。確かに近年のオートフォーカスカメラは便利で簡単で早くきれいに撮れる。だが星の写真を撮るには以下のようなデメリットに気をつけよう。

オートは使えない

便利なオート機能だが、星の写真を撮るときには必要ない。オートが働く条件から外れているためだ。

専用のレリーズが必要なことが多い

電池の持ちは?

カメラを選ぶときは、マニュアル操作がしやすいものにしよう。初心者向けの機種ではかえってわかりにくいものがある。写真学校推薦などと書いてあるものが良い。 専用のレリーズが必要な場合は一緒に購入しよう。 価格帯は四万円ぐらいからか?(あまり詳しくないので店頭で確認してください)

その他の道具

三脚

コンパクトカメラ用の貧弱なものは止めた方が良い。 重い=高性能ということになるが、あまり大きな物は、担いでいると腹が立ってくる。 架台部さえしっかりしていれば、卓上用のポケット三脚という選択肢もある。 汎用性に劣るものの、気軽さが魅力だ。

レリーズ

こういうやつ。 ねじ込み式の物が一般的だが、カメラによっては専用品が必要。

フィルム

ふだん使っている一般的なフィルムで写すことができる。感度に気にする必要も無く、通常の100や400で十分。 ただ、フィルムメーカーの想定外の長時間露光を行なうため、カラーバランスのくずれかたなどでフィルムの個性がはっきりと分かれる。色々なものを試してみよう。

フード、カイロ

天体写真の大敵、夜露からレンズを守るために使う。

手順

  1. 三脚にセット
  2. レリーズ、レンズ、フードをセット
  3. 露出はB、絞りは開放〜2絞り程度。ピントは無限縁。F16とかでは写りにくいよ。
  4. 気のおもむくまま構図を取る。
  5. シャッターを押す
  6. 待つ。星を点に写すのならば1分くらい、線に写すのならば20分以上。
  7. 飲んだり、星を眺めたり、眠っていたり…
  8. シャッターを閉じる。
  9. フィルムを巻き取ったら4以降繰り返し。
はっきりいって簡単だ。だがこれでも失敗する。原因としては、 など
最初の2つが一番多いだろう。特に夜露に関しては頭を悩まされる。 くすばい式カイロが最も効果的とされている。 暗闇での作業になるので、カメラの操作法には習熟し、現場では何度も確認しよう。

慣れてしまえば基本的に待ちの作業だ。構図を決めるときだけ集中して、シャッターを押したらあとはボーっと星を見ていればよい。お菓子を食べてても良いし、寒ければ小屋の中で日誌を読んでいても良い。星の写真は30分も露出して大変だと思うかもしれないが、かえってある程度長い方がラクである。

テクニック

月の利用

星を見るとき、一般に月の存在は嫌われる。だが地上風景を入れた固定撮影の場合、月の利用は重要だ。月光があれば山肌や木々を写し出すことができるからだ。 月がないほうが写真は撮りにくい。 満月のときも難しい。月は想像以上に明るく、すぐに昼間に撮ったような写真になってしまう。月の明るいときは露出はおさえ気味に。 個人的には適度に月があり、時間をずらせば沈んでいく上弦や下弦のころがやりやすい。

薄明

一番好きなのは暁に撮る写真だ。空が段々澄み渡る時間に撮影すると、星と白みゆく空の 2つの時間を1枚のフィルムに収める事ができる。うまくいけばすごく透明で鮮やかな作品になる。チャンスは朝と夕の、1日に2度しかない。露出時間が難しく、失敗してもやり直しが効かない。3等星以下は見えなくなるくらいのころが一番良いような気がする。

ガイド撮影

もっとたくさん星を写したい、というときは「ガイド撮影」という方法を使う必要がある。 日周運動でまわる星の動きをキャンセルして長時間露出しても星が点像に写るという仕組みだ。三脚の上に赤道儀というのを乗っけて、通常はモーターで駆動させる。 詳しくは 星が動かない代わりに地上の風景が流れるので、普通は地上風景を入れない。 僕の場合、ひところは小型赤道儀を改造したポータブル赤道儀を担いで登っていたが、重いのとそれほど地域格差が出ないのでやめてしまった。 機材が重く、技術が必要なので車で行ける所のほうが向いているかもしれない。 ただ、山上での空の暗さを生かすため、広角レンズに限定して小型手動の赤道儀を持っていくのは良い戦略だと思う。

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